世界最古の文明の1つ、エジプト文明は、紀元前3100年頃にナルメル王が上エジプトと下エジプトを統一したことに始まるとされる。紀元前30年のクレオパトラの死によってエジプト王国が滅びるまで、3000年以上も続いた世界最長の王国でもある。大きく分けて初期王朝時代、古王国時代、中王国時代、新王国時代、プトレマイオス朝時代に分けられるが、エジプトの代名詞ともいえるピラミッドがつくられたのは古王国時代だけである。古王国時代の遺跡の多くは、「メンフィスとその墓地遺跡、ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」という名で1つの世界遺産に登録されている。

○古王国時代のおもなファラオ
 ジェセル王 BC2688〜2649
 フニ王    BC2637〜2613
 スネフェル王 BC2613〜2589
 クフ王    BC2589〜2566
 カフラー王 BC2558〜2532
 メンカウラー王 BC2532〜2504
 ウセルカフ王 BC2498〜2491
 ウナス王  BC2375〜2345
 ペピ2世   BC2278〜2184

ギザ県
 サッカラ(世界遺産)
 サッカラには、第3王朝ジェセル王と宰相イムヘテプの建造といわれる最古のピラミッド、階段ピラミッドがある。これ以前には例のない高さ62mの巨大建造物。周囲にはピラミッド複合体を形成する建物群もあって、前ぶれなく突然文明が花開いたという印象である。
 ギザのピラミッドを見た後だったので、さすがに小さく感じるが、独特の姿は感慨深いものがある。入り口はきれいに復元されていてややアンバランスであった。
 
1995.12 階段ピラミッド 1995.12 階段ピラミッド複合体建造物
 階段ピラミッドの近くにあるパノラマの丘からは、サッカラとダハシュールのピラミッド群が一望できる。ダハシュールは最も多くのピラミッドを建造した第4王朝スネフェル王のピラミッド群で、遠くに浮かぶピラミッドのシルエットは幻想的であった。なお、屈折ピラミッドは左奥の霞んでいる方である。
 すぐそばには、古王国時代の終わりに近いウナス王のピラミッドがある。内部にピラミッド・テキストが書かれていたことで有名だが、技術力は落ちていてすでに崩れていた。
 
1995.12 左・屈折ピラミッド、右・赤ピラミッド
サッカラ、パノラマの丘より
 1995.12 ウナス王のピラミッド
 ギザ(世界遺産)
 3大ピラミッドと呼ばれる、最も有名なピラミッド群。カフラー王のものが大きく見えるが、少し高台に建つためで高さは136.4m。クフ王は本来146.6mで、頂上が崩れた今でも137.5mあり、こちらが最大のピラミッドである。カフラー王のピラミッドは頂上にキャップストーンが残っている。
 クフ王のピラミッドは、以前はピラミッドの上に登れたが、転落事故などにより登れなくなってしまった。マヤのピラミッドはどこも上に登れるので、それに比べて面白みが少ない。また、すぐそばまで市街地が広がって砂漠の雰囲気を壊しており、期待していたほどの楽しさはなかった。
1995.12 左からクフ王、カフラー王、メンカウラー王のピラミッド
1995.12 カフラー王のピラミッド   1995.12 クフ王のピラミッド
右下の穴が現在の入り口
 クフ王のピラミッドは、中に入ることができる。大回廊は驚くべき規模だが、それに比べて王の間は殺風景で、知ってはいたがやはり拍子抜けした。
1995.12 クフ王のピラミッド内 大回廊 1995.12 クフ王のピラミッド内 王の間
 スフィンクスは三大ピラミッドのすぐそばにあり、ピラミッドと同時期に建造されたというのが定説であるが、一世を風靡したグラハム・ハンコックの書では、紀元前1万年以上前という説が出されている。ロマンが尽きない遺跡だが、訪れた時はまだ勉強不足でそこまで考えていなかった。
  1995.12 背後はクフ王のピラミッド 1995.12 河岸神殿
 ☆世界遺産「メンフィスとその墓地遺跡・ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯」 1979年登録
 メンフィス 
 古王国時代の首都だが、遺跡はほとんど残っていない。写真は博物館にあったものである。
 1995.12 アラバスターのスフィンクス

エジプト文明−古王国時代