カラルは、世界史の定説を覆す遺跡である。南米には例の無い石造のピラミッド群。しかも研究の結果、紀元前2500〜3000年、エジプトのピラミッドと同時期のものと考えられているのだ。周辺にはスペやラス・シクラスなど同じようなピラミッドがいくつも築かれており、四大文明に匹敵するものがこの地にあったことは確実になりつつある。

ペルー・リマ州
 カラル遺跡(世界遺産) 
 この年の6月、世界遺産に登録されたばかりの遺跡で、ガイドブックには全く掲載されておらず、事前にいろいろ調べてもほとんど情報が無い。さぞかし無人の静かな遺跡だろうと思っていたが、着いてみると駐車場は大型バスであふれ、土産物屋などもつくられていた。ペルーの学生が大勢訪れているようで、もう大観光地といった風格である。
 この遺跡で何といっても驚くのはピラミッドの数で、大きなものだけでも7基ほどが広場を囲むように建ち並んでいる。まだ研究が始まったばかりで、ピラミッドの役割などはわからないが、5000年も前のピラミッド群が目の前に広がっていることだけでも感激する。後のチャビンに影響を与えたかもしれない円形広場や、日時計のようなものもあって、研究が進むのが楽しみなところである。
2009.9 Piramide Anfiteatroの聖なる祭壇 2009.9 Piramide de la CanteraとPiramide Antigua
2009.9 Piramide Mayor 2009.9 Piramide MayoyとPiramide Menor
2009.9 Piramide de la HuancaとPiramide de la Galeria 2009.9 Piramide de la Huanca
 ☆世界遺産「カラル=スペの聖なる都市」  2009年登録
 カラル周辺遺跡
 カラル周辺は、他にもあちこちにピラミッドがある。左はカラル遺跡から川の対岸に見えた遺跡、右の写真はバスでカラル遺跡に向かう途中、少し手前で見たものである。
2009.9 2009.9
ペルー・アンカシュ州
 セロ・セチン遺跡
 紀元前2000年から1000年、カラルとチャビンの中間にあたる時期の遺跡と考えられている。案内板によると、かなり広い範囲にいくつもの遺跡が点在しているようであるが、見学したのは博物館のすぐ前にある1つだけだった。ここへ行く途中、道路が事故で5時間以上も通行止めになったため、夕方の日暮れ間際の見学になってしまった。
 この遺跡のいちばんの特徴は、壁一面に人の頭を描いたような石がはめこまれていることである。中には、頭ではなく手や内臓などもあって、なんとも不気味であった。しかしガイドの説明はひたすら壁画に終始し、遺跡のその他の部分は見に行こうともしない。説明が終わった後で、急いで高台に上って遺跡全景を眺めた。
2009.9 遺跡全景 2009.9 壁画

プレ・インカ文明−カラル