1969年に登場した、急行用の座席車。寝台特急向けの20系以来、11年ぶりの新形式となった。分散電源方式を採用するなど、新機軸が盛り込まれている。室内は固定クロスシートで、新製時から冷房を搭載。台車は空気ばねのTR217。603両が製造された。
国鉄
 0番台
 基本となる形式は、オハ12、スハフ12、オハフ13の3つ。スハフ12には電源装置が搭載されている。当初から臨時列車での使用が中心で、ジョイフルトレインに改造されたものも多い。JR発足時における急行運用は、JR西日本の「ちくま」「だいせん」とJR九州の「かいもん」「日南」のみであった。1999年に急行運用は消滅し、2020年現在、改造されていない一般車は、高崎の「SLぐんまみなかみ」等で使用されるものと宮原の「SL北びわこ号」等で使用されるものの2編成のみとなっている。

  1969.7.26 臨時急行「宮島」「音戸」にて営業運転開始
  1978.3.15 急行「かいもん」「日南」運用開始
  1978.10.2 急行「ちくま」「さんべ」「津軽」運用開始
1985.8 盛岡駅(中央の車両)
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
オハ12 1-374 374 新製 1969.6-78.11
スハフ12 1-90
101-163
153 1969.6-78.11
オハフ13 1-76 76 1969.12-71.5 2007.11
 1000・2000番台
 普通列車で運用するために、近郊化改造を行ったもの。1000番台は山陰線、七尾線、播但線など、2000番台は東北線などで運用されており、白帯が消されていることが特徴である。2000番台は1994年12月、1000番台は1997年3月に定期運用が無くなっている。
12系1000番台
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
オハ12 1001-1023 23 0番台 1985.1-86.4 1997.6
2001-2016 16 0番台 1985.2-7 1997.7
スハフ12 1001-1012 12 0番台 1985.2-86.4 1997.6
オハフ13 1001-1012 12 0番台 1985.2-11 1997.6
2001-2021 21 0番台 1985.2-7 1997.7
JR東日本
 一般車
 JR発足時、ほとんどは臨時運用の0番台を引継いだが、青森地区では普通列車運用の2000番台もあった。2000番台は1994年12月に定期運用終了。0番台の一般車は、2020年現在1編成6両が残っており、「SLぐんまみなかみ」「SL横川」等で活躍している。
  
2017.4 高崎駅
 事業用車
 2002年にスハフ12-158を改造した、SL回送の際の随伴用事業用車。外観は変わっておらず、一部の座席を撤去して保安機器等が搭載されている。
 
   2018.10 オヤ12:酒田駅
 形式 番号 両数  前歴  登場  消滅  備考
オヤ12 1 1 スハフ12 2002.5
 ジョイフルトレイン
○なごやか
 1981年3月に登場した、東京地区の和式お座敷列車。当初は12系の塗装のままだったが、1987年と92年の2度、塗装が変わっている。1997年7月引退。

○お座敷/サロン佐渡
 国鉄時代の1981年に登場したお座敷客車で、通称は上沼垂運転区にちなみ「カヌ座」。1985年からは、欧風車両「サロン佐渡」も連結された。1988年と1996年に塗装が変更されている。2001年1月に普通車化され、翌2002年2月引退。

○白樺
 1983年7月に登場した、長野地区の和式お座敷列車。1987年8月にリニューアルし塗装変更となった。1995年11月引退。

○くつろぎ
 1983年6月に登場した、高崎地区の和式お座敷列車。1987年に塗装変更となった。1999年9月引退。
 
1987.3 白樺(旧塗装):長野駅  2016.5 くつろぎ(新塗装)オロネ12-841
:碓氷峠鉄道文化むら
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
なごやか スロフ12 803-804
オロ12 805-808
6 スハフ12-0
オハ12-0
1981.3 1997.7
お座敷 スロフ12 805-806
オロ12 809-812
6 スハフ12-0
オハ12-0
1981.7 2002.8
サロン佐渡 オハ12-706 1 オハ12-0 1985.4 2001.4
白樺 スロフ12 819-820
オロ12 837-840
6 スハフ12-0
オハ12-0
1983.7 1996.3
くつろぎ スロフ12 821-822
オロ12 841-844
6 スハフ12-0
オハ12-0
1983.6 1999.11
○江戸
 1986年1月に登場した、東京地区の和式お座敷列車。それまでのお座敷列車とは異なる和洋折衷のコンセプトで、編成両端が展望室となっている。2000年3月引退。

○やすらぎ
 1986年4月に登場した、高崎地区の和式お座敷列車。「江戸」に引き続いて編成両端は展望室となり、専用塗装の機関車も登場した。2001年3月引退。このうち3両はわたらせ渓谷鉄道の「サロン・ド・わたらせ」となった。

