朝日新聞電子版:2004年4月27日 http://www.asahi.com/national/update/0427/038.html 「自己責任」問う声に反論 イラクで拘束の2人が会見 日本外国特派員協会で会見する渡辺修孝さん(右)と安田純平さん=27日午後、 東京・有楽町で  イラクで武装勢力に拘束された市民団体メンバー渡辺修孝さん(36)と、ジャー ナリスト安田純平さん(30)の2人が27日、東京・有楽町の日本外国特派員協 会で記者会見した。拘束時の様子を改めて振り返るとともに、政府・与党や一部メ ディアに根強い「自己責任」を問う声に反論した。  質疑応答で海外メディアからは「人質へのバッシングが続いたことをどう思うか」 などの質問が続いた。  渡辺さんは、先に拘束された高遠菜穂子さんら3人の家族が、武装勢力が解放の 条件とした「自衛隊の撤退」を政府に求めたことがバッシングにつながったと指摘。 「家族が助かることを望むのは正当な権利。それを政府に反対する政策を主張して いると受け取り、ゲリラの代弁者のように扱った」と批判した。  人質になった人たちを「反日的分子」と批判する与党議員がいることに対しては 「反日で何が悪いのか」と述べた。  安田さんは、実家を取材に訪れた記者に家族が「息子をイラクに送った親の責任 をどう考えるのか」と質問されたのを例に挙げ、「自己責任という言葉がどこまで 考えて使われているか注意しないといけない」と話した。  安田さんは、バグダッド西方に取材に向かった理由として、「米軍によるファルー ジャ周辺の掃討作戦が人質事件の背景にある。その現場で起きていることを見なけ ればならないと考えた」と強調。アブグレイブ付近での拘束については「そこまで は行けるだろうという甘い考えもあった」と反省も口にした。  目隠しされ、武装勢力に連行された民家では、子どもがお茶を運んできた。「生 活の場で処刑されることはないだろう」と安心した。食事も山盛りのご飯や新鮮な 野菜などが与えられたという。  安田さんは「(駐留米軍に)抵抗しているのは一部のテロリストやフセイン前政 権の残党と言われるが、私たちが接した範囲では、地域住民が自分たちの社会や生 活を守るために戦っている印象を受けた。レジスタンス(抵抗運動)と言ってもい いのではないか」と振り返った。 (04/27 20:56)