アルバニアのルーツは、紀元前4世紀から2世紀にかけて存在した、古代イリリア王国だと言われる。紀元前168年にイリリア王国がローマに敗れてローマ属州となり、長い間独立は失われる。13世紀に、東ヨーロッパへ勢力を拡大したカルロ1世がアルバニア王を名乗っており、この頃からアルバニアという国が形成されたようである。14世紀末からオスマン帝国の侵入が始まる中、アルバニアの英雄スカンデルベグがオスマン帝国に対抗、アルバニアの独立を守る。しかし、スカンデルベグの死後間もなくオスマン帝国に併合され、アルバニアの独立は再び失われた。

 13世紀 シチリア・ナポリ王国カルロ1世がアルバニア王を称する
 1443年 スカンデルベグがオスマン帝国に反旗、25年間アルバニア独立を守る
 1480年 オスマン帝国に併合

 セルビアやブルガリアなどとは異なり、アルバニア人の多くはオスマン帝国時代にイスラム教に改宗した。独立の動きも周辺より遅かったが、1878年にプリズレン連盟が結成されて独立運動が本格化する。第一次バルカン戦争でオスマン帝国が敗北すると、1912年に独立を宣言。その後も紆余曲折はあり、第二次大戦後には社会主義国家のアルバニア人民共和国となっている。

 1878年 プリズレン連盟結成
 1912年 オスマン帝国からの独立を宣言、2年後にアルバニア公国成立
 1925年 ゾグーが共和制への移行を宣言。アルバニア共和国成立
 1928年 ゾグーが王位についてアルバニア王国となる
 1939年 イタリアに併合される
 1946年 社会主義政権によるアルバニア人民共和国設立

 戦後のアルバニアは、社会主義でありながらユーゴスラビアやソ連、中国と距離を置き、実質的な鎖国政策をとったため、ヨーロッパの最貧国と言われるほと低迷した。1990年から開放路線に転換し、1992年に非共産政権が誕生している。

アルバニア
 ベラット(世界遺産)  
 オスム川の中流にあり、紀元前4世紀には砦が築かれていた。ビザンチン、オスマンなど支配者が変わっても、商業や手工業などで栄え、さまざまな時代の建物が集まっている。1851年の大地震で被害を受け、大きな窓をもつ木造の街並みとなったことから、千の窓の街と呼ばれている。1961年に博物館都市と位置づけられ、歴史的な街並みが守られている。
 山の上にあるベラット城は、12-13世紀頃に築かれたもの。城壁の中にも街があり、城というより城壁に囲まれた旧市街である。ここは、オスマン帝国時代にキリスト教徒の居住区だったところで、今も教会が多い。
2023.8 城壁入口 2023.8 城壁の中の街並み
 
2023.8 聖三位教会 2023.8 レッドモスク 
 ベラット城からは、麓の眺めがいい。とくにゴリツァ地区は真下に見えてスリルがある。新市街の奥には、ベラットのシンボル、トモリ山も見えている。
2023.8 新市街とトモリ山 2023.8 ゴリツァ地区
 山の麓には、千の窓の街と呼ばれる家並みがある。ベラット城を背にしているのがマンガレミ地区、そして川の対岸がゴリツァ地区である。朝日がちょうどマンガレミ地区にあたると思って期待したが、曇ってしまった。
2023.8 マンガレミ地区 2023.8 ゴリツァ地区
2023.8 旧市街ではロバが荷物を運ぶ
 ジロカストラ(世界遺産)  
 ドリノ川の中流にあり、13世紀にジロカストラ城が築かれて以降、周囲に城下町が広がり、政治・経済の中心として発展した。石造りの中世イスラム建築が多く残り、戦後、博物館都市に位置づけられている。
 丘の上にあるジロカストラ城は、時計塔などの見所はあるが、何より旧市街の眺めがいい。石葺きのグレーの屋根が集まっていて印象的である。
2023.8 時計塔 2023.8 なぜか戦車が並ぶ城内
2023.8 旧市街
 城から下っていったところが、旧市街の中心となるオールドマーケット。驚くほど多くの観光客で賑わっていた。ここで地元テレビ局の取材を受けそうになって、慌てて逃げた。
2023.8 オールドマーケット 2023.8 オールドマーケット
 この日のホテルは、ジロカストラ城を正面に見る丘の中腹にあったので、翌朝ジロカストラ城がよく見えた。もう一度旧市街の散歩をしたかったが、距離だけでなく高低差もかなりあるので断念である。
2023.8 ジロカストラ城の遠景
 ☆世界遺産「ベラットとジロカストラの歴史地区」 2005年登録
 ティラナ  
 ティラナは、オスマン帝国時代の17世紀に建設された新しい街。交易の拠点として急速に発展し、アルバニア独立当初から首都となっている。
 街の中心はスカンデルベグ広場で、ここにスカンデルベグの像やエザムベイ・モスク、国立歴史博物館などの見所が集まる。モスクの内部は、通常は幾何学模様しかないが、エザムベイモスクには風景画などもあって変わっている。
2023.8 エザムベイ・モスク 2023.8 エザムベイ・モスク内部

アルバニア王国