薬害の責任の所在
古くはサリドマイド、そして血液製剤、タミフルなど、医薬品に関する問題は多い。
医薬品は、認可が下りる前に、臨床試験が行われている。
実際に薬品を投与し、その結果を実際に検証している。
ただ、人間の遺伝子がみんな差異があるように、試験の結果が今後のすべてを代表できる性質のものではない。
薬害で被害を受けた患者には気の毒だが、その責任をすべて医療行政につけて回るならば、責任に耐え切れずに医療は崩壊する。
パーセンテージの大小で論ずるのはいささか問題が多いが、しかし、大多数の安全が優先する必要もある。
タミフル服用による異常行動が問題になっているが、調べてみれば、タミフル服用以前に、インフルエンザ自体で異常行動も報告されている。
遺族側にとっては、早期の使用停止によって、損害がとめられたはずとも言うのだが・・・。
では、タミフルを使用しないことによって、高熱で障害がでた場合のことはどのように考えるのだろうか。
タミフルに限って言えば、異常行動等で問題となった件数に対して、遥か及ばない多数の患者は効果を得ている。
代償としての許容範囲かどうかの議論は別次元だが、一義的にオールオアナッシングという性質のものではない。
例えば。
出血多量で緊急輸血が必要な患者がいたとする。
運悪く、適合する血液が存在せず、しかし、5分以内に輸血しなければ命を失うとする。
ここで、汚染された血液製剤だけがあったとしよう。
輸血をすれば一命は取り留めるが、汚染された病気に感染することになる。
さて、どうしようか。
汚染された血液を輸血して新たな病気に感染するくらいなら、死んだほうがマシだと考える人もいるだろう。
しかし、多くは、まずは一命を取り留めたいと考えるのではないだろうか。
しかも、出血によって死を迎えることは確実でも、汚染された血液製剤によって、発病しない可能性は存在する。
問題の発生率は小さいほど好ましいが、ゼロということは難しい。
その問題も、程度がより小さいほうが望ましい。
ただ、すべてにおいて、リスクは存在する。
玉子焼きを食べるとアレルギーで死んでしまう人もいる。
だからといって、個々の確率論で排除し尽くせば、すべての人に問題のない食品など、存在しない。
素人の患者に対して、医療行政が完全を全うして欲しいのは山々だ。
しかし、すべてについての完全は難しい。
その問題を、後で追及するくらいなら、事前に薬品の注意事項を熟読精査する必要があるだろう。
新規作成日:2007年4月7日/最終更新日:2007年4月7日