2008.7.5 UPDATE

東港線訪問記
TRA Dong-gang linie (Taiwan)


台湾南部の高雄から更に南の地、枋寮を目指す屏東線。
ディーゼル機関車が牽く藍色客車が全盛の頃、この線からまるで盲腸のように分岐する支線
があった。
東港線。その名が示すように港町、東港へ向かうこの路線は僅か6.2km。途中にある駅はたっ
たの一つ。
僕が初めて屏東線に乗ったその日、どうしても東港線を割愛できず分岐駅である鎮安のホー
ムを踏んだのだった。

撮影:1988年
※予備で携行したコンパクトカメラで撮影。(ネガカラー)

屏東線鎮安站にて
東港線へは屏東線鎮安站で乗換えである。
高雄発6時40分発の普通列車に乗り、鎮安に着いたのが8時05分。
まだ春、しかもまだ8時を回ったばかりというのに降り注ぐ陽の光は南部を実感させるものであった。
既に東港行の気動車はアイドリング音を立て月台に停車していた。
傍らのリヤカーは東港からの荷を扱うためのもの。構内に留置された緩急車と相俟って懐かしい情景である。 

鎮安の月台
この頃、東港線は1日11往復。意外に本数がある印象であった。
発車までの時間、ホームで時間をつぶす。
気動車の横には東港行を示す標柱が建ち、「往東港旅客在本月台下車」とある。
赤筋の帽子を被った年配の駅長さんはカメラを手にした私に流暢な日本語で応じてくださった。
線路脇の池からは家鴨の鳴き声が響いてくる。

東港線を行く
屏東線からの6人の乗客を乗せて8時20分鎮安発。
屏東線と平行したかと思う間もなく西へ向きを変え、あとは真っ直ぐ進む。
線路は平坦で、周辺には民家、養魚場などが混在している。
大鵬という停留所で4人が下車した。
再び走り出したかと思えばもう終点東港だ。

東港站へ到着
鎮安から僅か9分。
ぼんやりと開けた東港の構内へ到着した。
もう1人の旅客はホームから構内踏切を渡って駅本屋へと消えていった。
それにしても日差しが強く、薄っすらと汗をかく。
駅本屋と反対側は養魚場である。背後を見れば使われなくなった貨物倉庫が残っており、漁港が近いこの駅の往時の活況を想い描いた。 

線路上から気動車の写真を1枚
先に窓口で切符を買う。年配の駅員氏に写真を撮ってもよいか訊ねると、「イイデス」との由。
油煙と土埃で薄汚れた気動車を撮って満足した。

荷物の積込風景
ホームや線路間の植込、花壇の配置は日本のローカル駅と同じである。
眩い朝日の中、乗客は現れない。
そのうち、駅員氏がリヤカーを牽いてホームへ渡る。
そして後部の扉から発泡スチロールの箱を3つ4つ積込み始めた。
魚ですかと訊ねると「ソウデス」と返ってきた。
既にトラック輸送が主流なのに細々と荷を扱っているのが不思議であった。

改札口に立つ
暑いので再び駅本屋へ移る。
改札口に立つと心地よい風が抜けていた。
鴨居を見れば古い板に右書きで「口入」とある。

駅本屋を眺める
駅前には広場があった。
周りにはバラックのような売店があり、「各種飲料」の看板を掲げている。清潔な便所もあり用を足す。
広場を出ると広い通りの十字路で、その向こうは港であった。
そうこうしているうちに発車時刻が迫り気動車に乗込む。
定刻の9時06分、運転士と私を乗せて藍色気動車は鎮安へと動き出した。

東港線は僕が訪ねた3年後の1991年に旅客輸送を終了。その後大鵬にある軍用飛行場への燃料輸送用に運行が継続されたが、それも2002年に廃止された




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