箱ブランコ訴訟
箱ブランコの問題
先日、東京高裁における、藤沢市の訴訟判決の話を聞きました。
個別の案件については、それぞれの事情が有り、一概に言えないものと思います。
が、一般論として。
遊具は安全であるべきです。
しかし、それは、通常の利用に限定してもやむをえないと思います。
箱ブランコの危険を指摘する。
今回の利用例として危険でしょう。
しかし、何十年かまえなら、おてんばなり、乱暴物として扱われ、怪我でもすれば「ばちがあたった」くらいに言われていました。
これは、しつけの範囲でもあります。
怪我で済めば良いですが、亡くなった方は確かに気の毒です。
では、そのリスクはだれが管理すべきなのでしょうか。
親が危険を指摘する必要はないのでしょうか。
製造、設置した責任を言うなら、そこで遊ばせた親の責任はないのでしょうか。
もちろん、メーカーや行政にも、しかるべき責任は有るかもしれません。
が、全面的に外部がおって、親を含む本人サイドが全く責任を持たなくて良いと言う事ではないでしょう。
もし、鎖が切れ掛かっているのがわかっていたら、壊れて危ないくらいの事は考えるでしょう。
事故が起こるまで、親も危険を感じなかった。これは子供への、危機回避責任を、親も果たしていないと言う事ではないでしょうか。
もし訴訟を言うなら、メーカーや行政に加えて、親も被告であるべきです。
そして、普通のブランコだって、立って乗るのは本来危険です。
360度空中回転する子供もいます。
私は臆病でできませんでした。と同時に、危ない遊びはするなとも教えられていました。危険を冒して遊んでいて怪我をした子供。やりすぎは危険と言う事を覚えました。
学習効果が有りました。
箱ブランコの危険を言うなら、普通のブランコだって危険です。
座っていても、もし何かの事情で落ちたら、数秒後に椅子の部分が頭を強打します。
鉄棒だって、高いところから落ちたら危険。
砂場だって、埋まったら危険。
滑り台だって、ジャングルジムだって、落ちたら危険です。
そんな当たり前の事は、子供と言えども理解して行く必要が有り、分からない子供には、親がしつけるべきなのです。
普通に利用している子供にどれほど危険なのでしょうか。
もし、悪い使い方をしている子供の為に、
訴訟を嫌って遊具撤去と言う事になれば、大勢の良い子が迷惑です。
藤沢の場合、当初、製造元と行政が相手にしなかったから問題を明確化させる為の訴訟と言う側面が有るかもしれません。
しかし、もし訴訟に勝ったとして、「何でも周りに責任がある」「何か有ったら訴えれば良い」と言う教育になったとすれば、大きな間違いです。
二階の窓から飛び降りて大怪我をしたら、2階を建てた建築会社が悪いのでしょうか。
2階の高さを1m程度にしておかなかった設計が悪いのでしょうか。
物事には常識があります。
その常識を教えられなくなっている大人全てに責任があります。
日本公園施設業協会は作成中の安全基準に「公共の遊び場にふさわしくない遊具」と明記することを決め、加盟の遊具メーカーは既に製造をやめているといいます。
これは決して、子供の危険に対していっているものではなく、訴訟と言う面倒にかかわるリスクを減らす為のものです。
そして本来、家族で、友達で、仲良く遊べるはずの遊具が、ごく一部の乱暴者の為に、なくなって行く。
そんなおかしな事が有って良いのでしょうか。
正しい遊び方をしない人が、公園へ入ってこなければ済む事です。
一部の公園では、球技を禁止しています。
それと同様に、仲良く楽しく安全に遊べない子供は、遊びにこなければ良いのです。
藤沢では2人で外側から押して遊んでいて事故になったとされています。
本来、内側の椅子に座って、楽しく遊ぶものを、悪ガキが占有していて起こった事故とも言えます。
周囲では、静かに楽しく遊びたい子供が、乱暴な遊びを見つめながら、遊べずに我慢していたかもしれません。
子供は色々な遊び方を創生するものだと言います。
確かにそうかもしれません。
規格外の新しい遊び方も良いでしょう。
しかし、常識に照らして、危険かどうかも学習して行く必要が有ります。
もし、このブランコがホントに危険と考えるなら、
世の中の自動車こそ、製造禁止にすべきです。
ブランコによる犠牲者と、車の犠牲者、どちらが多いんでしょうか。
もちろん、世の中の結論は現状維持でしょう。
自動車事故はあくまで過失の事故であり、異例な事で、本来は便利な道具と言う事です。
使い方を誤った場合の事を中心にして、話はしないものです。
新規作成日:2002年8月8日/最終更新日:2002年8月8日