町田の女子高生殺害事件に見る日本人の危機管理意識

2005.11.11 町田の集合住宅で、女子高生が殺害された。
そして翌日、犯人である同級生が逮捕された。

犯人の少年は「冷たくされた」と主張しているようだが、両者の過去の親密度や、凶悪な事件となった背景の程度は今後の捜査を待たなければならない。
殺害の方法から見るに、相当な恨みを持ってのことのようだが、原因が彼女の側にあるものか、犯人の一方的なものなのかは、外野としては想定する事象の一つでしかない。

ここで問題にしたいのは、近隣住民の対応だ。
事件当時、階下住民が、「助けて」などの悲鳴やどたばたする物音を聞いている。
通報も考えたが、やがて収まったので通報しなかったという。

法的には、第三者の通報義務も、救護義務も存在しない。
しかし、的確な対応があれば、彼女は一命を取りとめた可能性が大きい。
それを考えれば、危機管理意識の低さが、命を救えなかったといっても過言ではなかろう。

悲鳴というものは、他の場合でも発するだろう。
突然ゴキブリでも出現すれば、よほど肝が据わっていなければびっくりする。
しかし、30分もどたばたしていれば、ただの喧嘩と考えていても良いのだろうか。

外野にとって、何が起こっているかは知る由もない。
しかし、凶悪犯罪が多発する今日、最悪の事態を想定し、早めの手を打つことに何のためらいがあるのだろうか。

もちろん、中にはつまらないものも多いだろう。
そしてまた、こんなことくらいで通報するなという場合もあるだろう。
しかし、最悪の事態を想定し、未然に防止し、損害を極言する観点からは、通報出動の過剰はやむをえないものだ。

私はためらいなく通報する。
たまにぐちぐち言う馬鹿がいるのだが、この場合、上司や上部組織に念を押す。
通報出動をためらって事件になるのと、余分に出動して無駄足になるのとどちらが良いのだろうか。
警察官は、市民を守るために存在する。
無駄足というのは、事件でなくて良かっただけの話だ。
出動を渋る警察官がいるのであれば、職務怠慢で早めにやめてもらったほうが良いだろう。

30分もどたばた言っていたのであれば、早めに警察官が駆けつけていれば、犯人の現行犯逮捕、更には、被害者の怪我の程度も少なくてすんだかもしれない。
或いは無傷であったかも。
今回の死因は、出血死という。
されば、少しでも早く発見されていれば、一命を取り留めたに違いない。
その意味で、事件の物音を聞いていた周辺住民は、見殺しにしたといわれても致し方あるまい。
そして心あるなら、今後一生自責の念に駆られることだろう。
が、あくまで事件の加害者は犯人の少年である。
法的にはとやかく言われるものではないから、誰に後ろ指差されることもない。
しかし、己が甘さで少女を救えなかったことは確かだ。
しっかり供養してやることだ。
そしてまた、今後にいたって問題を軽く見、看過しないことがせめてもの慰めになるだろう。




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新規作成日:2005年11月12日/最終更新日:2005年11月12日