もともと,仕事で携帯やPHSを使うということはほとんどない。孤独な身の上だから,プライベートでも使う可能性は低い。
それでも「安心だフォン」を買ったのは,一人暮らしのお袋と連絡を取るためである。せいぜい週に1回ぐらいしか電話をしないのだが,電話に出なかったりすると何か事件でも起きたのかと気になってしまう。後で聞けば,風呂に入っていたとか,買い物に出かけていたとか,たわいないことばかりなのだが,ひょっとしたら風呂で倒れているのではないかとか,交通事故に遭っているのではないかとか,とにかく妄想がふくらんでしまうのである。
いつでも連絡が取れるようにするには,携帯かPHSが一番,というわけでさっそく持たせようと思ったのだが,お袋の年を考えれば操作が複雑なものはさけたい。お互いに連絡が取れればよいので,多機能なものはいらないし,基本料金が高いのも困る。そう考えていろいろ調べてみたら「安心だフォン」に到達したわけである。同一機種を2台買って,お互いが持って歩き,いつでも連絡がとれて「安心だ」というわけである。
購入した機種は,カバーを閉じておけばボタンは3つしか見えない,しかもその3つがそれぞれ登録した電話番号に対応しているので,どれか一つを押せばよいだけというすこぶる簡単に使えそうなものである。
しかし,実際にお袋に使わせてみるとこれがなかなかのくせ者なのである。そもそも,携帯とかPHSとかは本来が年寄り向きに設計してあるとはとうてい考えられない。
まず,文字が小さくて,何が書いてあるか読めない(らしい)。液晶も見にくい(らしい)。
電源がカバーを開けないと入れられないのだが,そのカバーが開けにくい(らしい)。しかもボタンを長押しをしないといけない,というリクツがよくわからない(らしい)。
電源を切るのも同様。さらに通話終了と電源を切るのが同じボタンなので,お袋に電話をすると必ず最後は(長押しして)電源を切ってしまい,2度と通じなくなる。
これではとても安心していられない。
年寄りが使うことを考えたら,ソフトスイッチはやめるべきであろう。カバーを開けてスイッチを入れるなどというややこしいことはやめて,メカニカルなスライド式スイッチを外部の目立つ位置につけるべきだと思う。カチカチと明確な操作感のあるスイッチ,これが肝心である。
液晶画面なんかいらないから,電源スイッチと宛先別の3つのボタン,これだけあれば十分だと思うのだがいかがであろうか?
設計図を載せておいたから,参考にしてほしい。まねして作るときは,私に連絡するように。
えっ,電話に出るときはどうするかって?
どれかボタンを押すとか,握るとスイッチが入るとか,スピーカーを耳に当てるとスイッチが入るとか,いろいろ考えられると思うけどね。
(2002年1月)