○オリエントサルーン
 1987年1月に登場した、仙台地区の団体向け和風客車。和風といってもカーペット敷きの欧風もどきで、両端は展望車。専用塗装の機関車も登場した。2000年11月引退。
江戸
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
江戸 スロフ12 825-826
オロ12 849-852
6 スハフ12-0
オハ12-0
1986.2 2000.10
やすらぎ スロフ12 827-828
オロ12 853-856
6 スハフ12-0
オハ12-0
1986.4 2001.5
オリエントサルーン スロフ12 829-830
オロ12 857-860
6 スハフ12-0
オハ12-0
1987.1 2000.11
○ばんえつ物語
 1999年4月に登場した、SL「ばんえつ物語」専用客車。2000年に中間展望車を1両増備。2007年と2014年の2度、リニューアル改造が行われて、2014年の際には展望グリーン車スロフ12-102が登場した。またスハフ12-101もオコジョルームを備えた展望車に改造されている。
 
2024.6 スハフ12-101:喜多方駅  2017.4 スロフ12-102:新潟駅
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
ばんえつ物語 スハフ12 101-102
オハ12 313-316
6 番号変更なし 1999.1
オハ12-1701 1 スハフ12-0 2000.9
スロフ12 102 1 スハフ12 102 2014.4
JR東海
 一般車
 JR東海発足時、定期運用は無く、臨時等で運用された。1996年に消滅している。
 ジョイフルトレイン
○いこい
 1982年3月に登場した、名古屋地区の和式お座敷列車。外観は12系客車とほとんど変わらない。1997年2月引退。

○お座敷
 1983年3月に登場した、名古屋地区の和式お座敷客車。名古屋にちなんで「ナコ座」と呼ばれた。開放式展望車が設けられていた。1999年10月廃車。

○ユーロライナー
 1985年9月に登場した、名古屋地区の団体向け欧風客車。両端に展望室、中間車にはサンルーフが設けられ、専用塗装の機関車も登場した。2005年4月引退。
 
ユーロライナー
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
いこい スロフ12 811-812
オロ12 821-824
6 スハフ12-0
オハ12-0
1982.3 1997.3
お座敷 スロフ12 915-916
オロ12 829-832
6 スハフ12-0
オハ12-0
1983.3 1999.10
ユーロライナー スロフ12 701-702
オロ12 701-705
7 スハフ12-0
オハ12-0
1985.8 2005.7
JR西日本
 一般車
 JR発足時、臨時列車のほか、急行「ちくま」「だいせん」運用と1000番台による普通列車運用が残っていた。1991年にはリクライニングシートの3000番台も登場する。普通列車運用は1997年、急行運用も1999年10月に終了。また、1995年に運行を開始した「SL北びわこ号」も、2019年に営業運手を終了し、JR西日本管内における12系一般車は消滅した。

  1978.10.2 急行「ちくま」が12系座席車と20系寝台車になる
  1986.11.1 急行「だいせん」「ちくま」が14系寝台車と12系座席車になる
  1991.9  七尾線の定期運用終了
  1992.3.14 播但線の定期運用終了
  1994.12  芸備線定期運用終了
  1995.8.19 「SL北びわこ号」運転開始
  1997.3.21 山陰線定期運用終了
  1997.10.1 「ちくま」を383系に置き換え
  1999.10.2 「だいせん」をキハ65系に置き換え
  2019.11.10 「SL北びわこ号」最後の営業運転
   
2017.3 「SL北びわこ」:田村-長浜間  2017.8 新山口駅付近
 ジョイフルトレイン
○お座敷→いきいきサロンきのくに
 1981年に登場した、大阪地区の和式お座敷列車。1989年にリニューアル改造され、「いきいきサロンきのくに」となった。1997年9月からは宮原に所属している。2007年6月引退。

○旅路
 1981年7月に登場した、広島地区の和式お座敷列車。当初は12系の塗装のままだったが、1987年に塗装変更。さらに1994年10月にリニューアル改造され、展望室が設置された。2007年9月引退。

○お座敷→わくわく団らん
 1982年に登場した、金沢地区の和式お座敷列車。金沢にちなんで「サワ座」と呼ばれた。1993年にリニューアル改造され、展望室が設置されて「わくわく団らん」となった。2006年12月引退。

○あすか
 1987年11月に登場した、大阪地区の和式お座敷列車。14系改造の展望車も組み込まれてる。最後の和風客車となったが、2016年に引退している。
  
1991.3 いきいきサロンきのくに 
 
2016.10 あすか:吹田車両基地 2016.10 あすか:吹田車両基地 
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
いきいきサロンきのくに スロフ12 807-808
オロ12 813-816
6 スハフ12-0
オハ12-0
1981.7 2007.11
旅路 スロフ12 809-810
オロ12 817-820
6 スハフ12-0
オハ12-0
1981.7 2008.1
わくわく団らん スロフ12 813-814
オロ12 825-828
6 スハフ12-0
オハ12-0
1982.7 2007.3
あすか スロフ12 851
マロフ12 852
オロ12 851-854
オロ14 851
7 スハフ12-0
オハ12-0
オハネ14-0
1987.11 2018.3
○ゆうゆうサロン岡山
 1985年11月に登場した、岡山地区の団体向け欧風客車。1994年1月に塗装変更され、名称も「ユウユウサロン岡山」となった。2011年3月営業運転終了。
ゆうゆうサロン 左:登場時、右:リニューアル
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
ゆうゆうサロン岡山 スロフ12 703-704
オロ12 707-710
6 スハフ12-0
オハ12-0
1985.11 2011.10
○いこい
 1985年に、スハフ12形1両を半室和風、半室洋風の団体向け車両に改造したもの。1989年に、キサロ59-501に再改造されて、キハ58系「セイシェル」の中間車となった。

