前身は、富士馬車鉄道と都留馬車鉄道という2つの馬車鉄道である。速度向上と輸送力増強のため、新たに富士山麓電気鉄道が設立され普通鉄道の新線が建設された。国鉄・JRとの直通運転が行われており、かつては直通の定期急行も運行されていた。1960年に富士急行と改称していたが、2022年に鉄道事業が分社化されて富士山麓電気鉄道の名称が復活した。
2019.11 8000系:赤坂駅付近
戦前〜終戦直後
 富士山麓電気鉄道の開業時の車両は、木造車のモ1形が5両と電動貨車1両であった。1953年に鋼体化されてモハ500形となるが、木造の旧車体が上田丸子電鉄に譲渡されてクハ251となり、1983年まで使用されていた。廃車後に車体を富士急行が引き取り、現在は河口湖駅前で保存されている。
2016.1 モハ1形:河口湖駅前
 形式 番号  前歴 両数 登場 消滅  備考
モハ1形 1-5 新造 5 1929 1953 →モハ500形
6 モワ1 1 1934 1953 →モハ500形
7-8 新造 2 1941 →モハ500形
モワ1形 1 新造 1 1929 1934 →モハ6
サハ200形
ハニ250形
200
250-255
国鉄サハ19形等 7 1941 1962 →クハ800形
モハ20形 20-22 国鉄モハ10形等 3 1949 1953 →モハ600形
戦後〜1980年代
 車体更新車  
 富士急行の車両は、大きな改番が2回行われている。最初は富士山麓電気鉄道時代の1950-53年頃で、この時にモハ1形等の木造車を鋼体化してモハ500・600形、クハ800形となった。ただし、鋼体化していない車両も改番している。2回目は富士急行となった1962-66年で、近代化改造を行い、モハ3600・3630形、クハ3660形となっている。2両が事業用として残されていたが、1994年に全廃された。
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ500形 501-509 9 モハ1形 1952-53 1969 →モハ3600・3630形
モハ600形 601-603 3 モハ20形 1951 1969? →モハ3600形
クハ800形 801-805 5 ハニ250形 1950-52 1969? →クハ3660形
モハ3600形
モハ3630形
クハ3660形
3601-05
3631-34
3661-64
13 モハ500・600形
クハ800形
1962.2-66 1994.3
モニ100形 101-102 2 モハ500形 1969 1982.9
 譲受車
 モハ7030形は、戦前の国鉄17m級国電である32系をルーツとする。続くモハ5230形は小田急からの譲受車だった。いずれも5700系に置換えられて消滅している。
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ7030形
クハ7060形
7031-33
7061-63
6 国鉄クモハ14・クハ16形 1969-71 1983.1
モハ5230形
クハ5260形
5231-35
5261-65
8 小田急デハ1910形
・クハ1960形
1977 1984.10
 新造車
 モハ3100形は、富士山麓電気鉄道で初の新性能車。湘南型のスタイルであった。モハ5000形は富士急となって最初の新造車で、地方鉄道では珍しい新製冷房車だった。最後はトーマスランド号として運行されていたが、2019年2月に営業運転を終えている。1両が下吉田駅で保存されている。
2016.1 5000形トーマスランド号:大月駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ3100形 3101-02 2 新造 1956.12 1997.3
モハ5000形 5001-02 2 新造 1975  2019.2  
 キハ58形
 国鉄乗り入れの急行列車のための車両で、富士急行唯一の気動車。001・002は国鉄キハ58形と同じもので、003は両運転台となっている。1975年に急行列車が電車となったために役割を失い、3両とも有田鉄道に譲渡された。両運の003は動態保存されている。
2018.2 もと富士急キハ58003:有田川鉄道記念館
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
キハ58形 001-003 3 新造 1961.12-63.4 1975.4
 5700形
 モハ5700形は、もとは小田急初の新性能車2200・2300系。16両導入されて1980年代の主力となったが、活躍期間は10年程度だった。モハ5707が、富士急行の車番のまま小田急時代の塗装に戻って保存されている。
2017.1 モハ5707:山梨県笛吹市
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ5700形 5701-26 16 小田急2200・2300形 1982.11-84.10 1997.3
1990年代以降
 1000形
 京王5000系を譲り受けたもので、2両編成が9本あり、富士急の主力となった。ロングシートのままの車両が1000・1100形、セミクロスシートに改造された車両が1200・1300形となっている。マッターホルン号、富士登山電車など、さまざまなカラーバリエーションがある。
 
2016.1 河口湖駅  2016.1 京王リバイバル:下吉田駅
 
2016.1 マッターホルン号:河口湖駅  2016.1 富士登山電車:河口湖駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ1000形
モハ1100形
モハ1200形
モハ1300形
1001-02
1101-02
1201-03、05-08
1301-03、05-08
18 京王5000系 1994.2-96.7
 2000形
 JRの165系「パノラマエクスプレスアルプスを譲り受けたもの。2002年1月に、フジサン特急として営業を開始した。2016年2月にさよなら運転を行い、8000系に置き換わっている。
2016.1 河口湖駅付近
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
クロ2000形
モロ2100形
クモロ2200形
2001-02
2101-02
2201-02
6 JR165系 2001.9 2016.2
 6000系
 JR205系をMc-M-Tcの3両編成化したもの。2段窓の量産先行車が6000番台、1段窓の量産車が6500番台、205系3000番台が6700番台となっている。デザインは水戸岡氏が担当した。2016年9月から、6500番台がマッターホルン号となっている。 
 
2016.1 6000系:大月駅  2016.12 6500系マッターホルン号
:下大月駅付近
 
2019.11 6500系トーマスランド号
:十日市場駅
 2019.11 6700系:赤坂駅付近
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
クモハ6000形
クハ6050形
モハ6100形
6001-03
6051-53
6101-03
9 JR205系先行車 2012.1-13.1
クモハ6500形
クハ6550形
モハ6600形
6501-02
6551-52
6601-02
3 JR205系量産車 2012.1-18.3
クモハ6700形
クハ6750形
モハ6800形
6701-02
6751-52
6801-02
6 JR205系3000番台 2019.6-7
 8000・8500系
 特急「あさぎり」に使用されていた小田急20000系(RSE)とJR371系を、ともに譲り受けたもの。RSEは8000系となって2代目「フジサン特急」、371系は8500系となって「富士山ビュー特急」に使用されている。 
 
2019.11 8000系:十日市場駅  2019.11 8500系:十日市場駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
クモロ8000形
クモハ8050形
サハ8100形
8001
8051
8101
3 小田急20000形 2014.7
クモハ8500形
クハ8551形
モハ8601形
8501
8551
8601
3 JR371系 2016.4
形式別車両数
種類 形式 1940 1954 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
EC 木造車 7 5 3 3 2
  500・600・800形 14 8 2          
7030形 6 6
3600形 6 12 4 2 2
3100形 2 2 2 2 2 2
5000系 2 2 2 2 2 2 2 2
5230系 8
5700系 16 16 14
1000形 10 18 18 18 10 6
2000形 6 6 3
6000系 12 21
8000系 3 3
8500系 3
DC キハ58系 3 3      
年表

  1900.9.21 都留馬車鉄道開業(762mm)
  1903.1.17 富士馬車鉄道開業(610mm)
  1926.9.18 富士山麓電気鉄道設立
  1929.6.19 大月〜富士吉田間23.6km開業(1067mm、電気)
  1950.8.24 富士吉田〜河口湖間3.0km延伸
  1960.5.30 富士急行と改称
  2022.4.1 分社化により富士山麓電気鉄道となる

富士山麓電気鉄道