古王国時代は、エジプトの代名詞ともいえるピラミッドがつくられた時代。第3王朝から第6王朝にあたる。ファラオがホルス神の化身、太陽神ラーの息子と神格化され、ヒエログリフの文書も盛んに刻まれるなど、エジプト文明の基礎がほぼ完成した。古王国時代の遺跡の多くは、「メンフィスとその墓地遺跡、ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」という名で1つの世界遺産に登録されている。 |
|
○第3王朝のおもなファラオ ジェセル王 BC2688〜2649 最古のピラミッドとなる階段ピラミッド建設 フニ王 BC2637〜2613 メイドゥムの崩れピラミッド建設 |
![]() |
2025.5 ジェセル王座像 (エジプト考古学博物館) |
|
〇第4王朝のおもなファラオ スネフェル王 BC2613〜2589 屈折ピラミッド、赤ピラミッド建設 クフ王 BC2589〜2566 ギザの大ピラミッド建設 カフラー王 BC2558〜2532 ギザのピラミッド、スフィンクス建設 メンカウラー王 BC2532〜2504 ギザのピラミッド建設 |
![]() |
2025.5 クフ王座像 (エジプト考古学博物館) |
|
![]() |
![]() |
2025.5 カフラー王座像 (エジプト考古学博物館) |
2025.5 メンカウラー王の三体像 (エジプト考古学博物館) |
〇第5王朝のおもなファラオ ウセルカフ王 BC2498〜2491 アブ・グラブの太陽神殿建設 ウナス王 BC2375〜2345 ピラミッド・テキストを残す |
〇第6王朝のおもなファラオ ペピ1世 BC2332〜2283 約50年にわたって統治 |
ギザ県 | |
サッカラ(世界遺産) | |
サッカラには、第3王朝ジェセル王と宰相イムヘテプの建造といわれる最古のピラミッド、階段ピラミッドがある。これ以前には例のない高さ62mの巨大建造物。周囲にはピラミッド複合体を形成する建物群もあって、前ぶれなく突然文明が花開いたという印象である。 ギザのピラミッドを見た後だったので、さすがに小さく感じるが、独特の姿は感慨深いものがある。入り口はきれいに復元されていてややアンバランスであった。 |
|
![]() |
![]() |
1995.12 階段ピラミッド | 1995.12 階段ピラミッド複合体建造物 |
階段ピラミッドの近くにあるパノラマの丘からは、サッカラとダハシュールのピラミッド群が一望できる。ダハシュールは最も多くのピラミッドを建造した第4王朝スネフェル王のピラミッド群で、遠くに浮かぶピラミッドのシルエットは幻想的であった。なお、屈折ピラミッドは左奥の霞んでいる方である。 すぐそばには、古王国時代の終わりに近いウナス王のピラミッドがある。内部にピラミッド・テキストが書かれていたことで有名だが、技術力は落ちていてすでに崩れていた。 |
|
![]() |
![]() |
1995.12 左・屈折ピラミッド、右・赤ピラミッド サッカラ、パノラマの丘より |
1995.12 ウナス王のピラミッド |
ギザ(世界遺産) | |
3大ピラミッドと呼ばれる、最も有名なピラミッド群。カフラー王のものが大きく見えるが、少し高台に建つためで高さは136.4m。クフ王は本来146.6mで、頂上が崩れた今でも137.5mあり、こちらが最大のピラミッドである。カフラー王のピラミッドは頂上にキャップストーンが残っている。 クフ王のピラミッドは、以前はピラミッドの上に登れたが、転落事故などにより登れなくなってしまった。マヤのピラミッドはどこも上に登れるので、それに比べて面白みが少ない。また、すぐそばまで市街地が広がって砂漠の雰囲気を壊しており、期待していたほどの楽しさはなかった。 |
|
![]() |
|
1995.12 左からクフ王、カフラー王、メンカウラー王のピラミッド | |
![]() |
![]() |
2025.5 カフラー王のピラミッド | 2025.5 メンカウラー王のピラミッド |
クフ王のピラミッドは、中に入ることができる。大回廊は驚くべき規模だが、それに比べて王の間は殺風景で、知ってはいたがやはり拍子抜けした。なお、1995年の訪問時は、暗くていい写真が撮れなかったが、2025年の再訪時はスマホで鮮明に撮影できた。 |
|
![]() |
|
2025.5 クフ王のピラミッド やや右の穴のように見えるところが本来の入口で、その下に現在の観光客の入口がある |
|
![]() |
![]() |
2025.5 クフ王のピラミッド内 大回廊 | 2025.5 クフ王のピラミッド内 王の間 |
ピラミッドの周辺には、王妃のピラミッドやマスタバ、神殿などさまざまな建造物がある。そのうちの1つ、カフラー王妃であるメレス・アンク3世のマスタバが公開されていた。ほとんど観光客が訪れないような所だが、驚くほど見事な壁画や彫刻で彩られていた。 |
|
![]() |
![]() |
2025.5 クフ王のピラミッドと王妃のピラミッド | 2025.5 メレス・アンク3世のマスタバ |
スフィンクスはカフラー王のピラミッドの東にあり、ピラミッド複合体の一部として建造されたと考えられている。1995年の訪問時は横からしか見られなかったが、2025年は特別の許可を得て足下からゆっくり見学した。スフィンクスは、古王国時代にはあまり信仰されず、1000年後の新王国時代になって盛んに崇拝された。正面にあるトトメス4世の碑文も、その時代にものである。 |
|
![]() |
|
1995.12 スフィンクスとクフ王のピラミッド | |
![]() |
![]() |
2025.5 スフィンクスの足下より 左はカフラー王、右はクフ王のピラミッド |
2025.5 スフィンクス正面 下にはトトメス4世の夢の碑文がある |
スフィンクスの正面にはスフィンクス神殿、その南には河岸神殿がある。河岸神殿は砂で埋もれていたため、保存状態がいい。河岸神殿とカフラー王のピラミッドは参道でつながっている。 |
|
![]() |
![]() |
2025.5 河岸神殿 | 2025.5 スフィンクスの手前がスフィンクス神殿 奥はメンカウラー王とカフラー王のピラミッド |
☆世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡・ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯」 1979年登録 |
エジプト文明−古王国時代