モンゴル人による元王朝は1368年に滅亡し、漢民族による久々の王朝、明が建国された。明ははじめ南京に都をおくが、間もなく元の大都に重ねるようにして北京城を築き、これ以降は北京が都となっている。

 洪武帝 1368〜1398
 永楽帝 1403〜1424
 宣徳帝 1426〜1435
 万暦帝 1573〜1620 ほか

 明は3代の永楽帝の時代を頂点に衰退し、1644年に満州族が清王朝を建国して支配者が変わる。しかし、清は明の政治システムをほぼ踏襲しており、北京城などもそのまま使用されている。この中国最後の王朝も、晩年は欧米列強との戦いや国内の混乱で衰え、最後は民衆による革命で滅亡している。

 順治帝 1644〜1661
 康熙帝 1661〜1722
 雍正帝 1723〜1735
 乾隆帝 1736〜1795
 西太后 1862〜1908(摂政)
 宣統帝 1909〜1911 ほか

北京
 頤和園(世界遺産)
 1750年に乾隆帝が造営した庭園が前身で、英仏などの攻撃で2度破壊されたが、1902年に西太后が再建して現在の姿になっている。周囲8kmもの広大な庭園で、単独で世界遺産に登録されている。北京では3泊することになっていたが、間の2日間は郊外に出てしまうため、市内観光の時間は限られる。頤和園は興味があったので、日本から北京に到着すると荷物だけホテルにおいてすぐ向かった。
 頤和園は地下鉄で行かれるが、1時間ほどかかって到着は16:50。仏香閣などの建物内部はもう入れなかった。まずは高い所から全体を見ようと万寿山に登るが、視界はあまりきかない。昆明湖岸に降りるとちょうど夕陽の時間で、なかなか美しい風景だった。宮殿区をはじめ建物も多く、じっくり見たら1日かかってしまいそうである。暗くなってきたので、2時間弱で駆け足の観光を終えた。
2010.9 蘇州街 2010.9 仏香閣
2010.9 仁寿殿 2010.9 長廊
2010.9 石舫 2010.9 昆明湖
 ☆世界遺産「頤和園」 1998年登録
 明の十三陵(世界遺産)  
 文字通り明王朝の13人の皇帝の陵墓が集まっている地域で、「明・清の皇帝陵墓群」として世界遺産に登録されている。万里の長城の八達嶺と同じ方向にあるので、セットになったツアーで訪れた。
 公開されているのは13のうち3ヶ所だが、訪れたのは万暦帝の陵墓、定陵の1ヶ所のみである。ここは地下に入ることができるのでイメージがつかめた。内部は予想以上に広く、陵墓というより地下宮殿といった雰囲気であった。なお、万暦帝の時代といえば日本の戦国時代の終わりにあたり、秀吉の朝鮮出兵の際に朝鮮側に援軍を送って日本と戦った関係にある。
2010.9 定陵 2010.9 地下宮殿
 ☆世界遺産「明・清朝の皇帝陵墓群」 2000年登録
 天壇(世界遺産)  
 1420年に創建され、皇帝が五穀豊穣を祈って祭祀を行った場所。北京には明・清時代の建物が多いが、天壇だけで1つの世界遺産になっているのが不思議である。祈念殿は1889年の落雷で焼失し再建されたものだが、1530年に建造された皇穹宇は現存している。最終日の朝いちばんで訪れた。
 朝早いので人が少ないのかと思いきや、太極拳などの運動をしているグループがいくつもあって、とても賑やかであった。皇穹宇ではモデルの撮影をしていて、さまざまな利用のされ方がある所だった。
 
2010.9 圜丘  2010.9 皇穹宇
 
2010.9 祈念殿 2010.9 祈念門 
 ☆世界遺産「天壇」 1998年登録
 紫禁城(世界遺産)  
 明は当初南京を都としたが、1406年に紫禁城の建設を開始し、完成した1421年、北京遷都を行った。明から清に移ってもここが王宮として使用され、現在では故宮博物館になっている。当初は単独の世界遺産だったが、瀋陽の故宮が追加登録されて「北京と瀋陽の明・清王朝皇宮」という名称になった。
 天壇から歩いて向かうと、まず前門とも呼ばれる正陽門が見えてくる。紫禁城の建物のほとんどは火災などにより清代に再建されているが、ここは1420年に建てられたままである。この先が天安門広場だが、入り口がわからずだいぶ手間取った。
2010.9 正陽門 2010.9 天安門広場と天安門
 天安門広場の正面は1651年に再建された天安門で、その脇を過ぎるといよいよ故宮博物館になる。博物館といっても、見どころは美術品などではなく建物群である。
 南側の午門から入るとまず太和門、そこをくぐると太和殿が見えてくる。紫禁城の正殿で、中国最大の木造建築とのことだが、まわりが広いので目立たない。その奥には中和殿、保和殿が並ぶが、どこが違うのかだんだんわからなくなってくる。
 
2010.9 太和殿 2010.9 中和殿・保和殿 
 紫禁城の東側には、外東路とよばれる別料金が必要なエリアがある。同じようなつくりの建物が多い中、このエリアには独特な建物が集まっていて面白い。とくに3層になった京劇の舞台、暢音閣はいちばん印象に残った。
 
2010.9 寧寿宮 2010.9 暢音閣
 紫禁城の北側には、皇族の住居、内廷の建物が集まる。ここは太和殿等の南側の3つの建物と配置まで同じで、間違え探しのようである。ここまで相当早足で城内をめぐったが、それでも紫禁城に入ってから1時間半経過。帰国の飛行機に間に合わなくなりそうなので、西側のエリアをあきらめて北側の神武門から外に出た。目の前の景山公園は眺めが素晴らしい所だが、ここも時間切れで涙を呑む。掘沿いに歩くと、角楼が美しく見えていた。
 
2010.9 乾清宮 2010.9 角楼 
 ☆世界遺産「北京と瀋陽の明・清王朝皇宮」 1987年登録

明・清王朝 -北京