北朝鮮支援の燃料100万トンの意味

朝鮮半島周辺の安全保障を巡った6カ国協議の結果、北朝鮮に燃料100万トンの支援が決まった。

これに対して、拉致被害者を抱えるわが国としては、複雑な状況である。

北朝鮮が、のどから手が出るほど欲しがる燃料であり、100万トンといえば、ものすごい量である。
車の燃料を満タンにしても60kg程度だろう。
人間の重さはせいぜい50kg100kgであるから、100万トンといえば人間1、2万人分だ。

が、ふと見つめなおしてみたい。

東京湾内には、京浜、京葉の大規模工業地帯があり、首都圏の生活と、日本経済の一端を支えている。
資源を持たないわが国は、燃料の大半を輸入しており、船舶によって輸入されている。
ここで、東京湾は袋状であり、船舶は必ず浦賀水道を航行する。

例えば、2007.2.17-18に、浦賀水道を航行する予定の船舶のうち、大型タンカーは11隻、ガスタンカーは13隻である。
航行は、入港、出港を合わせたもので、往復すれば2隻に計上されるから、この約半数が、運搬量を示す。

大型タンカーは、一隻約20万トン(重量トン)であるから、5.5隻なら約110万トンである。
ガスタンカーは、LNGやLPGを運搬し、単純に重量換算は出来ないものの、大型タンカーの7割程度に換算されるだろうから、大型タンカー4.5隻分に当たるから、約90万トン分に当たる。
合わせて200万トンだ。
北朝鮮がほしがっている100万トンは、首都圏の「半日分」に過ぎない。
もちろん、運搬量は、毎日一定ではないから、単純に計算は出来ないが、話半分としても100万トン。
そして、これは、首都圏の分であって、大規模工業地帯は、中京、阪神、北九州にも存在し、首都圏のシェアは3割程度であろうから、わが国の年間換算は、200万トン x 3 x 365 = 200000万トンとなる。

日本の場合、石油は燃料に限定されず、石油化学製品としても消費され、LNGやLPGは、都市ガスや、火力発電所等で消費される。
日本の場合、このほかに原子力発電によるエネルギーがあり、発電用燃料の3割分は、原子力でまかなわれている。

北朝鮮では、石油の用途は、一般に燃料であろう。

北朝鮮の外交はしたたかではあるが、国力としては、1/2000とも換算される。
日本経済の1/2000を恵んでやって、物事が進展するなら、これを利用するのも一つの外交でもある。
何もただでくれてやる必要はないわけで、対価に見合う高い代償を求めるべきだ。




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新規作成日:2007年2月16日/最終更新日:2007年2月16日