小池防衛大臣に見る危機管理能力

久間防衛大臣の辞任に伴い、後任には小池百合子氏が就任した。
防衛庁長官以来、女性のトップは始めてであり、注目を浴びた。

さて、先般、事務次官の人事を巡って大騒ぎとなった。
現在の事務次官は任期4年に及び長期化しすぎたことによる弊害が指摘されている。
これを是正するのはよいのだが、あまりにも独断専行が過ぎたことが災いとなった。

記者に囲まれた質疑のなかで「はぁ?」が印象的だった。
本人はカッコつけのつもりかもしれないが、人を小ばかにした姿勢は、国民の信頼は得られない。

・次官には事前に電話をしたが通じなかった。
・折り返しの電話もない。
・こういうことはよくあった。

個々の責任の所在を明らかにする観点から、主張としては正しいかもしれない。
が、国防を預かる身としてはお粗末過ぎる。

・次官には事前に電話をしたが通じなかった。
・折り返しの電話もない。
これは、部下である次官に連絡義務があるという点では正当だ。
が、子供の喧嘩じゃないんだから、そんなことを理由に発表して何かよいことでもあるのだろうか。
単に、本人の正当化以外の何ものでもない。

・折り返しの電話もない。
・こういうことはよくあった。
防衛という緊急性のある組織で、そんなことを放置してあること事態が許されない。
小学生の学級委員長が先生に言いつけるのではないのだ。
組織内のことをきっちり収められないようでは、大臣の資格はない。

しょせん、防衛という大事を管理するというよりも、単に「女性」というイメージカラーに依存するのみでは、国の安全は守られない。

2007.8.23には海上自衛隊最新最大の護衛艦の進水式があったが、小池大臣の姿はなかった。
大臣は、外遊中であり、欠席した。
大臣の職務は多岐に渡るからどちらを優先すべきかは所論がある。
が、艦艇の進水式の参列有無は、乗組員隊員の志気に与える影響も多い。

外交の立場のパフォーマンスは、単に議員本人の点数稼ぎであって、代償となる隊員の志気を考えない姿勢では大臣の資格はない。

扇千景氏は、女優から国会議員となり、国土交通大臣も歴任した。
が、その行政はしっかりしたものだった。
行政の長には、見かけの美しさよりも、手腕が問われている。
見かけの美しさは、別に大臣に求める要素ではない。


2007.8.28 内閣改造によって小池大臣は防衛省を去った。
送る言葉は皮肉にも守谷次官が務めた。
追い出そうとしたほうが先にいなくなり、追い出されようとしたほうが残るという。

大臣の言葉は「アイシャルリターン」だそうである。
続投を否定したのに・・・
責任を取って辞任とも言うが。
総理からの電話を待っていたとも。
支離滅裂である。
いずれにしろ、防衛省が混乱した期間に、有事の事態とならずに済んだわけだ。




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新規作成日:2007年7月24日/最終更新日:2007年7月29日