マルタ島とゴゾ島では、30以上の巨石神殿が見つかっている。建造が始まったのは、紀元前4500年頃とされているので、エジプトのピラミッドより1500年も古い。文字が残されていないので、誰が何のために建造したのか、謎のままである。最古のスコルバ神殿をはじめ、6ヶ所の神殿が世界遺産に登録されている。

ゴゾ島
 ジュガンティーヤ神殿(世界遺産)
 スコルバ神殿の次に古く、紀元前3600年頃に建造されたと考えられている。世界遺産の神殿の中では唯一ゴゾ島にある。
 上から見ないとわかりにくいが、楕円形の部屋がお団子のように連なって1つの神殿となっており、それが横に2つ並んでいる。巨石は裏側に多く、入口側から見るとあまり巨石という感じではなかった。しかし、多くの神殿では保護のための屋根が付けられているが、ここはまだ青空の下なので見栄えがいい。
2017.5 神殿裏側より 2017.5 右側の神殿入口
2017.5 神殿内部
マルタ島
 ハジャーイム神殿(世界遺産)
 紀元前3000年頃に建造されたもので、「青の洞門」という景勝地のすぐそばにある。規模は小さいが、20トンもある最大級の巨石が使われている。構造も複雑で、いくつかの神殿が重なったようになっているが、屋根が邪魔なのと人も多いので写真は撮りにくかった。
 
2017.5 神殿入口 2017.5 20トンの石
2017.5 神殿内部 2017.5 神殿内部
 イムナドラ神殿(世界遺産)
 ハジャーイム神殿から遊歩道を歩いて10分ほど。かつては、地中海をバックに巨石神殿が見られたようなのだが、今では屋根しか見えなくなってしまった。神殿は3つ並んでいて、左側と中央のものは規模が大きく形もわかりやすい。石についているつぶつぶは、模様として人間の手でつけられたものである。
2017.5 左側の神殿入口 2017.5 神殿内部
2017.5 中央の神殿内部
 タルシーン神殿(世界遺産)
 ここも紀元前3000年頃の神殿で、3つの神殿が並ぶ比較的規模の大きいもの。ヴァレッタの郊外にあって、路線バスでも15分ほどで行かれるのだが、市街地の中でわかりにくく何度も道を尋ねてしまった。
 ここもつい最近屋根が設置されてしまったのだが、少し高い位置から眺められるので、全体の構造がわかりやすい。20世紀まで土に埋まっていたため保存状態がよく、石に刻まれた模様も残っていた。ここから出土した、マルタのヴィーナスと呼ばれる豊穣の女神の石像のレプリカも置いてある。腰から下だけであるが、恐ろしく太い足である。
2017.5 神殿全景 2017.5 神殿の部屋の壁
2017.5 マルタのヴィーナス(レプリカ) 2017.5 模様のある石
 ☆世界遺産「マルタの巨石神殿群」 1980年登録
 カートラッツ
 マルタ島のあちこちに、カートラッツと呼ばれる謎の直線が残っている。神殿の巨石を運んだ轍とも言われるが、神殿の近くでは見つかっていなかったり、海の方へ向かっていたりするので、辻褄が合わない。タクシーの運転手が場所を知らず、見つけるのが大変だった。
2017.5 クラハムジャンクションのカートラッツ

巨石文化 -マルタ