○きのくにシーサイド
 1999年4月に登場した、イベント列車。12系3両と24系1両の4両編成である。2007年8月引退。
   
 いこい  きのくにシーサイド
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
いこい スハフ12 701 1 スハフ12-0 1985.4 1989.10
きのくにシーサイド スハフ12 128
オハフ13 27
オハ12 228
オハ25 57
4 番号変更なし 1999.4 2007.11
○やまぐち号
 1988年7月に登場した、SLやまぐち号専用のレトロ客車。2005年にリニューアル改造されている。新35系に置き換えられて、2017年8月に引退した。
 
1989.8 やまぐち号 2017.8 やまぐち号:新山口駅付近
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
やまぐち号 オハフ12 701
スハフ12 702
オハ12 701-703
5 スハフ12-0
オハフ13-0
オハ12-0
1988.7 2017.10
○奥出雲おろち
 1998年に登場した、木次線のトロッコ列車。2両編成である。2023年に運行終了の予定となっている。
 
2017.6 奥出雲おろち:出雲三成駅 
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
奥出雲おろち スハフ12 801
スハフ13 801
2 スハフ12-0、3000 1998.3
JR四国
 JR発足時に10両を引継ぎ、このうち6両は「ムーンライト」向けにグリーン車化改造された。2010年までにすべて廃車となり、このうち4両が若桜鉄道に譲渡。車籍は無く、3両は若桜駅に留置、1両は隼駅でライダーハウスとなっている。
 
2017.6 若桜鉄道若桜駅構内 2017.6 オロ12-6:若桜鉄道隼駅 
JR九州
 一般車
 JR発足時は、臨時列車のほか、急行「かいもん」「日南」の座席車運用と久大線等の普通列車運用が残っていた。1993年3月に、九州における客車急行は消滅。普通列車運用も1999年に消滅している。

  1978.3.15 急行「かいもん」「日南」が12系座席車+20系寝台車となる
  1986.11.1 「かいもん」「日南」の寝台車が24系25型となる
  1993.3.18 「かいもん」「日南」廃止
  1999.12.4 久大線の定期運用終了
 ジョイフルトレイン
○海編成
 1980年6月に登場した、九州地区の和式お座敷列車。全国初の12系改造のお座敷列車である。1994年6月引退。

○山編成
 1983年7月に登場した、九州地区の和式お座敷列車。1994年6月引退。

○サザンクロス
 1987年3月に登場した、九州地区の団体向け欧風客車。大きな展望室を設置した豪華客車である。1994年3月引退。
サザンクロス
 名称 番号 両数  前歴  登場  消滅
海編成 スロフ12 801-802
オロ12 801-804
6 スハフ12-0
オハ12-0
1980.3 1995.1
山編成 スロフ12 817-818
オロ12 833-836
6 スハフ12-0
オハ12-0
1983.7 1995.1
サザンクロス スロフ12 705-706
オロ12 711-714
6 スハフ12-0
オハ12-0
1987.3 1994.3
車両配置表
1972 1975 1977 1980 1985 1987 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
青森 45 45 45 55 49 37 36 50 7
盛岡 8 21 21 21 24 30 30 11
秋田 19 6 6 6 12 12 12 12
仙台 12 12 6 6 6
福島 6
上沼垂 26 38 38 37 19 19 19 19 14 7 7 7 7
高崎 24 36 42 42 42 42 72 24 6 6 6 6
水戸 24 24 24
佐倉 12 9
尾久 55 43 31 70 54 47 46 22 6
品川 6 6
長野 13 13 13 13 19 19 19 9
沼津 6 6
名古屋 13 13 12 37 37 39 22 7 7
美濃太田 7 4 4
富山 13 13 13
金沢 26 13 13 31 31 27 12 6 6
向日町 12 18 16 3 6
宮原 99 66 68 84 87 45 44 52 40 13 13 13 6
姫路 16 16 30
竜華 17 22 24 43
和歌山 24 18 12 3
福知山 8 8 8 7 40 12 12 6
米子 11 23 39 26 25 8 2 2 2 2
出雲 6 14 19 18
岡山 26 38 38 32 41 30 30 25 16 6 6
広島 18 31 31 24 6 6 35 10
山口 8 8 8 7 7 7 5 7 6 6 6 6
下関 14 6 6 6
高松 10 10 4
高知 6 6 6 4
門司港 12 12
鳥栖 12
大分 12 12 12 12 12 25
熊本 103 43 43 43 31 30 30 24 13
鹿児島 26 25 25 25

12系