受験生をパトカーで緊急搬送??

京都府警九条署が「人生を左右」とパトカーで受験生を送ったという。

2004.2.7午前10時ごろ、京都府警九条署の山王交番(京都市南区)に、タクシーの運転手が「受験に遅刻しそうな女子生徒を助けてやってほしい」、同志社大学の受験会場を間違えた女性が「何とか(会場まで送ってくれるよう)お願いします」と駆け込んできたという。
京都府警九条署はパトカーを出動、赤色灯を点灯させ、通常約40分ほどかかるところを約25分後、同志社大学京田辺キャンパス(同府京田辺市)まで女性を送り届けたらしい。
京都府警九条署によると、この女性は試験会場を今出川キャンパス(京都市上京区)と間違え、気付いてタクシーに乗ったものの、間に合いそうになく、泣き崩れるようにして交番に頼んできたという。
九条署では「大学受験は人生を左右する出来事と考え、パトカーを出動させる必要があると判断した。」という。 

ふざけるな。パトカーはタクシーか?
いや、暇だからということで、タクシー代わりに一般車として使うならまだいい。
サイレン鳴らして緊急車輌となる資格はないだろう。
そのために、周りの車はどんなに急いでいても道をあけるんだから。
親戚が危篤で急いでいる車も、緊急車輌が通るために余分に待つし、そのために死に目に会えない人がいたかもしれない。
あるいは、同様の事情でタクシーで急いでいた人がいたかもしれない。緊急車輌通過のあおりで遅れて受験できなかったらどうするのか。

そもそも、他の事例でいちいちこういった協力をするのだろうか。
110番通報でも、「ほかで忙しく直ぐにはこれない」とのたまうのに。
賛同する面もあるが、それは警察の本務ではない。
それに期待する受験生は甘い。
試験会場を間違える程度のおつむは、そもそも受験資格がないということだ。
寝坊して飛行機に乗り遅れたら、県警のヘリで送ってくれるのか。
そういえば、静岡駅に停車しない新幹線に乗って、無理やり新幹線を臨時停車させた社会党議員がいて問題となった。
選挙の遊説は、人生どころか、国政を左右するが、この見は過ちであったと結論づいている。

「人生を左右する一大事であり、緊急事態に相当する判断した」と説明しているらしいが、大学受験は翌年でも出来る。
そもそも人生を左右する一大事への備えは本人が万全を尽くすべきで、会場を間違えるのは論外だ。
今回の救済が、一見特例サービスの美談のように思われるが間違いだ。

「タクシーの運転手に交通違反のリスクを負わせず、著しく速度を出したクルマを走らせないという意味では警察の正当な職務だったと考える」とコメントしているらしいが、さればすべての急用について、パトカーの先導を依頼できるのだろうか。
いや、この説明が正当なら、各種の急用について、こういったサービスをする義務が生じる。
今回のが特例で他では行わないなら過剰なサービスだし、受験本来の目的からして、もし、相対的に当落の差が出る者がいたとしたら、公正さに欠く措置となる。

また、通常40分かかるところを25分で走ったというが、パトカーを呼び出す時間を含めて短縮する意味もあるはずで、疑問が大きい。
ちなみに、京都府警では昨年平均の到着所要時間は約5分らしい。
それでも、この間の事情の説明をしたりしている時間を考えれば、疑問しか残らない。

京都府警本部や九条署には、賛否両論の意見が寄せられているが、賛成のほうが多いという。
警察の美談として称えるのであれば、今回のみの特例ではなく、今後の類似事案でも実施する義務があるし、他の都道府県警察でも、等しい扱いが必要だ。
それが出来ないということは、今回の処置は正しくはなかったということだ。

それとも、特に事件のない京都においては、当然のことなのだろうか。
されば、繁忙極まりない、他県に職員を回し、予算の有効活用を図るべきでもあろう。

もうひとつの疑問点は、同志社大学の受験体制だ。
会場を間違えた場合はどうなっているのだろうか。
臨機応変に対応し受験させるのもひとつだろう。
逆に、受験会場を間違えない程度の学力が受験資格であるとも言える。
されば、受験資格の不足を、警察が補ったわけで、そもそも問題ではなかろうか。

そして当人は感謝の言葉を伝えていないというから恐れ入る。


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新規作成日:2004年2月12日/最終更新日:2004年2月12日