どうにかならんか日本経済
高度成長期に続いて、バブル経済期があった。
株価高騰
株は、本来、資本主義経済の「資本」である。
会社の業績、将来性に対して、値が上下する。
本来は、実資本と、その部分に対する付加価値である。
バブル経済期、常軌を逸して、付加価値がついた。
ほとんど全ての株が高騰した。
本来の価値で値がつくが、買い方が増えると、競争価格となり、高騰する。
やがては、本来額面割れとも言うような、経営状態の悪い企業の株さえも、高値がつくようになった。
土地高騰
土地の場合、利用価値に応じて価格がつく。
不便な土地=利用価値が薄い。
坪1万円の土地では、お店を開いても客足もないが、坪1000万の繁華街なら客足も途絶える事はなかろう。
そして、人気のある地域は、価格が高騰する。
経済と言うのは、余分な需要により、余分に拡大する。
衣食住最低限で満足するなら、たいした物ではない。
経済力により、より豊かになろうとする事が、経済循環を潤す。
工業製品なら、増産で賄える。
機能強化で、付加価値も高まる。
しかし、土地には限りがある。限りあるもの、希少価値になると、価格も高騰する。
資本経済の原理の一つとして、資本の動きを見てみよう。
船を作って営業するとする。
計画を決定して、船を造る。
発注、起工、進水、引渡、そして営業航海になる。
造船所もボランティアではないから、発注に際して手付金が必要だ。
起工、進水と、工事進捗に従い、対価を支払い、引渡により、全額支払う。
そして営業航海を開始しても、即日もとが取れるわけではない。
何年か順調な営業を続けて、初めて採算となる。
さて、ここに至るまでも、従業員の給料も必要だ。
こういった資金は、借入金として処理される。
借入金は、主に銀行が相手になる。
担保としては、土地が一般的だ。
土地価格に対して、評価額が決まり、担保価値とされる。
景気が好い場合、借入金で業務拡大し、売上強化を図って行く。
景気上昇期、もしくは緩やかな上下の場合、大した問題はなかった。
バブル崩壊
実態を上まった評価額を基本とする張り子の経済が終焉を迎えた。
株価が下落する。
価格競争となっていたものの値段が下降する。
土地の値段も落ちてくる。
適正価格に戻ってくるのは良い事だが、脅威的に拡大した経済基盤が急激にしぼむと、いろいろ問題も多い。
土地を担保に融資していたものは、どうなるだろう。
借入側がきっちり返済できれば問題はない。
が、返済できない場合、担保の土地で弁済される。
しかし、担保当時の評価額を遥かに下回った価値しかない。
銀行も、土地を集めてもしょうがないから、売却して代金補填したいが、土地の利用価値が減っていれば、売れもしない。
こうして土地が余ってくると、更に土地価格が下落する。
バブル期なら、店を作れば客が来る、ビルを建てればテナントが入り、マンションを作れば飛ぶように売れる。
店を作っても客が来ない、ビルを建ててもテナントが入らず、マンションを作っても売れのこるようでは、経済活動が低迷する。
経済が冷えてくれば、投資意欲も減るし、企業実態をシビアに評価するから、株価も下落する。
企業において、資産としている、有価証券や、固定資産の価値が、こうして目減りする。
ま、ブクブク膨れた評価から適正値に戻ったのがホントなのだが、急激に訪れると、問題も多い。
市場経済も冷えてくれば、余分な買い物もなくなり、更に経済循環が悪化する。
銀行の「貸し渋り」が問題になった。
が、「不良債権」も問題である。
企業と言うのは、資本循環で成り立っている。
例えば、本を出版しても、即日完売し、代金回収できれば言う事はない。
編集、出版、流通にはさまざまなコストがかかるが、本の売れ行きは、1年前後をかけてゆるゆる売れて行き、代金回収もその後になる。
しかし、印刷や流通にもコストがかかれば、従業員給与も必要で、「本が売れたら支払う」では許されない。
このギャップを借入金により補う。
もし、売れ行きが滞れば、返済も滞る。不良債権となって行く。
赤字を埋める為の借金は、いろいろ問題だ。
上記の例で、いずれ売り切れるなら見込みが有るが、売れない損失補充なら回収の見込みは薄い。
この判断が難しいのだが、銀行自体も企業であるから、不必要なリスクは負いたくなかろう。
と言う事から「貸し渋り」が発生する。
「必ず返すから」とは、借金申し込みの決まり文句だが、「無い物は払い用がない」と言う結果も、良く見る姿である。
資金補充がなければ即倒産かもしれないが、資金補充をした上で潰れれば、失う損害額が拡大するばかりだ。
現在問題の不良債権の一つに、土地担保がある。
日本経済は、固定資産に対する担保依存が高い。
実体がないと信じないと言う例なのだが、バブル期、この実態も、オブラートに包まれ、実態を失った。
本来の価値を遥かに超えて経済を回した。
土地の物理的広さはかわらないから、余剰金は、余分な買い物に回る。
企業であれば、投資に回る。
が、経済が冷えてくると、根本となったものの価値以外は、全てが崩壊する。
資産の本来の価値を超えた分が、剥がれるのである。
資本主義経済は、借入−投資−回収、のサイクルだ。
上昇カーブの時は問題ないが、下降となると、冷えて行く。
市場金利は、お金の循環に連動する。
経済活性期は、資金の需要が高いから、金利も高い。
現在のように、0.00x などと言う低金利は、市場において、資金需要がない現われだ。
これは、赤字補填の運転資金需要とは別の話である。
新規作成日:2002年12月4日/最終更新日:2002年12月4日