海外旅先通信事情

 海外旅行先のホテルで試みたパソコン通信の結果である。
 パソコンは東芝のLibretto20,モデムカードはMegahertzのXJ3288J-Pである。リブレットはメモリを20MBに増やしただけで,改造などはしていない。ACアダプタも買ったときのまま,つまり国内仕様である。
 これに加えて,IBM Modem Saver(モジュラージャックに使える信号が来ているかどうかを調べるテスター)を持って歩いた。
 なお,金額や状況はすべて,その旅行時点のものである。

アメリカ合衆国(1996年11月現在)


 
 アメリカの通信事情は,当然のことかもしれないが,大変よいようだ。
 以下のすべてのホテルの電話に,データポートと呼ばれる通信用のモジュラージャックがついており,そのまま通信可能だった(一流?ホテルのせいかもしれない)。
 ただし,あらかじめクレジットカードを見せてディポジット(deposit)をしておかないと,電話が使えないのがふつうのようだ。depositをしても,さらに催促をしないと電話がつながらないところがあった。英語ができないので苦労した。カードはすべて,JCBが使えた。
 壁に予備(?)のモジュラージャックらしきものがついているホテルもあったが,Modem Saverで調べた限り,そこに信号は来ていなかった。
 この旅行中だけ,MSN(マイクロソフトネットワーク)に加入し,すべてMSNにつないだ。えらく簡単だった。
 ただし,MSNの場合,添付ファイルはUUENCODEしか通さないようで,BASE64でファイルが送られた場合,すべて意味不明の文字の羅列になってしまう。WinCodeなどの変換ソフトが必要だった。
 電圧は120Vだが,Libretto20をそのまま使って,特に問題は生じなかった。
  • HYATT REGWNCY CHICAGO(シカゴ)
  • GRAND HYATT WASHINGTON(ワシントン)
  • THE DRAKE SWISSOTEL(ニューヨーク)
  • MARIOTTO DES MOINES(デモイン)
  • HYATT REGENCY PHENIX(フェニックス)
  • MARIOTT HOTEL & MARINA SAN DIEGO(サンディエゴ)
  • HOTEL NIKKO SAN FRANCISCO(サンフランシスコ)

 なお,アメリカ国内では,飛行機の中でも通信が可能である。
 乗ったのは,ユナイテッドとサウスウエストの2社だけだが,どちらも座席の前に電話機があり(3人掛けなら真ん中の席の背の部分),受話器にモジュラージャックがついている。支払いはクレジットカードで,受話器のスロットに通せばすぐ使える。ただし,サウスウエスト航空はJCBが使えなかった。数分使っても10ドルぐらい取られるので,もったいない。
 空港内にもモジュラージャック付きの電話機があるが(AT&T製),JCBもVISAも使えなかった。
 国内線の持ち物検査で,Librettoは電源を入れさせられた。

ドイツ(1997年8月現在)


 (株)ディー・アートから発行されている,「モービルパソコン ロード・ウォーリアハンドブック」によれば,ドイツの電圧は220V,コンセントはCまたはSEと呼ばれる丸いタイプのもの,モジュラージャックは専用のものらしい。
 変圧器は秋葉原の石丸電気で買い(マグナス電子工業製MTB20),ドイツ用のモジュラージャックは秩父電気で購入した。変圧器は,ドイツで使うからと言って買ったもので,CタイプかSEタイプかは不明である。

 結論から言うと,ドイツの通信事情はよいとはいえなかった。古いホテルではだめなのかもしれない。
 以下の3か所のホテルで試みたが,成功したのは,フランクフルトのSheratonだけである。ここはアメリカと同様,データポートが電話機についていた。したがって,通信はきわめて簡単である。
 この旅行中,ドイツ専用のモジュラージャックは全く使用しなかった。
  • Sheraton Frankfurt(フランクフルト)
  • PRINZ HOTEL ROTHENBURG (ローテンブルク)
  • PLATZL HOTEL(ミュンヘン)

