TBS・JNN
2004年4月16日(金) 16時26分

http://news.tbs.co.jp/asx/news944100_12.asx

米国務長官「3人を誇りに思うべき」

 アメリカのパウエル国務長官はJNNの単独インタビューに応じ、人質となった3人について、「イラクの人々のために、危険を冒して、現地入りする市民がいることを日本は誇りに思うべきだ」と語りました。

 JNNとの単独会見に応じたパウエル国務長官は3人が解放されたニュースを聞いて、「とても喜んでいます。日本人人質のことを心配していたので、無事解放され、とてもうれしい」と語りました。
 
 また、パウエル長官は日本人人質とは反対にイタリア人民間人1人が殺害されたことに弔意を表すとともに、日本、イタリアの両首相が誘拐グループの部隊撤退要求に応じなかったことを高く評価しました。
 
 「大切なことは小泉総理も、イタリアのベルルスコーニ首相も『テロに屈してはならない』と言っているということです。テロリストの言いなりになってはいけない。人質の状況は気の毒に思います。家族が人質になるとは誰も思っていません。私たちは人質の救出に全力を注ぎますが、犯人に屈してはいけません。『何でも言うことを聞く』などと言ってはいけません。彼らは新たな要求をしてくるだけです。文明世界はこうした動きに立ち向かわなければならないのです」(パウエル国務長官)
 
 さらに日本の一部で、人質になった民間人に対して、「軽率だ、自己責任をわきまえろ」などという批判が出ていることに対して、「全ての人は危険地域に入るリスクを理解しなければなりません。しかし、危険地域に入るリスクを誰も引き受けなくなれば、世界は前に進まなくなってしまう。彼らは自ら危険を引き受けているのです。ですから、私は日本の国民が進んで、良い目的のために身を呈したことをうれしく思います。日本人は自ら行動した国民がいることを誇りに思うべきです。また、イラクに自衛隊を派遣したことも誇りに思うべきです。彼らは自ら危険を引き受けているのです。たとえ彼らが危険を冒したために人質になっても、それを責めてよいわけではありません。私たちには安全回復のため、全力を尽くし、それに深い配慮を払う義務があるのです。彼らは私たちの友人であり、隣人であり、仲間なのです。」と述べています。
 
 パウエル国務長官のこの発言は自己責任論を強調する日本政府の見方とは著しい対照ぶりをみせています。アメリカ政府は有志連合の結束に影響が出ることを警戒していますが、アメリカ人、民間人をターゲットにした誘拐事件が今後も頻発すれば、世論にも大きな影響が出るものとみられ、イラク情勢は予断を許さない状況が続きそうです。(16日 16:26)

 

 

 

 

News23 多事争論
4月13日(火)「自国民」
http://www.tbs.co.jp/news23/taji/s40413.html

12日のこの時間で私が「人道と人命」と題して意見を述べたことに対して、賛否両論を含めてたくさんのご意見をいただきましてありがとうございました。

「『国民を守る』ということは、どんな国家であれ、それは最優先の課題だ」ということを申し上げたのでありますが、しかしながら、きのうきょうと家族の方々が繰り返し謝り続けている、それをなぜだろうと思っていたら、たくさんの嫌がらせや誹謗中傷があったということであります。「多事争論」と言っておりますのは、いろんな意見があっていいということでありますけれども、しかし、その域を超えた中傷とか嫌がらせというのは私は大変問題だろうと思います。

「危ない所に行ったのが自業自得だ」と言いますけれども、日本政府はイラクを完全に危ない所だと見なしておりません。自衛隊を派遣できる根拠もイラクにも安全な所、非戦闘地域があるという前提でやっているわけでありまして、もしそれがフィクションだとしたら自衛隊派遣そのものの基礎が崩れてしまうことになります。

実際にはその状況は刻々と変化しているようでありますが、それにテロリズムがこれだけ世界に広がっている時代に、安全な所というのは、完全に危なくない所というのは存在いたしません。例えば子どもをハワイにやる時に、ハワイが危なくないと考えるのかどうか、あるいは子どもが渋谷に出かけていく時に、それじゃそれをどうするのかと考えれば、これは無限に広がる話であります。

そして、さらにあえて申し上げればこの3人のイラクで捕らわれている人たちは、少なくとも自分の利益のために何かしたということはありません。私たちはこういう若者を必要としているのかしていないのか、そして、さらに卑劣な中傷をする人たちとどちらを必要としているのか、考えてみていいことではないでしょうか。