1909年に電気の軌道として開業し、1923年に鉄道に変更となった。当初は遠州二俣までであったが、1937年に西鹿島までに短縮している。また、1943年に奥山線をもつ浜松鉄道と合併したが、こちらは1964年に廃止している。
  
2021.9 1000形:遠州岩水寺〜遠州芝本間
戦前
 旧遠州電気鉄道
 軽便鉄道時代には、Bタンクやガソリンカーが使用されていたようだが、詳細はわからない。改軌・電化時に導入されたものは、木造シングルルーフのホ1形。同時に登場した付随車フ101形は2軸車であった。戦時中に増備されたホ11形は、戦後に車体を新造して30形に編入されている。
種類 形式 両数  前歴 登場 消滅 備考 
EC ホ(モハ)1-5 5 新造 1923 1965?  
ホ(モハ)6-7 2 新造 1924 1962  
ホ(モハ)11-12 2 新造 1943 1963 更新→モハ38-39
フ(サハ)101-106 6 新造 1923 1961  
フ(サハ)107 1 出石鉄道 1941 1957  
戦後〜1970年代
 終戦直後の電車
 運輸省規格型のモハ13-14をはじめ、終戦直後に登場した電車は、1960年代に車体を新造して30形に更新された。旧車体の一部は北陸鉄道に譲渡されている。
 種類 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
EC モハ13-14 2 新造 1948 1962.1 更新→モハ36-37
モハ15 1 新造 1953.7 1968.11 更新→モハ29
クハ51-52 2 新造 1953 1962.1 更新→クハ86-87
クハ53-54 2 新造 1951 1963.12 更新→クハ88-89
クハ61 1 新造 1955.10 1968.11 更新→モハ79
 ED21形・ED28形
 電気機関車は4両導入されたが、すべて出自は異なる。このうち豊川鉄道にルーツをもつED282は、製造から90年以上たった今も車籍を残している。
2016.8 ED282:遠州西ヶ崎駅 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
ED21形 211 1 新造 1951.8 1974.8
212 1 西武E32 1956.12 1984.2
213 1 名鉄デキ111 1968.5 1975.3 →福井鉄道
ED28形 282 1 国鉄ED282 1960.2
 20形
 17m級全鋼製の湘南型車体で、30形の原型ともいえるもの。モハ21は両運、22-62は片運の固定編成であった。両運のモハ21は増結用として1980年代まで活躍したが、1984年に廃車となっている。
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ21形 21 1 新造 1956.6 1984.2
モハ22形
クハ62形
22
62
2 新造 1957.7 1978.12
 キハ800形
 キハ800形は、二俣線直通のために導入された、遠州鉄道唯一の気動車。直通運転廃止後は全車北陸鉄道に譲渡された。このうちキハ802は、北陸鉄道能登線、筑波鉄道で2度廃止を経験した後、貴重な国鉄キハ04形の生き残りとして、鉄道博物館で保存されるという数奇な運命をたどっている。
 2015.12 元キハ802:鉄道博物館
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
キハ800形 801-803 3 国鉄キハ04形 1958.8-59.11 1967.4 →北陸鉄道
 30形
 戦後の遠州鉄道の主力となった形式で、新造車とモハ13形等の機器流用車がある。番号が製造順になっていないのでわかりにくいが、22年にもわたって増備されたため、全長や客扉、冷房など仕様が何度も変わってきている。最後に登場したモハ51・クハ61は、遠州鉄道初のカルダン駆動で、前面のデザインも変わり別形式のようである。
 1980年には51編成に置き換えられて31編成が廃車となり、その後も1000形・2000形の増備とともに廃車が進んだ。同時に26-86、27-89、28-82などが固定編成になったが、最後まで残った51-61が2017年11月、25-85が2018年4月にラストランを行い、姿を消した。
2005.2 クハ85:西鹿島駅 2017.11 モハ25:新浜松駅
2016.8 モハ51:新浜松駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ30形
クハ80形
31、81 2 新造 1958.11 1980.12 全長17m級
32、34
82-84
5 新造 1960.12-62.2 2004.10
36-39
86-89
8 モハ13等 1962.1-63.12 2015.2
33、35 2 新造 1966.6 1994.12
30、80 2 新造 1967.6 2006.6 両扉
29、79 2 モハ15
、クハ61
1968.11 1999.3 両扉
25-28
85
5 新造 1973.3-78.12 2018.4 両扉、新製冷房
51、61 2 新造 1980.12 2018.2 両扉、新製冷房、
カルダン駆動
1980年代以降
 1000形
 創立40周年を記念して、1983年に登場したもの。性能はモハ51に近いが、デザインが大きく変更されている。13年かけて7編成が出揃っている。
2017.11 西鹿島駅付近
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ1000形
クハ1500形
1001-07
1501-07
14 新造 1983.11-96.12
 2000形
 遠州鉄道初のVVVFインバータ制御車。外観は1000形に類似している。こちらも20年以上にわたって増備されている。
2017.11 西鹿島駅付近   2021.9 遠州岩水寺〜遠州芝本間
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ2000形
クハ2100形
2001-08
2101-08
16 新造 1999.3-2021.2
形式別車両数
種類 形式 1940 1954 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
EC 木造車 15 14 6
鋼製車 9 2
20形 3 3 1
30形 15 21 28 24 18 16 12 8 8 4
1000形 2 8 12 14 14 14 14 14
2000形 2 8 8 12 14
DC キハ800形 3  
EL ED21形 1 2 1 1
ED28形 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
年表

  1909.3.3  大日本軌道:中ノ町線開業
  1909.12.6 鹿島線:板屋町(遠州浜松)〜鹿島(遠州二俣)間17.7km開業(762mm)
  1914.4.7  笠井線開業
  1919.10.12 遠州軌道が大日本軌道浜松支社の路線を引継ぐ
  1921.8.23 遠州電気鉄道と改称
  1923.4.1  遠州浜松〜遠州二俣間1067mm改軌、電化
  1925.4.8  中ノ町線、笠井線が浜松軌道として分離
  1927.9.1  旭町(現・新浜松)〜遠州二俣間19.1km全通
  1937    遠州二俣駅移転、西鹿島と改称
  1943.11.1 遠州電気鉄道などが合併し遠州鉄道設立
  1947.5.1  浜松鉄道を合併
  1964.11.1 奥山線廃止
  1976.4.1  貨物営業廃止
  1985.12.1 新浜松〜助信間高架新線に切り替え、17.8kmとなる
  

遠州鉄道