発明特許の対価
日亜化学工業に在職中の、青色発光ダイオードの発明特許に対する対価として、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授のN氏が訴訟を起こし、一審では200億円の判決が出た。
会社側はこれを不服として控訴し、このほど裁判所の和解勧告により、8.4億円の支払いで決着した。
しかし、N氏は不服であるという。
不服だったら和解に応じなければ良いのだが・・・。
さて、発明特許の対価、欧米では広く認められているという。
これに対して、わが国では、従業員の職務範囲として、個々への見返りは低いとされる。
N氏は、これを不満とし、研究者の意欲を向上するためには、十分な見返りが必要だという。
あたかももっともだ。
が、個人が、自宅で研究し、特許を得て、これが利益を生むのであれば、問題は無い。
しかし、企業の設備などの資産を使用し、報酬を得て初めて達成された特許である。
研究者がそれを独占することに問題は多いだろう。
権利を主張すればきりが無い。
例えば、N氏にお茶を出した事務のおねえちゃんが居たとする。そのお茶の一服でひらめいた発明なら、そのお茶の貢献度はどのくらいなのだろうか。
また、研究開発とは、そもそも達成の保証も無い。
出来る見込みの無い研究にも投資をする企業の努力と、達成しなくても報酬をもらう研究者が対等ではなかろう。
N氏は、研究者の地位向上というが、返って研究者への要求のみが高まり、特許にならない場合の切り捨ても横行するのではなかろうか。
N氏が自己の貢献を主張するのはかまわない。
しかし、N氏の周りのものは、N氏に対して、貢献の対価を安易に求めて差し支えないということであろう。
新規作成日:2005年1月12日/最終更新日:2005年1月12日