ポリスとしてのアテネの成立は、他のポリスと同様に、BC8世紀頃と考えられる。交易で発展したアテネはギリシャ有数のポリスとなり、ペルシャ戦争では主力として活躍する。ペルシャ戦争後がアテネの黄金時代で、パルテノン神殿などの多くの建物もこの時期に建設された。しかし、間もなく始まったペロポネソス戦争でスパルタに敗れ、ギリシャの盟主の座を失っている。

 BC8世紀頃 ポリス成立
 BC6世紀  ソロンの改革、アテネの法が整備される
 BC490〜449年 ペルシャ戦争、ペルシャを撃退する
 BC432年  パルテノン神殿建設
 BC431〜404年 ペロポネソス戦争、スパルタに敗れる


アテネ
 アクロポリス(世界遺産)  
 アテネのアクロポリスは、ミケーネ時代から砦があったようであるが、はっきりしない。BC6世紀頃に、アテナイに捧げる神殿などが建設されたが、ペルシャ戦争ですべて破壊された。パルテノン神殿をはじめとする現在の建物は、ペルシャ戦争後の短い期間に建設されたものである。
 最初の訪問時は、イスタンブールから朝一の飛行機で移動したので、12時前にアテネ市内到着。まずホテルにチェックインして、考古学博物館で予習した後、40分程歩いてアクロポリスに向かった。アクロポリスの丘の上に建つパルテノン神殿は、紀元前432年に完成し、守護神アテナが祀られていた。丘の上にあるため街の中からもよく見えるが、近づくと修復のための足場が目だって残念である。丘の上にはエレクティオン神殿もあるが、こちらも工事のため近づけなかった。
1997.7 パルテノン神殿 西側  1997.7 エレクティオン神殿
 アクロポリスの全景が見たかったので、南西側にあるフィロパポスの丘に行ってみた。観光地というわけではないので行き方もわかりにくく、展望がひらける場所を見つけるのに苦労したが、遺跡全体が見渡せたので行ってよかった所である。
1997.7 フィロパポスの丘より
中央にパルテノン神殿、左下は音楽堂、右奥はリカヴィトスの丘
 2度目の訪問時、西側のファサードは修復の足場で隠されていたが、東側はちょうど朝日を浴びて美しかった。破風のレリーフのオリジナルはアクロポリス博物館に移されたが、元の場所にレプリカがあってイメージしやすい。、
2019.5 パルテノン神殿 東側 2019.5 破風のレリーフ(レプリカ)
 エレクティオン神殿は、周辺の工事が終わり、神殿のまわりを一周できるようになっていた。有名な6体の少女の柱はレプリカで、5体はアクロポリス博物館、1体は大英博物館にあるが、初回訪問時もレプリカだったかどうかはよくわからない。
2019.5 エレクティオン神殿 2019.5 エレクティオン神殿の少女像
(アクロポリス博物館)
 アクロポリスは、1687年にヴェネチア軍の砲撃を受けて大破しており、建物の形をとどめているのはパルテノン神殿、エレクティオン神殿と、プロピュライア、アテナ・ニケ神殿のみである。ただ、復元工事が行われえている一画があったので、何年か後には建物が増えているかもしれない。
2019.5 プロピュライア 2019.5 アテナ・ニケ神殿
2019.5 アテナ古神殿跡 2019.5 女神ロマと皇帝アウグストゥスの神殿
 天気がよかったので、ケーブルカーでリカヴィトスの丘に登って、アテネ市内の大展望を楽しんだ。アクロポリスの背後には海が広がっていて、素晴らしい風景である。
 2019.5 リカヴィトスの丘より アクロポリス 
 ☆世界遺産「アテネのアクロポリス」 1987年登録
 アクロポリス南麓
 イロド・アティコス音楽堂は、ローマ時代の161年に建てられたもので、アクロポリスから見下ろすことができる。観客席が修復され、今もコンサートなどに使用されている。
2019.5 イロド・アティコス音楽堂 2019.5 イロド・アティコス音楽堂
 ディオニソス劇場は、古代ギリシャで毎年ディオニソス祭が行われていたところ。ローマ時代に改変されているが、客席はギリシャ時代のものが残る。貴賓席のような立派な椅子もあっておもしろい。
2019.5 ディオニソス劇場 2019.5 ディオニソス劇場
 ディオニソス劇場の前には、ディオニソス神殿があったが、今では礎石のみなのでイメージしづらい。ここからアクロポリスを見上げると、紀元前5世紀にアクロポリスを拡張した際の人工壁が壮観で、パルテノン神殿も少し見えている。また、ディオニソス劇場とイロド・アティコス音楽堂の間には、雨に濡れないための列柱館が建てられていた。
2019.5 ディオニソス神殿跡とキモンの南壁 2019.5 列柱館
 アクロポリスの麓から5分ほど歩いたところに、ゼウス神殿がある。紀元前6世紀に着工したものの工事が中断し、ローマのハドリアヌス帝の時代にようやく完成している。かつては104本の柱があったといわれ、今は15本しか残っていないが、大きさは容易に想像できた。神殿の手前にはハドリアヌスの門が残るが、目の前が幹線道路なので雰囲気がよくない。、
2019.5 ゼウス神殿 2019.5 ハドリアヌスの門
 古代アゴラ
 アクロポリスの北側には、ギリシャ時代のアテネの中心、古代アゴラがある。初回訪問時は移動日の朝に40分駆け足で見ただけだったので、2度目はじっくり巡った。
 多くは礎石が残るだけだが、建物の配置が容易に想像できた。市の中心部で、これだけ広大なエリアを遺跡として守っているのは驚きである。
2019.5 アグリッパの音楽堂 2019.5 アポロン・パトロオス神殿
2019.5 メトロン 2019.5 中央ストア
 古代アゴラの中でも、少し高い所にあるのがヘファイストス神殿。パルテノン神殿とほぼ同時期のもので、保存状態が素晴らしい。また、ここから見下ろす古代アゴラと奥のアクロポリスも絶景である。
2019.5 ヘファイストス神殿 2019.5 ヘファイストス神殿のレリーフ
 2019.5 古代アゴラとアクロポリス
 ローマン・アゴラ
 古代アゴラのすぐ隣にあるローマ時代のアゴラは、あまり広くないように見えるが、本当は周辺の市街地まで広がっていた。ここの見所は1世紀に建てられた風の神の塔で、日時計と水時計と風見を兼ねていたと言われる。このような八角形の建物は、他のローマ遺跡では見たことがない。
2019.5 ローマン・アゴラ 2019.5 風の神の塔
 ハドリアヌスの図書館
 ハドリアヌスの図書館は、ローマン・アゴラから2〜3分歩いた所にあるが、本来は隣接していた。残っているのは西側の壁のみで、遺跡に入場しなくてもよく見える。中に入ると見ることができるのは、図書館が破壊された後に建てられた教会の跡であった。
2019.5 ハドリアヌスの図書館 西側の壁

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