日本人のクルーズへの提言

客船元年と言われてから約15年、日本人のクルーズはいまだに伸び悩んでいる。

そもそも勤勉な日本人は、仕事優先で休暇などはもってのほかという空気があるから、何日も連続した休暇などそもそもが想定外ともいえる。

さて、日本人がクルーズをしようとするとき、冷静に考えれば意味のないことに対するこだわりが多い。

「豪華客船」という形容詞にこだわる。
「豪華」と明示してもらわなければ認識できないものは、果たして豪華なんだろうか。
逆に「豪華」と記載がなければ、グレードが低いと見てしまう。
エリザベス女王の指輪はダイヤモンドと思っても、隣のおばさんならガラス玉なのだろうか。
「松坂牛」と書いてあるからありがたがって高額を支払うだけで、実際味がわかる人は少なく、悪徳業者はどこの牛だかわからない肉を偽って売っても、買った人はありがたがって食べてしまう幸せな民族だ。
クルーズを、自慢話のためのステータスとして考えるのか、クルーズ自体を楽しむつもりなのか。
自慢話なら、迷うことなくクイーンエリザベス2世号に乗らなればならない。
クイーンエリザベス2世号なら誰でも知っているが、ほかの船の名前は乗ったった本人も忘れてしまうだろう。

客室のスペースや、窓の有無にこだわる。
確かに、狭い閉塞空間は息が詰まる。
船室に永住するなら広いほうがよいし窓も欲しい。
が、クルーズは短期間である。
かつまた、客室で寝起きはするが、そのまま客室にこもるのだろうか。
昔の客船は、一等二等三等と、等級によって部屋のグレードはおろか食事のレベルも違い、万が一のときの救命ボートの有無の差さえあった。
が、最近のクルーズ客船は、客室のグレードによって料金に差があるが、食事や公室の利用については差異はない。
すなわち、睡眠時間以外を客室以外で過ごすことを考えれば、客室のグレードはまったく意味がないといってもよいのだ。

日本船へのこだわり。
日本の船=乗組員が日本人=日本語が通じる。
逆に言えば、日本語が通じないと恐怖感すら覚える。
確かに、日本語なら言葉に不自由はしないが、外国語となると困ってしまう。
しかし、最低限度の言葉がわかれば、クルーズ期間にそれほど困ることも実は少ない。
決定的なのは、料金の差だ。
日本船であれば、一泊4万円が平均的だ。(最低価格帯)
が、欧米の船では、それだけ支払えば二三日クルーズが出来る。
一週間に10万円もかからないものも少なくない。
もちろん、日本船なら国内で乗り降りできるが、外国船だと外国まで乗りに行かなければならない。
しかし、日本船で一週間なら30万円近く必要で、航空機の往復を含めても、外国船なら20万円も必要ないとすればどうだろうか。
ましてや、最近では、日本船でも、客室乗組員の多くは外国人であり、日本語の勉強をしてくれているとはいえ、面倒な話になると通じてはくれない。
しかも、クルーズが定着している外国のクルーズ客船のサービスは華やかで、カタログの説明にこだわる日本船と比べる意味すら薄い。

更に言えば、外国船を国内旅行者で手配すると円建てだが、この価格には為替レートが旅行会社が損をしないように設定されている。
すなわち、市場で115円程度のときにも、125円以上の為替レートを使用している。
従って、仮に直接外国船社と契約すれば、この差分が更に安くなるわけだ。




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新規作成日:2007年4月18日/最終更新日:2007年4月18日