スピードに不満はないのだが……

 今のマザーボードとPentium133MHz(ノーマル)のCPUにしてから,ちょうど2年がたったので,そろそろマシンのスピードを上げようかと思った。
 家では,インターネット関連かNIFTY,家計簿代わりのロータス123,エディタぐらいしか使わないので,今でも特に不満はないスピードなのだが,まあ,Windows98も出ることだし,一応ボーナスも出たことだし,ここいらでちょっとCPUを交換するぐらいなら罰も当たらないだろう,というわけである。実際,仕事では,PentiumIIのマシンを使っているが,年とって感覚が鈍くなったせいか(?),家のパソコンにイライラしたりはしないのだ。まあ,インターネットがもっと速くなるといいけど,これはCPUのせいじゃない。

DX4に変えたときは苦労をした

 以前,CPUを486DX33MHzからDX-4の100MHzに交換したときは,CPUを引っこ抜く道具を知り合いから借りたり,下駄を履かせたり,外側のピンを1列曲げてしまって修復にえらい苦労をしたり,差す向きを間違えてCPUがメルトダウンを起こしそうになったりで,けっこう苦労をした思い出があるのだが,Scoket7ならかんたんそうなので一丁やってみるかと思い立った次第である。

下駄でも履かせるか

 CPUを変えると言ってもいろいろな方法がある。その辺は専門誌に任せるとして,こちらとしては,そこそこ2倍ぐらいのスピードになれば御の字だ,予算は3万円以内なんて皮算用をしながら,ろくに調べもせず秋葉原に向かったのだ。調べないと言っても,そこはそれ,コア電圧とかベースクロックとか倍率とか,AMDだとかサイリックスだとか一応はうろ覚えだが,それなりににわか仕込みの予備知識は持っていったわけである。予算は2〜3万で,下駄でも履かせるか,なんて考えながら,秋葉原の店をうろついていたら,IDTのWinChipというのが目についた。値段は,なんと6000〜8000円である。これがあの安くて有名なWinChipかと思ったら急にほしくなってしまった。ただ,知識がないので,一応,LAOXに行って,立ち読みでさらなる予備知識を仕入れたのだ。どうも内部的にはPentiumというよりも,超高速の486といった感じらしいが,コア電圧も3.3Vだったりして,下駄も必要そうにない。かつてのDX-4の悪夢を思い出して,これこそイージーなCPU換装法と思ったのである。

IDC C6-200を買ってしまった

 さっそく元の店にとって返し,WinChipを購入しようとした。安い方にしようかと思ったら,どうも電圧が違うのである。安いのは,3.5Vなのだ。うーん,もっと家でしっかり調べてくるのであった。マザーボードのマニュアルに,電圧の切り替え用のジャンパーがあるのは憶えていたのだが,3.5Vに設定できたかどうか忘れてしまった。メモをしておくべきであった……。
 まあ,3.3Vを買っておく分には問題はないわけで,私は金持ちだから1000円高いぐらいならいいかというわけで,税込み7640円でIDT WinChip C6-200を買ってしまったわけである。

げげっ,486DX-4だって!

 帰りついでに,本日発売のWindows98を買って,いそいそと家路についたのである。家に帰ったらあまりに暑いので,クーラーなんかを入れて,おもむろに我が愛機のふたを開けて(そういえば,ここ何年かケースのねじを止めたことがない),いきなりCPUをとっかえてしまった。Socket7はかんたんでいいねえ,おっと,ジャンパーピンを取り替えるのを忘れていた。
 いよいよ火入れ式なんちゃって,おもむろに電源を入れると,起動画面が出て……,ありゃ,486-DX 66MHzなんて表示されるぞ,しかし,おじさんはだまされないのだ,これで大丈夫なのだ,ちゃんと3倍速で動いているのだ,立ち読みした本にそう書いてあった,なんて思いながら,Windowsの起動を待ったのだ。いつもの見慣れた画面まで,ちょっと速いような気がする,などと思いながら,さっそくベンチマークである。慣れ親しんだWinTachをやってみよう。

止まったぞ?

