消費者金融にかかわる問題

2006.4大手消費者金融業者が営業停止処分を食った。
不当な取立てによる違法行為という。

また、消費者金融業者に対しては、金利上限の20%超える、出資法による上限29.2%の適用に対しても、裁判所から不当の判決が目立っている。

しかし、根本的な問題を考えてみたい。

消費者金融業者は、無担保無保証人で、個人を信用してお金を貸している。
従って、借りたものは、約束どおり返さなければならない。

不当な取立てというが、勤務先への連絡とか、自宅家族への請求など、確かに問題がないとは言えない。
しかし、まっとうに返済していれば、取立てをされる心配はないはずだ。
貸した物を返さないから請求が強くなってくる。

また、金利の上限にしても、安い金利で借りれるなら、そういう業者で借りればすむものだ。
銀行であれば、10%を割るレートでも貸してくれるだろう。
しかし、担保や保証人、審査など、簡単には貸してくれない。
また、返済が滞れば、保証人への請求や、担保を取られることになる。

こういった差異を考えずに、返済が滞った段階で、消費者金融業者を悪者にするのはおかしいだろう。
ジャンケンで、例えば相手がグーを出した時に、チョキを出して負けたとする。ここで「相手がグーを出すんなら、こっちはパーにするよ」と出しなおして勝ちを主張して認められるものだろうか。
消費者金融は、一つの契約であって、本人が自由意志で契約するものだ。
消費者金融業者が、貸付にやってきたわけではなく、本人が借りに行ったのだろう。

借金の理由はさまざまだろう。
遊ぶ金、ギャンブルや消費が過剰になって借金というケースばかりではなく、病気や臨時の出費など、同情の余地がなくもないだろう。
しかし、その際に、お金を貸してくれて助けてくれたのは、ほかならぬ消費者金融業者ではないだろうか。
友人知人銀行等に貸してもらえず、簡単に貸してくれたのは消費者金融業者である。
そのありがたみを忘れ、返済の段階に文句を言うのは、後出しジャンケン以上の不当行為である。
借りたものを返すという、至極まっとうな日本人の倫理観を破壊する行為に他ならない。
「借金したいわけではなかったが、やむにやまれぬ事情があった」と主張するのはいいだろう。
責任は外部要因で自分にはないと言いたいのだろうが、それ以上に、貸してくれた消費者金融業者にも、借金の責任はないのである。

もし、その必要な時に、消費者金融業者がお金を貸してくれなければどうなっていたか。
治療費や生活費がなく、首を括っていたのではないだろうか。
すなわち、命の恩人である。
その恩を忘れて、借りたものを返さないなど、とんでもない話だ。

金利上限の20%超える、出資法による上限29.2%の適用に対しては、グレーゾーンといわれ、その適用にはさまざまな条件が課せられている。
弁護士は「消費者金融業者は、何がしかのミスを犯しているものだから、適用条件を満たしていないとして訴えれば勝てる」と主張する。
しかし、悪意を持って不当な金利を取り立てているのではなく、契約条件であり、その実施に対する過程の、些細なミスを逆手にとって、というものは社会正義なのだろうか。
消費者を保護するのは必要なことだが、消費者金融業者も、一つの法人、営利企業であって、慈善事業ではない。
取立ての問題を言うなら、どうして約束どおりに返済してくれないのかを正したいものだ。
借りたお金を返さなくても一生取立てがないなら、いくらでも借りに行きたい。

また、根本的な問題は、安易に借金をするという体質ではないだろうか。
「ご利用は計画的に」とする消費者金融業者のコマーシャルがあるが、計画的な資金運用が出来ている人は、消費者金融という高利に依存することはないだろう。

多重債務者など、まっとうな貸借契約がさせてもらえない人は、自ずと高利貸しに頼らざるを得ない。
消費者金融業者を袋叩きにして駆逐すれば、やがては闇金融の、法外な金利、不当な暴力的な取立てのお世話になることになるだろう。

「金利が高く不当だ」と後から言うのではなく、契約条件を熟読し、契約すべきだ。

政府は、規制緩和を主張する。
されば、緩んだ規制の中で生き残るためには、自己責任能力が求められる。
契約内容も理解できず、泣き付く程度のオツムであることは、恥ずかしいことでもあるだろう。

借りたものは返す、約束は守るということが、基本的なものである。


多重債務等の問題を含め、国会でも議論されている。
多重債務を防ぐ対策として、融資枠を総所得の一割に制限する案も出ている。
確かに、その程度なら返済できそうだ。
が。
そういう範囲なら、別に消費者金融に頼らなくても、問題はないだろう。
要するに、資金繰りの厳しい人の流れる方向が問題なのである。
資金計画がしっかりしていれば、そもそも消費者金融の、高金利の融資を受ける発想はないだろう。
かつまた、他の金策がいくらでもある。
しかし、資金計画がいい加減なレベルに応じて、他の金策の手段もなく、安易に貸してくれるものに頼り、しかも返済能力が伴わないから、悪循環である。
まっとうな業者での融資が厳しくなれば、違法な業者に頼ることになる。
その末路は、現状の問題よりもたちが悪い状況に至る。




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新規作成日:2006年4月16日/最終更新日:2006年4月16日