世界最古の文明の1つ、エジプト文明は、紀元前3100年頃にナルメル王がナイル川流域(上エジプト)とデルタ地帯(下エジプト)を統一したことに始まるとされる。紀元前30年のクレオパトラの死によってエジプト王国が滅びるまで、3000年以上も続いた世界最長の王国でもある。紀元前3世紀の神官マネトーは、エジプトの歴史を30の王朝に分類した「エジプト史」を書き記しており、この分類は現代でも使われている。 初期王朝時代は、このうち第1・第2王朝が該当する。記録が不確かな王も多いが、エジプト統一を成し遂げたナルメル王が実在したことはほぼ確実視されており、ルクソールの南にあるヒエラコンポリスからはエジプト統一を象徴する「ナルメルのパレット」も発見されている。 ○第1王朝のおもなファラオ ナルメル王 BC3100頃 ホル・アハ王 BC3100頃 ジェル王 BC3000頃 〇第2王朝のおもなファラオ カセケムイ王 BC2700頃 |
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2025.5 ナルメル王のパレット(エジプト考古学博物館) 右上は、上エジプトの象徴であるハヤブサ(ホルス神)が、下エジプトの象徴であるパピルスを踏みつけている。中央にある王の姿の表現は、2000年後の新王国時代とほとんど変わらない |
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ギザ県 | |
メンフィス | |
メンフィスは、第1王朝のナルメルまたはホル・アハが建設した都市とされる。古王国時代にかけて統一エジプトの都となり、またプタハ神信仰の中心でもあった。都がテーベに遷った後も下エジプトの中心都市として栄えたが、紀元前4世紀のアレキサンドリア建設後は徐々に衰退し、7世紀以降はアラブ人によってカイロが建設されたことで放棄されている。古代エジプトの遺跡はほとんど残っておらず、博物館で辛うじて新王国時代に制作されたアラバスターのスフィンクスなどが見られるだけである。 |
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1995.12 アラバスターのスフィンクス |
エジプト文明−初期王朝時代