アンコール王朝は、9世紀から13世紀にかけて東南アジア一帯を支配する大帝国を築き上げた。最盛期は12〜13世紀のジャヤバルマン7世の時代で、王都アンコール・トムもこの時期に造営されている。しかし14世紀の度重なるアユタヤ王朝との戦いによって衰退し、15世紀、ついにアンコールは陥落した。

 ・802年 ジャヤバルマン2世、クメール王朝創設(ロリュオス時代)
 ・889年 ヤショヴァルマン1世、ヤシュドハラプラ遷都(アンコール時代)
 ・928〜944年 コーケー遷都の時代
 ・1113年 スーリヤヴァルマン2世即位、アンコールワット建設
 ・1177年 チャンパ王国にヤシュドハラプラを破壊される
 ・1190年頃 ジャヤヴァルマン7世、アンコールトム造営
 ・1238年 スコータイ王国が分離独立
 ・1431年 アユタヤ王朝に滅ぼされる

アンコール遺跡群(世界遺産)
 アンコールワット  
 アンコールワットはヒンドゥー教ビシュヌ神に捧げる寺院として、1113年から30年程で建造されたものである。城壁に囲まれた広大な寺院である。
 観光は大晦日の午後。寺院内部は壁の彫刻が見事で、1つとして同じものが無いと言われるデヴァター像も印象に残る。この時は、第3回廊への急な階段をおそるおそる登ることができた。
1999.12 聖池より アンコールワット  1999.12 第3回廊と中央祠堂を見上げる
1999.12 第3回廊より 中央祠堂 1999.12 テヴァター像
 何よりもよかったのが2000年の初日の出。星空の5時半頃から池の前に陣取ると6時過ぎから白み始めて、やがてアンコールワットの肩のあたりから太陽が現れたときは感動的であった。
 
 2000.1 アンコールワットの初日の出
 最初のアンコール遺跡訪問は駆け足だったので、ちょうど10年後に再訪を果たした。聖池では蓮が水面を覆っていて遺跡が映らなかったり、目障りな緑のシートがあったり、第3回廊に登れなくなっていたりと残念な所もあったが、前回は気づかなかったものも多く興味深かった。
2010.1 アンコールワット入り口の西塔門 2010.1 西塔門
右はナーガの彫刻
2010.1 西塔門より
西参道の向こうにアンコールワット
2010.1 聖池より アンコ−ルワット
2010.1 第1回廊 2010.1 第1回廊 乳海攪拌の彫刻
2010.1 十字回廊 2010.1 第2回廊 後ろに中央祠堂
2010.1 第3回廊と中央祠堂を見上げる 2010.1 テヴァター像
 2回目の訪問でも、初日の出ではないが1月4日の日の出を見た。今回も快晴で、最高の日の出を堪能できた。
 2010.1 アンコールワットの日の出
 プノン・バケン  
 アンコールワットの近くには、プノン・バケンという丘がある。ここは夕陽の名所で、1999年の大晦日の夕陽をここから眺めた。
1999.12 プノンバケン最上部 1999.12 プノンバケンからのアンコールワット
 2度目の訪問でも、夕陽を見るためにこの丘に登った。遺跡は人で埋まっていて、前回よりも人気が出たように思う。そしてここも最上部は緑のシートに覆われてしまっていた。
 2010.1 プノン・バケン
 アンコール・トム  
 アンコール・トムは12世紀末アンコール王朝の都として造営されたもので、当時の王ジャヤバルマン7世が仏教徒であったため、ヒンドゥー教のアンコールワットとは雰囲気が異なる。とくにバイヨン寺院はあちらこちらに巨大な仏の顔があり、異様な雰囲気を醸し出していた。また象のテラスやピミアカナスなど建物によって統一性が全く感じられないのも面白い。
1999.12 バイヨン寺院 1999.12 バイヨン上部
1999.12 バイヨン寺院の壁画 1999.12 ピミアカナス
 2回目の訪問では、アンコールトムの発掘現場見学コースに参加した。しかしタイミングが悪かったのか、発掘らしい雰囲気は感じられず期待はずれ。ただ、あまり観光客のいないエリアからバイヨン寺院を眺めることができた。
2010.1 バイヨン寺院 2010.1 バイヨン寺院の壁画
2010.1 ライ王のテラス 2010.1 象のテラス
2010.1 プラサート・スゥル・プラット 2010.1 南大門
 バンテアイ・スレイ
 967年に建造され、女の砦とも呼ばれる。バスで1時間かかる少し離れたところにあるため、内戦終結後もしばらく訪れることができず、ようやくツアーで訪れるようになったのでカンボジア行きを決めたほどである。実際に、バラ色砂岩に彫られた彫刻、レリーフの美しさは格別であったが、正月のためかカンボジア人の観光客が小さな遺跡を埋め尽くすほどで、静かに鑑賞というわけにはいかなかった。
 2000.1 バンテアイ・スレイ  2000.1 東洋のモナリザとよばれる像
 2回目のバンテアイ・スレイも、人が多いことは同じである。前回よりもレリーフに近づけないようになった気がする。
  2010.1 破風レリーフ
 タ・ケウ
 11世紀はじめのヒンドゥー教のピラミッド型寺院である。この時はアンコール滞在が実質1日半しかなかったので、タ・ケウとタ・プロームしかまわれなかったが、アンコールにはこのように小さな遺跡がたくさんあるので、時間をかけて1つ1つめぐるのも楽しそうに思えた。
 2000.1
 タ・プローム
 12世紀に建造された仏教寺院の1つで、遺跡に覆い被さった榕樹で有名になっている。写真で何度も見ていても、その場に立つと自然の脅威を感じさせられた。
 2010.1 2010.1
 2010.1 2010.1
 プレ・ループ
 2回目の訪問では、大回りルートと呼ばれるコースを辿って、小さな遺跡巡りをした。まずはプレ・ループ。10世紀に建てられたヒンドゥー教寺院で、前回のタ・ケウに似ていた。
 2010.1 2010.1
 タ・ソム
 12世紀末の仏教寺院で、バイヨンやタ・プロームと同じくジャヤバルマン7世が建てたもの。遺跡の雰囲気や、木に呑み込まれている様子はタ・プロームと区別がつかない。
 
 2010.1  2010.1
 ネアック・ポアン
 ここもジャヤバルマン7世の建てた仏教寺院だが、池の中にお堂が建てられていて他と違う雰囲気である。給水口となっている象の彫刻が信仰の対象となっているようだった。
 
 2010.1  2010.1
 プリアカーン
 やはりジャヤバルマン7世の建てた仏教寺院で、とても広く建物配置が複雑である。2階建て構造の建物があることで知られるが、観光中は忘れていて、ガイドも教えてくれないので見損ねた。
 
 2010.1  2010.1
 
 2010.1  2010.1
 ☆世界遺産「アンコール遺跡」 1992年登録

クメール王朝 -アンコール時代