ふるさと納税制度
2007.5地方税のあり方を見直す一環として、ふるさと納税制度なんてものが言われ始めた。
生まれ育ててくれたふるさとへの恩返しとして、納税額の一部をふるさとの自治体へ納めるというものらしい。
一見もっともに聞こえるのだが、なんかおかしい。
そもそも、税制というものは、単年度決算である。
また、地方自治、民主主義の観点から、受益者負担、現居住地が意味を持つ。
もっとも、原点たる想定は、生まれ育った地域から移転しないということもあるかもしれないが。
地方自治は、納税者の血税によって行われている。
義務教育等はこの血税でまかなわれるが、子供は基本的に納税しない。
が、大きくなって就労納税する段階で、都市部に移転すれば、彼らは施しは受けても納税はせず、ぼったくり、ただ取りというわけである。
が、良く考えれば、その地域に住み続けられないような地域ということが問題だ。
就職先がないということは、産業規模が小さいということで、それは、行政にも問題がある。
企業誘致に熱心な自治体がある以上、何ら努力をしていない自治体に責がないとはいえないだろう。
また、そもそも、ふるさとへの「恩返し」という発想は何なんだろうか。
一人当たりの義務教育費用が1200万円だかかかるという。
が、これは「ふるさとから受けた恩」なのだろうか。
義務教育は国家の基本であり、国民の権利であり義務である。
これは、別段、ふるさとからの「恩」でもなんでもない。
これを、恩に着せる発想はそもそもおかしい。
どこに居住しようが、義務教育を受ける権利と義務は全うされるわけで、別段恩にきるものでもないだろう。
あえて「恩」というなら、必要以上にばら撒くタイプの福祉ではないだろうか。
選挙対策の福祉予算の恩恵にあずかるものこそ、恩に着てもらう必要があるだろう。
教育費を負担しただけで納税をしてくれないという若者を言う前に、働き盛りに他の地域にいてなんら貢献することなく、老後にやってきて福祉予算を食いつぶすことも何とかするべきであろう。
義務教育費用が1200万円のうち、約半額は地方交付税等で国からもらっており、地方の負担は約半額である。
「恩返し」の名の下に、僅かの税収があったとして、国からの負担がなくなれば、むしろ財政は悪化する。
目先の数字の付け合せに神経を使う暇があるなら、抜本的な対策を講ずるべきだ。
他力本願の地方自治ならむしろ地方行政機関がなくなったほうが余分な税負担が減るというものである。
新規作成日:2007年5月13日/最終更新日:2007年6月2日