知床から阿寒にかけて、山々がほぼ一直線上に並ぶ。ここは火山活動によって形成されたもので、摩周湖や屈斜路湖などのカルデラも点在し、特異な景観が見られるところである。

知床連山
 知床は約860万年前に始まった海底火山活動によって、数百万年かけて地上に現れたとみられる。さらに約25万年前以降の陸上での火山活動により、知床連山が誕生した。連山の中心は、最高峰の羅臼岳から硫黄山にかけて。人間の活動が及んでいない地域がほとんどなので、固有の自然が残されており、世界自然遺産にも登録された。
2015.7 岩尾別付近より 
左から硫黄山、知円別岳、オッカパケ岳、サシルイ岳、三ツ峰、羅臼岳
 羅臼岳(1660、百名山) 
 知床連山の最高峰。記録に残る火山活動は無いが、活火山とされている。左の写真は、知床2度目の訪問となった修学旅行の時のもの。快晴の羅臼峠を超えたので、羅臼岳を間近に見られた。知床とは天気の相性が悪く、この後は2015年までほとんど羅臼岳を見られなかった。
 
1989.7 羅臼峠より 羅臼岳 2015.7 知床五湖より
サシルイ岳、三ツ峰、羅臼岳
 2015年に、羅臼岳登頂。この年は残雪が多かったようで、大沢は大雪渓となっていた。山頂からは、知床連山の大展望を堪能。羅臼平でも高山植物を楽しんでいたら、想定以上に遅くなり、登山口に戻る頃には薄暗くなってしまった。

<岩尾別登山口6:50-10:40大沢-11:20羅臼平-13:10山頂13:30-15:20大沢-18:40登山口>
 標高差1420m
2015.7 大沢の雪渓 2015.7 羅臼平より 羅臼岳
2015.7 羅臼岳山頂より
奥から硫黄山、サシルイ岳、三ツ峰
2015.7 羅臼岳山頂より
羅臼湖、海別岳など
 硫黄山(1563) 
 知床連山の主要な山の中では、最も北にある。活火山で、最近では1935年に噴火があった。羅臼岳から縦走することもできるが、5時間以上のルートである。
 
2015.7 知床五湖より  1986.8 ウトロ沖より
 海別岳(1419)  
  右手前が遠音別岳(1331)と海別岳で、左奥は硫黄山と羅臼岳。このときは以久科のエゾスカシユリが目的だったので知床には行っていないが、海の向こうに知床連山全体が見えていた。 
1994.6 以久科原生花園より
 斜里岳(1545、百名山)  
 斜里岳は、知床半島の根元にある成層火山。火山活動は、約25万年前に終えているとみられている。登山ルートのうち一般的な清里コースは、3時間ほどで登ることができる。山は北浜から斜里にかけての海岸沿いからよく見え、とくに斜里付近からは、ほぼ左右対称の優美な姿を見ることができた。
1994.6 小清水原生花園より  2006.2 斜里付近より
2015.7 斜里付近より
阿寒岳
 阿寒岳は、阿寒湖をはさんで東に雄阿寒岳、西に雌阿寒岳と大きく2つに分かれている。阿寒岳周辺は、15〜20万年前の大噴火で阿寒カルデラが誕生し、阿寒湖はその名残とみられる。その後、約2万年前以降の火山活動で、雌阿寒岳、雄阿寒岳が形成された。
 雌阿寒岳(1499、百名山)
 雌阿寒岳は、現在も活発に活動しており、2000年代に入っても小噴火を繰り返している。山頂にはカルデラ湖があり、すぐ南には阿寒富士がそびえる。登山ルートは、阿寒湖畔コース、雌阿寒温泉コース、オンネトーコースの3つあり、最短ルートであれば2時間ほど。雌阿寒岳を阿寒湖畔から見ることはできないが、船で沖合に出ると見えてきた。
 1993.9 オンネトーより 
右は阿寒富士(1476)
1989.7 阿寒湖より
中央奥が雌阿寒岳、右はフップシ岳
 雄阿寒岳(1370)  
  雄阿寒岳は、有史以降は火山活動が確認されていない。富士のようにすっきりした姿をしているが、高さは雌阿寒岳よりかなり低い。登山ルートは1つのみで、3時間半ほど。麓に森が広がっているので、展望台以外ではなかなか山全体を眺められないが、冬は凍結した阿寒湖から展望できる。
1989.7 双岳台より 1992.2 阿寒湖より 雄阿寒岳

阿寒・知床の山々