 ローテンブルクのPRINZでは,Modem SaverのLEDは全く点灯しなかった。ミュンヘンのPLATZLホテルでは,Modem Saverの赤と黄色のランプが点灯した。デジタル回線なのか?
 いずれのホテルも,配線をたどってみてもジャックのようなものは見あたらず,工具や他の機器がなければとても使用できそうになかった。
 また,フランクフルト,ミュンヘン,いずれの空港でも通信に使えそうなモジュラージャック付きの公衆電話は見つけられなかった。

socket もう一つ困ったのは,コンセントである。
 持っていった変圧器ではホテルのコンセントに入らないのである。形状はあっているのだが,コンセントの差し込み口が奥まったところにあり,変圧器の本体がぶつかってそこまで届かないのだ。
 リブレットのバッテリーはなくなるし,これでは宝の持ち腐れである。
 ミュンヘンで電気屋を探したところ,端子をのばすアダプタが見つかったので,その後は何とか使用できたが,通信できなかったのであまり意味はなかった。
(写真左上が,ドイツのモジュラージャック,右上がコンセント,右下が変圧器−プラグが届かない。)

 また,ミュンヘンからフランクフルトまで国内線に乗ったが,この手荷物検査で(私の人相のせいかもしれない),カメラはシャッターを切らされ,Librettoは電源を入れさせられた。
 パソコンは日本の国内線でも電源を入れさせられるが,カメラは初めてである。変圧器につなぐアダプタがあって,充電済みだったからよかったものの,そうでなければ,220Vに直接にはつなげないし,変圧器だけではコンセントに届かないしで,どうなっていたのだろう。


ドイツ(1999年8月現在)


  • BASELER HOF(ハンブルク)
 高級ホテルではないが,落ち着いた雰囲気でスタッフの感じも良いホテルである。
 モデムのジャックはドイツ式,棚の下に隠れるように二つある。ただしひとつはModem Saverで反応無し,電話のつながったもう一つは黄色のランプがついた。
 2年前に買ったドイツ式のジャックがやっと日の目を見たわけである。通信は電話機をはずして行った。
 今回は,iPass社のローミングサービスを利用した。使用したプロバイダはhi-hoである。ローミングサービスの料金が通常の利用料以外に1分30円かかるので決して安いとは言えないがまあいいか,といった感じである。(そう言えば,前回のドイツではどうやってつないだのか,すっかり忘れてしまった。Compu Serveにつないだのかな? 年をとるとすぐに忘れてしまう……。)
 ホテルの交換機が古い?などの理由があるのかもしれないが,回線状態は悪いようだ。なんと,8割ぐらいの確率で接続中に回線が切れてしまうのには閉口した。 
 1日2回,家族とメールのやりとりをしたのだが,東芝のAllegretto(PDR-2)で撮った写真を貼付したためにそれなりに時間がかかる。その間に切断されてしまうのである。
 頭に来て成功するまで何回もやったために,後で請求を見たら1週間でなんと64回も電話していた。
 ちなみにAllegrettoは小さくて軽くて,旅行には便利である。ただし,画質がよくないので,大きなサイズでは使えない。98年の5月に買ったのだが,まだ1回も電池を取り替えたことがないという驚異のデジカメである。(まあ,ほとんど使っていないというせいもあるが……)

インドネシア(2000年5月現在)


