集集線 藍色気動車の旅 

Die Ji-ji Linie


集集線は台湾中部、西部幹線の二水站を起点として東へ向かう29.7kmの非電化ローカル線で
ある。
この線は台湾鐵路局の支線の中で最も南国風情を感じさせる路線である。
二水を出発した列車は西部幹線と並んで南に向かうと、まもなく左に折れて東へ向かう。沿線
にはバナナ畑が目立つ。また沿線には背の高い檳榔樹も多く、南国に来たことを実感させてく
れる。そんな風景に見とれていると、列車はいつしか河岸段丘を走っている。右手に濁水渓の
流れがある。源泉、濁水、龍泉と小さな停留所が続くが、次の集集は主要駅のひとつで、日本
統治時代からの木造駅舎が目を引く。
その次の水里站も比較的大きな駅である。駅から川に向かう緩やかな傾斜地に水里の町が
広がっている。名勝「日月潭」の湖はここからが近道である。
水里を出ると線路はにわかに勾配がきつくなり、山に行く手を阻まれるように終点、車〔呈〕に
到着する。かつては木材の集積地としてにぎわったようで、構内には使われなくなって久しい貨
物側線が残る。
この路線は1999年の大震災で壊滅的な被害を受けたが、長い運休期間を経て復旧された。

現在集集線の列車は他の支線同様、ステンレス車体の冷房付き気動車により運行されてい
る。この頁ではまだ藍色の気動車が活躍していた頃の情景をご紹介する。

なお写真は、私が予備機として携行していたコンパクトカメラ(Nikon-mini)で写したものである。
1996年12月27日撮影。



運転台の傍らに立てば・・・
旧式の藍色気動車は運転台がこのように開放的な半室式だ。壁も上半分が金網になっており、風通はすこぶるよろしい。
そのお陰で、乗客は最全部の貫通扉まで行くことが出来るから、鉄道好きには堪らない。
写真の貫通路の右手は便所か座席になっている。
便所の場合、正面に窓が無く、独特の面構えだ。また、座席の場合は展望抜群で、ここに座れば運転士気分になれる。しかし座席上部に「車長座位」と書かれ、通常は車掌の指定座席になっている。でも心配はご無用。台湾の車掌さんはとても親切なので「列車が好きか?ここへ座りなさい」と席を空けてくれることが多いのである。

車内は遠足の小学生で賑やか
僕が二水から乗った気動車は4輛編成。ずいぶん長い編成だと思ったら前2輛は遠足の小学生で貸切同然となっていた。車中が社会科学習の時間になっているようで、プリントされた用紙に「車窓から見えたもの」「どんな駅を通ったか」などといった項目があるのか、皆、目をキョロキョロさせて書き込んでいた。

南国風情の中を行く
停留所の周辺に僅かな集落があるだけで、駅間はごらんの通りの風景が広がる。
画面右手を濁水渓の広い河原が沿っている。

ドアは開けっ放し
側引戸は手動式。
発車の度にわざわざ閉めることはしないから走行中はご覧の通りだ。
開け放たれたドアから心地よい風と、気動車の軽やかなジョイント音が入ってくる。

集集站の駅舎
駅舎のことを台湾では「站房」という。
この站房は日本統治時代の1930年(昭和5年)2月に竣工した日本建築の建物。
台湾でもこの建物の評価は高く、1999年の大地震で倒壊したが、その後見事に復旧された。

集集站のホームにて
右手に駅舎が見える。
集集は線名になっただけあり、比較的大きな駅だ。
構内には貨物側線が敷かれ、往時は沿線の産品を満載した貨車で賑わったことであろう。

河岸段丘を登る
線路が行く河岸段丘が次第に高度を上げてくる。
穏やかな12月の晴天。このままいつまでも乗っていたい気分である。

隋道に入る
トンネルで抜ける小高い山も南国風情。
山は椰子、檳榔樹などがてんこ盛りになっている。

水里站の構内風景
水里も主要駅である。
写真は上り方より望んだ図で、ホームは島式1本。その周辺には数本の側線が配置されている。
右手の白い建物が駅舎。駅は河岸段丘の上にあり、駅舎を出て階段を下ると水里の町が広がる。

水里に停車中の気動車
主要駅であるから乗降客も多い。
プラットホーム(月台)には植木がきちんと整備され、駅員が手間をかけていることが伝わってくる。

代用倉庫の客車
側線には倉庫と化した客車が2輛留置されていた。
手前からSPK32909+SPK32920。台車は住友FS27で、銘板から1961年製と判る。

水里站の駅舎を見上げる
この日は快晴であった。
12月も終わりというのに、半袖で丁度良いくらいの気温である。
背後の階段を下ると駅前広場で、そこから川に向かってゆるい下り坂が続く。この辺りはこの町のメインストリートだ。

駅方面を望む
この道の突き当たりに水里の駅がある。
商店のほか、大飯店(ホテル)や旅社(旅館)が点在する。また、画面左を入った辺りに露店市場が並ぶ賑やかな通りがある。

裏道で見つけた餃子屋
裏道を徘徊していたら、店先に蒸篭(セイロ)を積んだ餃子屋があった。
蒸篭から立ち上る湯気を見て迷わず入ってみた。
餃子はあっさりとした味でおいしかった。店のおばさんは少し日本語が出来た。
「新南餃子」というこの店、先の地震でどうなったのか気掛かりである。

終点へ向けて
水里站を出ると急に勾配を増す。
気動車は力一杯エンジンを回してゆっくり坂を上って行く。
次は終点、車である。

集集線の終着駅
終着駅、車呈。
かつては周辺で伐採された木材や石材の積み込みが盛んなようだったが、いまは錆びた貨物側線が残っているだけ。
注:駅名の2文字目は「土偏」に「呈」を組み合わせたもので、通常ワープロでは登録が無いため上記の標記で代用した。


折り返しまで一休みする藍色気動車
気動車の形式はDR2300型。台湾「唐栄」製の車体は、日本国鉄のキハ20やキハ55を髣髴とさせる意匠である。

戻り道
二水へ戻る気動車の車内。
近年は休日にローカル線を訪ねることを楽しむ人々が多く、錆びた側線で記念写真などを撮る若い女性の姿も目立つ。




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