Column


イギリス・ケータイ事情
by peace_student

イギリスの携帯電話は、通話料金も電話機も高い。でも、みんな持っている。かなりケータイ中毒な国民かもしれない。

イギリスの場合、二種類のケータイがある。ひとつは月額料金タイプとプリペイドタイプ。月額料金タイプ(Montly Pay)の場合、一定時間の通話料金とテキストメッセージ料金が含まれている。購入の場合は、電話機がタダという場合が多い。一方、プリペイドタイプ(Pay As You Go=使っただけ払ってね)は、電話機は有料だけど、身元確認もなしに、その場で買って、クレジットをチャージすればすぐに使える。

僕はプリペイドを買った。プリペイドの場合、電話機は£60〜300(1万2千円から6万円)とかなり高い。ベッカムが日本のヴォーダフォンのCMで使っているカメラ付の機種は高価な機種。で、自分は£80のモトローラ社製のV66iという機種を買った。値段は£85。カメラは着いてない。画面はモノクロ。着メロは、ピッポッパ。16和音とか32和音なんていうレベルではない。

で、サービスの方はというと、日本のそれに比べると3年くらい遅れている。まず、通話料金が高い。プリペイドタイプの場合、同じ電話会社(“同じNetwork”と表現する)にかけると、1分20円。異なる電話会社へは1分40円と、2倍になる。固定電話(イギリスでは、“Landline”と言う)へは、1分70円にもなる。日本と比べると、やはり電話料金は高い。

で、メールは出来るのか?というのが気になるところだが、答えは“出来るけど、一般的じゃない”である。ヨーロッパ(イギリスを含む)やアメリカ、アジアで多く使われているGSMというタイプのケータイは、基本的に「SMS(ショートメッセージサービス」というものでメールを行う。ただ、ここで注意しないといけないことは、これは正確にはメールではなくて、“ショートメッセージ”であること。日本の場合、ケータイでメールができると言うのは、つまりインターネットを経由してメールを送りあっていることを意味する。でも、こちらではそうではない。あくまでも、ケータイの回線同士で行っているだけなのである。だから、ケータイのネットワークでしかメッセージを交換できない。ちなみに、料金は1回20円。高い。日本で言うインターネットメールをするには、WAPというシステムに対応した機種で、iModeのようにネットに接続して、そこで自分のインターネットプロバイダーの受信ボックスのアドレスを設定して…という複雑なことをしないといけない。まず以って、素人には分からないだろう。

技術やサービスを比較すると、日本のケータイが勝ちであるのは明らかである。あえて、こちらのケータイが日本のケータイより勝っている点は、その利用地域の広さだろう。GSMというタイプのケータイは、日本や韓国などだけで使われているPDCやCDMAというタイプとは違い、世界中の国で採用されているので、自分のケータイを外国に持って行っても、そのまま使える。番号もそのまま。もちろん、通話料金はローミングサービスによって、国際電話料金になり、掛ける方も受ける自分も料金を払わないといけない。日本であるレンタル携帯やグローバル携帯と呼ばれるものは、このGSMケータイのことであり、特にイギリスのケータイ会社の電話機を貸し出したり、売っている場合が多い。こちらに来て、そんなギョーカイの仕組みを知ってしまった。。

そんなケータイ環境で、イギリス人はどんな風に使っているのかが気になるだろう。結論から言うと、ケータイ依存症の傾向アリである。

まず、みんな電話をしている。通話料金が高いのに、延々と話をしている。そして、SMSをかなり送っている。暇なときは、ケータイ片手に親指が動いている。電車やバスに乗るとき、歩いているときもケータイを片手に持っている人が多い。カバンの中に入れる人は少ない。ベルトのホルダーに入れたり、首から提げたりと、いつでも受信体制が整っている。

で、そんな感じなので、大学の授業中もピーとケータイが鳴る。結構鳴る。頻繁に鳴る。毎回鳴る。もしかしたら、ある日本人には“なんてイギリス人はケータイマナーがないのかしら!”と思う人もいるかもしれない。

これはイギリスに限ったことではないと言うのが僕の結論。オランダでも、アイスランドでも、オーストリアでも、クロアチアでも、スロベニアでも、ボスニアでも、中国でも、台湾でも、アメリカでも、みんなケータイを持ってる人は通話してる。少なくとも、僕が言ったことのある国では。ケータイを持ってると、人間は誰でも、誰かとコミュニケーションを取りたくなるものらしい。

終わり。

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