海外旅先通信事情その3
 海外旅行先のホテルで試みたパソコン通信の結果である。
 パソコンは前回と同じLibrettoL1である。
 金額や状況はすべて,その旅行時点のものである。

イタリア(2004年9月現在)

 ボラーレ・イタリア航空という初めて聞いた名前の航空会社で行った。ヨーロッパ中心の格安航空会社のようで,日本へはチャーター便という形で乗り入れているらしい。サービスは値段相応の感じだが,羽田発着というのが何よりうれしい。羽田出発が午前2時,到着が午前0時という変則的(?)な運行で,初日も最終日も現地で丸1日がめいっぱい使える。
 通信に関していうとどこのホテルでもまったく問題なく,拍子抜けするくらいであった。海外にはせいぜい年に1回ぐらいしか行かないし,行き先も毎回違うのだが,それでも年々環境がよくなっている感じがする。
 今回もニフティのローミングサービスを使用した。前回はiPASSだとかGRICだとか面倒な選択があったが,今回は「@nifty海外接続アシスタント」というソフトがアップされており,それを利用すれば比較的簡単に通信ができた。
 比較的と書いたのは次の点に引っかかったからである。
 アクセスポイント入版をダウンロードして,いきなり日本からベネチアにつないでみた。日本からつながれば現地でもつながるだろうと考えるのはごく自然なことだと思うのだが,なぜか「アクセスポイント情報取得」の画面が出てきた。フィレンツェやローマからつながらないとまずいので,とりあえずダウンロードしたのだが,国際電話である。単につながるかどうかを確認したかっただけなのに,電話代でハラハラすることになってしまった。
 アクセスポイントの更新を自動的にチェックしてダウンロードの画面が出るようだ。説明をよく読まないでやったのが悪いといえば悪いと密かに反省し,手動でチェックをするように設定した。
 もう一つは,現地の市外番号の前の0が消えてしまうということである。東京でいえば,03-1234-xxxxが3-1234-xxxxとなってしまい,通じない。年の功(?)で0がないのはおかしいと直感し,ダイアル番号の欄に手動で0を追加したらつながった。なぜ,0がとれてしまうのかわからないが,現地でも0を追加しないとつながらなかったので,要するにそういうことである。これも私が悪いのだろうか?

ベネチア
 サンタ・ルチア駅そばのボスコロ・ベリーニ(BOSCOLO BELLINI)というホテルに泊まった。入り口は狭いのだが,奥の構造が複雑で部屋にたどり着くまでに,ホテル内をうろうろ行ったり来たりしてしまった。
 とにかく通信である。電話機の裏のモジュラージャックをはずしてLibrettoにつなげばOKである。IBMのmodem saverでチェックするとグリーンがついてなんの問題もない。56Kですんなりつながった。
 ちなみに,今回も一応イタリア用のモジュラージャックを用意していったのだが,どのホテルでも使用することはなかった。
 驚いたのはテレビでインターネットやメールができることである。そのためのキーボードもテレビの前にある。(といっても,我々の部屋にはなかったが……。)
 もちろん有料で,日本語は使えないようだ。たぶん……。

フィレンツェ
 サンタ・マリア・ノヴェッラ駅近くのクローチェ・ディ・マルタ(CROCE DI MALTA)というホテルである。なぜか地図が不鮮明で,重い荷物を引きずって石畳の道を行ったり来たりしてしまった。なかなかすんなり部屋にたどり着けない。
 ここでもテレビでインターネットやメールができるが,とりあえず電話機である。やはり電話機の裏にモジュラージャックがある。modem saverはイエローだったが,特に問題はない。
 夕方,ホテルの屋上で飲んだビールは格別だった。私はビール等なので,どこへ行ってもまずビールである。もっともイタリアのビールはそんなにうまくない。高級レストランで頼んだら缶ビールが出てきたこともあった。生を頼んでも,泡がないのだよ!
 まあ,イタリアでビールを頼む方が悪いといわれそうだが,好きなんだから仕方がないよね。

ローマ
 ロンドラ&カーギル(LONDRA & CARGILL)というホテルである。
 電話の構造は前と同じ。modem saverはイエローでつながった。
 テレビは12インチぐらいの小さいもので,インターネットにつながるようなものではなかった。
 このホテルで初めて気がついたのだが,電源のジャックがちょっと違うような気がした。トランスを単純につないでもどうも接触不良を起こす。ドイツで購入した下駄を履かせるというか足を伸ばすアダプターを使うとうまくいくのだった。(写真)

 話は変わるが,イタリアのテレビはおもしろくなかったなあ。朝晩毎日見ていたのだが,イラクからの毎回同じような映像とミスイタリアの選考会とサッカーばかりが目立っていた。あとは映画である。日本でいう,ワイドショーとかバラエティっぽいものは少ないようだ。朝はアニメが多いが,日本のものばかりだった。東南アジアなどの方がバラエティに富んでいた気がするが,気のせいか?
 そういえば,船の中でも列車の中でも,現地(?)の子供はみんなゲームボーイばかりやっていた。世界を席巻するニンテンドーといったところだろう。

ローマのスリ
 ローマあたりはスリが多いと聞いていたが,確かにびっくりだった。地下鉄に6回乗って,3回スリの一団に出くわして,2回ポケットに手を入れられた。いや,私のポケットではなくて,義父のポケットなのだが,年寄りと見ると遠慮会釈なく財布を探しに来るようである。
 1回目の遭遇は,バチカンに行くときである。
 電車が混んでいたのでホームの端に行ったら,子どもたちがたくさんいる。両親らしき大人もいる。太鼓のようなものを持っているので,楽団かと思ったが,どうも怪しい。
 電車がかなり前に止まったので,我々6人があわてて動き出したら,彼らがわっと寄ってきて取り囲むようにして一緒に車両に乗り込んだ。その寸前,母親らしき女の手が伸びてきて,私の前にいた義父のズボンのポケットに手を入れたのである。私が「何やってんだ!」と日本語で怒鳴ると,女は口答えをするように何かを言ったが,ドアが閉まる寸前にどっと全員が降りてしまった。見事なチームプレーである。
 2回目は,その日の夕方。バチカンからの帰途である。
 ホームに降りると,また同じ一団である。私は区別がつかなかったが,同行した全員が「同じ子どもたちだ」というのだからそうなのだろう。しかし,両親らしき大人はいない。
 こんどは全員が,車両に乗ってきた。男の子がにこにこしながらこちらに話しかけてくる。伸縮するアンテナのようなものを,回して注意を引こうとする。私がじっと彼らを見ていると,赤ん坊を抱いた若い女が私に何か話しかけてきた。何を言っているのかわからない。子どもたちがわーわー騒ぐ。と,近くに座っていた制服姿のシスターがひとこと言った。子どもたちはおとなしくなって,次の駅で降りた。若い女も一緒だった。
 3回目は,地下鉄を降りたエスカレーター上である。
 若い女が二人,私と義父の間に割り込むように入ってきた。怪しい,と思ってのぞき込むと義父のポケットに手を入れていた。「何してんだ」と言ったら,なにやらぶつぶつ言いながら,エスカレーターを登っていった。
 まあ,スリが多いとは聞いていたので,ポケットにはハンカチしか入れていないし,バッグは両手でしっかりカバーしていたので被害にはあっていないのだが,それにしてもこうまで露骨だと,なんだか怒る気にもならなくてあっぱれというか,言葉にもならない。


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