三菱自動車の諸問題

2004 三菱自動車、三菱ふそうトラック・バスの、車輌の欠陥及び欠陥隠蔽が相次いで発覚し、社会問題となっている。
以下、「三菱」の表記は、三菱自動車工業、三菱ふそうトラック・バス両社を示す。

事の発端は、トラックのハブが破損しタイヤが脱落、死傷事故を起こしたことだが、その後の調査で、ブレーキ故障による死傷事故も相次いでいる。

問題なのは、その欠陥を、三菱が把握した上で、リコールをしなかったことだ。

しかし、社内では、その隠蔽工作が、リコールよりも優先していたようだ。
調査が入った場合に、かかる資料を隠す手段や、1分以内、3分以内、などの隠す時間の規定まで決めていたというから、その態勢は、防衛機密以上のものだ。
が、本末転倒であろう。
自動車メーカーは、確かな製品を供給することに熱心であるべきで、このような隠蔽に神経を注いでも仕方ない。

根本的な問題として、三菱には、満足な車輌を生産する能力があるのだろうか。
タイヤ脱落など、おもちゃの車でも今時起きない。
ブレーキ、ハブ、クラッチ、車の基本が出来ていない。
欠陥の車種は、20とも言われるが、欠陥のない車種は残るのだろうか。

この能力は、会社の問題でもあるが、その従業員にまったく問題がないとはいえまい。

隠蔽についても「会社の方針で従わざるを得ない」というかもしれないが、事はそれではすまない。
「会社の存亡の為に、他社の社長を殺して来い」と言われたら従うのだろうか。
殺人とは違う、とはいえまい。
確かに、レベルは違いそうだ。刑法の殺人と、隠蔽協力は、一見違う。
が、この隠蔽によって、起こらなくてもよい死亡事故が起きているということだ。
車のリコールは事故を防ぐためのものだ。
これを隠蔽するということは、死亡事故のリスクを承知しているということだ。
「会社の方針で、死亡事故が起こることをいとわずに隠蔽する」ということだ。
されば協力した社員はみな同罪だ。
殺人でも事故でも、亡くなった命は返ってこない。
亡くなった方の人生は終わりだが、三菱の隠ぺい工作に当たったものの人生はまだ続いている。

さて、三菱の車。
これが現在街中を走っているが、許されることだろうか。
一部の警察やバス会社では、良識に従い、三菱の車の使用を止めている。
事故のリスクを回避するためのしかるべき措置だ。
かくも欠陥のる三菱の車、製造の責任は三菱にあるのだが、この現状、所有者使用者も、その利用についてはリスク管理を行うべきだろう。
当方の周辺において、三菱の車の関係する事故があった場合、例えそれが三菱の欠陥であったとしても、その欠陥のリスクを承知で運用していた利用者を許すことはない。
これほど社会問題化した欠陥車を放置すること自体、容認される問題では無いのだ。

これは、三菱の車のボイコットに近い。
私は三菱の車のボイコットを推奨するわけではないが、かくも欠陥の多い、また、欠陥をはらむ車は道路を走ってもらいたくはない。
都市交通たるバスにも、乗客の安全のためには使用されたくないし、大切な荷物を運ぶトラックにも、使用されたくない。
緊急時に使用される、パトカー、救急車、消防車にも、緊急時の任務を安全に全うするためにも利用してもらいたくはない。
もちろん、歩行者の安全のためにも、使用されたくない。
その責任は、他ならぬ三菱にある。

欠陥のある車をつかまされたユーザーは、要は詐欺にあったのと同じだ。
安全に使い続けることの出来ない車輌を維持する義務は無かろう。
三菱は、即刻購入価格で引き取るべきだ。
されば、あまり迷惑がかからずに、道路から危険な車が排除される。

経営合理化前倒しとして、役員報酬の最大5割カット、社員の冬のボーナスカットなどが出ているが、役員報酬があること自体、この局面では舐めた話だ。
もっとも、経営責任は社内のことだから、株主が納得するのであればそれも良かろう。

しかし、かかる危険な車輌が道路を走ることは、即刻何とかしてもらいたい。

三菱のホームページでは、「お詫びと決意」などが掲載されているが、「コンプライアンス第一」などと格好をつけている段階から、もはややる気が感じられない。
コンプライアンスとは、法令・企業倫理遵守だが、そんなことは宣言する以前のものだ。
過去の企業体質のウミを徹底的に出し切るなら、現在の管理職は総辞職すべきだろう。
トラックによる死傷事故について「不具合情報が会社内の一部において十分検討されないまま処理されたものではないかと深く反省」とあるが、これは事実誤認だろう。
既に「危険がわかっていながら」ということは明白である。
冥福を祈るなら、責任者の何人かが人柱になっても、ばちはあたらない。


2004.6.22 三菱自動車への確認
リコール前の車両について、その設計製造上の責任はメーカーにあり、(三菱車の現状といえども、)設計製造上の責任に起因する事故については、メーカーが負担すべきものである。
すなわち、使用者においては、三菱車使用上のリスクを考慮する義務はないと言うこと。

尚、リコール後については、リコール内容を利用者が精査し、その程度により、車輌の補修を急ぐことや、利用を控えるなどの対策を講じる必要があり、それを怠ったことによって発生した事故については、メーカーが責任を負う義務がない場合もある。



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新規作成日:2004年6月16日/最終更新日:2004年6月22日