  • BALI HILTON INTERNATIONAL(バリ島)
 モジュラージャックは日本と同じ。電圧は220V。コンセントの形状はドイツと同じだった。ただし,ドイツと同様,プラグをのばす器具は必要である。洗面所には,ひげ剃り用として110Vの表示のあるコンセントがあったが,電気が来ていなかった。
 ホテルの雰囲気はよいが,歴史のあるホテルだけに,設備はそれなりに古い。
 電話機にデータポートなどはついていないので,電話機からケーブルをはずして,モデムにつなぎ変える必要がある。
 今回も,iPass社のローミングサービスを利用した。デンパサールにアクセスポイントがあるので,電話代は市内電話料金ですむ。
 結論からいうと,接続状態は悪い。45回ほど電話して,正常に通信できたのは4回である。それも途中で切れることが多いので,大急ぎで用事を済ませる(?)必要がある。接続スピードは4800bps(!)が1回,その他は19200bpsだった。簡単なメールのやりとりをしたところでおしまい,といった感じである。一般的に通信事情が悪いのか,ホテルの交換機などの設備のせいなのか,私の設定が悪いのか,真相はわからない。
 接続したと思うと,「先方のコンピュータから切断されました」となってしまう。それでも,20秒ぐらいは電話がつながった状態なので,電話代はかかるわけである。チェックアウト時にいくらかかかるかドキドキしていたら,なんと一回242ルピーしかかかっていなかった。日本円で,約3.3円である。ちなみに,ホテルでピザと生ビール1杯ぐらいの昼食をとると,ひとり5万ルピーぐらい取られる。べらぼうな気がするが(確かに地元の店に比べるとべらぼうだが),せいぜい700円くらいでずいぶんと安いのである。
 町中にでると,インターネットサービスと書いた看板の店があるので,そういったところからフリーメールなどを利用して,メールのやりとりをすることは可能かもしれない。ただし,日本語が使えるかどうかは不明である。(ジャカルタの空港にも,インターネットカフェがあって,Windowsパソコンが並んでいたが,かなりの使用料を取られるようだ。いくらか忘れてしまったけれど,貨幣価値から考えるとそれこそべらぼうな値段であったような……。)  

インドネシア(2001年1月現在)


  • Sheraton Nusa Indah(バリ島)
 またまたバリ島である。以前泊まったことのあるホテルだが,通信をするのは初めてである。
 モジュラージャックは日本と同じ。電圧は220Vだが,コンセントの形状がT字型のもので持参したトランスが使えなかった。
 洗面所のドライヤーの所に110Vと220Vのコンセントがあったので,今回はそれを利用した。湿気が多そうだったがまあ仕方がない。
 ただし,どうもこの電圧表示は怪しい感じがした。通常Libretto20は充電中の表示ランプが点滅したりしないのだが,なぜか点滅し続ける。デジカメ(SANYO DSC-SX550)のバッテリーが充電完了後に持てないくらい熱くなる! などである。いずれも日本では起こらなかった現象で,ちょっと危ない気がしたが,とりあえず動いているのでまあ良しとしよう。
 例によって,電話機にデータポートなどはついていないので,電話機からケーブルをはずして,モデムにつなぎ変える必要がある。外線発信番号は9で,信号はトーンである。
 今回は,@niftyの海外ローミングサービスを利用した。(ケーブルテレビのインターネットサービスに入ったのでhi-hoをやめてしまったのだ。)詳しいやり方が,@niftyのページにあるのでそれに従ってやればよい。GRIC加盟プロバイダーのアクセスポイントを調べて,その設定を打ち込んでやればよいのだが,実際の接続場面ではそこでつまずいてしまった。
 今回は,回線状態も良く,比較的簡単につながったのだが,そのあとがいけなかった。どうしてもメールサーバーが見つからない,と出てしまう。インターネット接続もうまくいかない。
 いろいろ試みた結果,どうやらネームサーバーアドレスを入れてやらないとだめなようだった。GRICのページではデンパサールのアクセスポイントの設定はDNS ConfigurationがServer Assignedになっていて,いずれも0が指定されていたのでデフォルトのまま触らなかったのだが,ここに@niftyのDNSアドレス「202.248.37.74」,「202.219.63.253」を入力したところ無事につながった。(ちなみに,2000年12月25日頃調べたときにはデンパサールのアクセスポイントは1カ所しかなかったのだが,2001年1月7日に見たらなんと5カ所に増えていた。進歩するものだ。)
 上記アドレスは,接続方法を解説したページに「DNS Address1(およびDNS Address2)」が「Not Applicable」の場合の「例」として載っていたもので,たまたま印刷して持っていったのでわかったというわけ。どこかに大々的に書いてある,ということではなさそうだ。ネットにつないで調べるという方法はできない相談だから,あらかじめ関係ありそうなページを片っ端から印刷して持っていったのが良かったわけだ。
 いったんつながってしまえば切断されることもほとんどなく,快適にメールのやりとりができた。年末に仕事をサボってこちらに来てしまったため,仕事関係のメールが多数届いたのには閉口した。
 電話代は,基本料金(最低料金?)が900ルピー(12円くらい)で,1分当たり2.6円ぐらいの勘定だった。もちろんローミング代(20円/分)は別である。

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