真実を伝えられないNHKの報道
2007.2.21 パラグライダーの発着場にしようと、山林の樹木を権利者に無断で伐採して、器物損壊の疑いで警察に逮捕されるというニュースが報道された。
被疑者は、権利者の了解は取っていると主張しているようだ。
ココまででは、パラグライダーの愛好家が、趣味のために勝手にやったような印象が強い。
が、真実は必ずしもそうではないようだ。
NHKの報道内容が、事実と異なるかといえば、解釈論は別として、事実であろう。
が、それが、すべての事実であるということでもない。
隠れた事実を含めて報道できなければ、公共放送の価値はない。
パラグライダーの愛好家は、町おこしの一環として、パラグライダーの発着場を整備しようとしていたようだ。
この山林の権利者は3名いて、その内の一人と、現地確認のうえ、伐採の承諾を得ているという。
ここで、他に2名の権利者がいることは確認洩れであろう。
山林の伐採に当たっては、山林所有者が行政に届け出ることになっているが、今回、承諾した権利者は、これを怠っていた。
以上は、民放の報道によるものである。
それぞれの報道に、嘘偽りがないとしても、印象は大きく異なるだろう。
民放の内容からは、手続き上の問題で、悪質な犯罪の印象はない。
対して、NHKの報道では、趣味で他人の権利を侵害し、自然を破壊する乱暴者の印象しか生まれない。
町おこしといえば、ある程度行政も巻き込んでいる話で、一部の自己満足の話ではないだろう。
また、最近では、わがまま極まりない事件が絶えないから、趣味で勝手にという話も皆無ではないが、景観が変り、かつまた今後永続的に利用されることを考えれば、勝手にやってる範囲の限度は超えているだろう。
されば、それなりの事実関係は存在するのではないか。
そういう疑問を持たずに、聞きかじった情報だけで報ずるのは、公共放送としての信頼性を著しく損なう。
もちろん、逮捕という事態になっているから、それまでの事実関係とか、権利者とのやり取りについても、警察では更につかんでいるからこそ、逮捕に至っているわけで、現時点の民放の報道がすべてでもないことは言うまでもない。
取材は各報道機関の独自性があるから、どこまで真実に迫れるかは、記者と取材部の力量にかかってくる。
事実を隠して、誘導を行うことは許されない。
が、調査不足によって、誤った方向に仕向ける行為も、知らなかった過失で許される問題ではない。
番組の捏造が問題になっているが、報道の内容の水準も、もっと高められるべきだろう。
捜査機関が令状を持って家宅捜索に当たる現場を、「家のものに無断で踏み込んだ」とは言わない。
新規作成日:2007年2月22日/最終更新日:2007年2月22日