■グラフの見方

グラフは上から順に以下のようになっています

Nero CD-DVD Speed

おなじみ、Nero 付属のユーティリティ。PIE/PIF/POF/Jitter 等が一気に計測できるので便利。
ただし計測値に特有のクセ(主にBenQのドライブ固有のクセ)が若干あります。


PI/PO SUM8ECC Test

PIEとPOFを8ECC毎に計測するテストです。一般に一番多く用いられる計測方法です。ディスク全体のエラーの発生量と、修復不能エラーがわかります。

PIE (Parity Inner Error) -PI修復可能エラー-
PIEとは、"Parity Inner Error"の略で、ECCブロック内のROW単位でカウントされます。
ROWの中にエラーバイトがひとつでもあると、そのROWはPIEとしてカウントされます。
そのため、一つのECCブロック内で発生し得るPIEの数は最大で208(Parity Outerも含んだ1ECCブロック内に含まれるROWの数)になります。
DVD-Rの規格上、連続した8つのECCブロック内で発生するPIEの数が280を超えてはいけないことになっています。

PI/PO SUM1ECC Test

PIFとPOFを1ECC毎に計測するテストです。

PIF (Parity Inner Failure) -PI修復不可能エラー-
PIFとは、"Parity Inner Failure"の略で、ECCブロック内のROW単位でカウントされます。
PI修復後、修復しきれなかったエラーが一つのROWの中に5バイト以上あると、そのROWがPIFとしてカウントされます。
つまり、一つのECCブロック内で発生し得るPIFの数はPIEと同じく208です。
ただしDVDの規格上、1つのECCブロック内に発生するPIFは4つを超えてはいけないことになっています。
この値がPIEと大きく意味を違える部分はその定義にあり、『5バイト以上』という定義により、4バイト以下のエラーは無視されます。

PIEはROW内に1バイトでもエラーが存在すれば、そのROWをまるごと一つのPIEとして報告しますので、
そのROW内にどれだけの数のエラーが潜んでいるかを知る事はできません。

それに対してPIFは『5バイト以上』という深刻なものだけを報告しますので、
大きなエラーを抱えているROWの数を知ることができ、データとしての信頼性を強く提示することができます。
つまり、PIEが大量に発生していてもPIFが発生していなければ、データの読み出しは可能である、ということです。

また、両計測ともPOFも計測します

POF (Parity Outer Failure) -修復不可能エラー-
POFとは、"Parity Outer Failure"の略で、PO修復不可能エラー、つまりDVDに付加されたパリティでは修復のできないエラーです。
少量であれば読み出しの再試行を繰り返し行うことでデータの救出を試みることもできますが、これが大量に発生した場合、
基本的にそのドライブではもう読めないものと思った方が良いでしょう。修復できないためです。

TA Test

DVDへ記録されているデジタルデータは機械語(0と1の2つの信号から成るビット列)であり、
記録面に記された3T〜11T、および14Tの10種類の信号を用いてビット列が表現されています。
しかし後述する信号のブレ(Jitter)や色素の感度、レーザー出力の差等によって各Tの長さにはばらつきが現れます。

そのばらつきの具合を視覚的に示すのがTA Testで、10個の尖った山のようなグラフになります。
理想的なのは各信号にばらつきが少ない状態です。つまり山が尖っており、隣とくっついていない状態です。

このテストは記録面を大きく3分割(内周・中周・外周)して行いますので、記録容量によっては外周部分の計測データが無い場合があります。


Beta/Jitter Test

ピットとランドの均整を見る「Beta」と、ピットの時間軸方向へのブレを計測する「Jitter」を計測します。
主に記録面の信号の状態を読み取ってグラフ化したものです。簡単にいえば、そのディスク内でどこが悪いのかが判ります(焼きムラなど)。

信号の状態の計測なので、エラーとは直接は関係しないものですが、相関的にこれが悪くなるとディスクの品質も高くなりやすいといった傾向はあるようです。

PIEやPIF等の計測は、エラー訂正過程におけるデータのデジタル面の検査と考えると、
JitterやBeta等は、記録面の状態からみるデータの物理的な検査だと考えられます。

Jitter
記録面の信号の時間方向へのブレの度合いを示したものです。
高速な書き込みを行うので、精密な機械制御の元であっても、どうしても信号の細かいブレは発生してしまいます。

この度合いを示すのがJitterで、エラーとの直接の関係はありませんが、これが大きすぎるとデータが正常に読めなくなります。
またJitterの状態が悪いものはエラーも高くなることが多く、相関関係にあると言えます。
Beta
記録面のピットとランドの均整を見て、書込みの際のレーザー照射の強度が適当であったかを判別し強弱の度合いを±で示した値です。
記録面に焼きムラができているとこの値に大きく影響します。
業務用機器以外のドライブではPLEXTOR系ドライブでのみ計測が可能です。