郵政3事業民営化と民間参入問題

小泉首相の持論である郵政3事業民営化と民間参入。
先の国会で法案が可決した。

郵政3事業とは、かつての郵政省管轄の、郵便、貯金、簡易保険の3つである。
いずれも、運送、銀行、生命保険の各業界と、競合関係にある分野でもある。

貯金、簡易保険については、民間企業の業務に対して、国家事業と言う安心感と、財政投融資という別の側面も有った。
その所掌官庁が、当時の郵政省と大蔵省という関係からもさまざまな問題も生れていたし、逆にカウンターパートとしての効果もあった。
しかし、国際化を迎え、民間企業と同一体のものを民営化すると言う点に付いては、あまり問題はない。

しかし、郵便事業は別だろう。
全国津々浦々まで、同一料金で配達すると言う郵便制度は画期的でもあり、守られなければなるまい。
全国10万のポスト、全国同一料金、週6日配達と言う、巨大な設備投資は民間参入の大きな障害だと言う。
そんなもの当たり前だ。障害があって当然である。
何も「日本郵便」を2元化する必要はさらさらない。
民間競争と言うのはコストパフォーマンスを追求する。
当然、採算の合わないところは切り捨てるであろう。
都市部の利鞘の稼げるところだけ利益をむさぼり、地方を切り捨てられてはたまったものではない。
民間との競争は、サービス向上と言う、確かに良い面も有る。

宅急便業界では、かつて
国鉄時代の親方日の丸商売で、荷物を大切に扱わない、日通。
配送は早いのだが、ノルマで急ぐ余りに、社員の態度が悪い、佐川急便。
それに対して、1個1個の荷物を大切に扱う、ヤマト運輸。
と言う時代があった。
最近ではだいぶ改善されたようではあるのだが。

その意味で、競争により改善が計られるのは、利用者にとって良い事ではある。

しかし、気になる話が出回っている。
政治献金だ。
どうも、業界からの政治献金が、郵政3事業民営化の推進に働いていると言う。
あ〜あ。
確かに、国の事業であれば、政治献金は生れない。
民営化され、あるいは、競合団体側からの政治資金。
考えれば、分かりやすい構図だ。



2004 郵政民営化に関して、竹中大臣が面白いことを言った。
「政府が原案を出しているのに、対案が出てこないから話が進まない」という。
あたかももっともなようだが、根本的な部分に欠点がある。
もともと、変える必要のない制度を、無理やり捻じ曲げようとすることに問題があるのだ。
例えば、竹中大臣の名前は「平蔵」氏であるが、江戸時代の火付け盗賊改め方「長谷川平蔵」氏と同じ名前であるから、別の名前に変えるべきだ、「平吉」がよろしかろう、という議論が持ち上がったらどうするのか。
「平吉」ではなく「平助」が良いとでも、代案を出してくるだろうか。
現状のままで問題の無い名前を、どうして変えなければならないのかということになるだろう。
そうなのだ。現状が正しい場合、代案などは出てこないのだ。
郵政民営化は、そもそも、なぜ必要なのかを国民に明確に示すことが先決である。



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新規作成日:2002年7月10日/最終更新日:2005年1月18日