国民年金未加入者の障害基礎年金

国民年金加入者が障害者となった場合、障害基礎年金が支給される。

年金は、一般に老後の支給だが、障害を負うのは老後に限ったことではない。

先日、国民年金未加入者の障害基礎年金が支給されない制度は問題があるとの判決があった。

以前は、学生の国民年金は、任意加入だったため、その間に、合法的にも、未加入であった者は、未加入期間中に障害を負っても、障害基礎年金が支給されないことになる。

これを不服として、裁判が行われ、原告側勝訴となった。

が、なんかおかしい。

年金は、そもそも相互扶助である。
若いうちに支払い、老後に支えてもらう。
あるいは、働けるうちに支払い、働けなくなった場合に支援してもらう制度だ。

経緯はどうであれ、支えていなかった未加入者が、支えてもらうのはおかしかろう。

一般の生命保険や傷害保険は、加入していなければ、支給されないのは当然のことだ。
加入は任意だが、加入なくして支給はない。

確かに、若いうちには、障害を負う事も予想しないし、老後は半世紀先の話だ。
が、経緯はどうであれ、きっちり考えておくべきものを、要は、キリギリスが助けを求めることになる。
そして、なんら支えることをしなかったものが、支給を受けることにより、制度の負担にのみなるということだ。

冷たいようだが、原作のイソップ物語「蟻とキリギリス」では、遊びほうけていたキリギリスは、蟻から食べ物をもらえず、凍え死ぬ。
これは戒めなのである。
(現在のわが国のイソップ物語「蟻とキリギリス」では、キリギリスは蟻と楽しく冬を越してハッピーエンドを興じる。これは原作が残酷だという理由だが、戒めの価値を失っている。)
これを冷たいとも言うが、貢献しなかった一部の者を、周りの負担となすことも決して正しいこととはいえまい。

現在の年金制度の大きな問題は、支える人数に比べて、支えられる人数が多くなりすぎているということだ。

支えなくても支えてもらえるという枠が拡大すれば、どういうことになるか、わかりそうなものだ。

国民年金の納付率はかなり悪くなっている。
取立ての方法も問題だが、こういったケースを含めて、きっちり広報し、きっちり対処すべきだ。



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新規作成日:2004年3月29日/最終更新日:2004年3月29日