 お,順調順調,数字があまり速くないか,なんてわくわくしながら画面を見ていると,あれ,なんかおかしいぞ,動いていないみたいだ,マウスを動かしてもカーソルが止ま……,CPUを触るとものすごい温度,レギュレーターは火傷しそう,こりゃいかん,というわけで即座に電源を切ったのだ。何か,間違えたか,マザーボードと相性が悪いのか,とりあえず,CPUを元に戻してみよう。CPUをはずして,ファンを付け替えて,ジャンパーを変えて,もう一度スイッチオン。無事立ち上がっ……,え,またエラー。いきなり再起動してしまったぞ,どこか接触が悪いのか,ありゃ,今度はVXDエラーでWindowsを再インストールしろだって,それじゃBIOSをいじって……,なぬ,今度はセーフモード!,それならこうしてやる……,ああ,起動画面の色が変わってそのまま止まっちまったぞ,今度はこうだ,どうだ参ったか……,というわけでいろいろやっているうちに元に戻ったのだ。まあ,このてのことはよくあることで,ちょっとやそっとでは壊れはしないということも知ってはいるのだが,少々焦ってしまったぞよ。
 なんだかよくわからないうちに元に戻ったので,再度,IDTに入れ替えたのだ。今度はなぜか一応無事に立ち上がった。
 使ってみた感じでは,まあ,ちょっと速くなったかな,それとも気のせいかな,というぐらいの印象である。かつてビデオボードをET-4000からStealthに変えたときのような,それをさらにPowerWindow3DVに変えたときのような,あるいはDX 33MHzをDX-4 100MHzに変えたときのような,おおっ速くなったぜ,さすがだぜ,というような変化はない。まあ,安いからなあ,こんなもんかなあ,というわけで,再びベンチマークである。

あんまり速くないかも……

 ベンチマークはWinTachとFinal RealityとBench32(「よねだ@がじぇっと」さん作)というのを使わせていただいた。結果は下の「ベンチマーク」をクリックして欲しい。
 WinTachとFinal Realityの結果は,まあ,こんなもんであろう。せいぜい1.2倍といったところである。悲しいのはBench32の結果である。浮動小数点の計算は遅いとは思っていたが,Pentium133MHzの半分近い成績には,がっかりしてしまった。それでも,まあ,安いからいいか。

マシンスペック   ベンチマーク


BIOSも変えてみた

 てなわけで,あんまり速くならないけれどそこはそれ,とは思いつつも,起動時に表示されるDX-4には我慢がならない。この私が,DX-4とは許せない。

 そこでひょっとしたら表示が変わるかもしれないと淡い期待を抱きつつ,今度はBIOSのバージョンアップに挑戦である。私のBIOSはAwardの103というバージョンだが,ASUSTeKのホームページをのぞくと,どうやら205にアップしているらしい。さっそくT25I0205.AWDというファイルをゲットである。

 マニュアルを読むと,なにやら恐ろしげなことが書いてあるが,そこはそれ,清水の舞台から飛び降りるつもりで,エイヤッ,とやってしまう。

ジャンパーピンは何処へ!

 BIOSの書き換え無事終了,あとはジャンパーを戻してふたをして,あれ,ジャンパーピンが……,どうしてこう狭いボードの間にピンがあるんだ,指先からはなれて中に落っこちてしまったではないか。どこへ消えた,逆さにしてみよう,あれ,ないぞないぞ,ええい,ボードをみんな外してしまえ。これはえらい大騒ぎになってしまった。探すこと約1時間,私は,月刊アスキーを3段重ねにして,ふた組並べた上に本体を置いているのだが,そのアスキーの本と本の間からジャンパーピンが見つかったのである。(そういえば,かつてX68000の中に落としたネジは未だに出てこない……)

 クーラーをがんがん効かせておいてよかったが,それでも汗だくになりながら,やっとスイッチオン。なんと,ご丁寧にもIDT C6-CPU at 200MHzとしっかり表示されるではないか。さすがだね,ASUSTeK & Awardさん。これで面目が立つというものだ。

安くていいかも

 このWinChip C6-200というしろもの,値段が安いのが最高の取り柄でしょう。ごらんのように,Pentium133MHzより速いといってよいのか何といってよいのか,言葉に苦労する性能である。DOS/V magazineの1998/8/1号233pを見てもそれはわかる。

 だから,交換するとしたら,ちょっと一昔前のマザーボードのベースクロックが66MHzまでのやつで,Pentiumの75〜100MHzぐらいのものだったら,これはもう体感上もずいぶん速くなったと感じるのではないか。その上,値段が値段だから,壊れたっていいや,ぐらいの軽い気持ちで(?)アップグレードできるわけである。私のようにクロックアップなんぞ恐ろしくてやれないという,小心者にはちょうどいい。

はずしたCPUはPRESARIOへ

 ところで,取り外したPentium133Mhzはどうしたかというと,子供部屋にあるPRESARIO 5224(Pentium90Mhz)に差してしまった。PRESARIO 5224はモニタ一体型のパソコンで,中を覗いたのは初めてだが,これがなかなかよくできていて,ネジを2本手で回すだけでマザーボードが丸ごと取り出せる。何本かケーブルをはずさないと,取り出せない,なんていうどこかのパソコンとは違うのだ。マザーボードの裏には,しっかりとジャンパーピンの説明があって,なんなくCPUを取り替えられた。セカンドキャッシュがなかったりして,性能はちょっとという感じなのだが,設計はさすがに合理的である。

(1998年7月30日)

とびらへ