ギアナ高地はベネズエラ・ガイアナなど中米6ヶ国にまたがり、100以上のテプイ(テーブルマウンテン)がある。20億年前の地殻変動によって誕生したといわれ、テプイの頂上は1000m近い垂直の崖で下界から切り離されたため独自に進化し、動植物の75%が固有種である。まだ人跡未踏の地も多く、最後の秘境と言われるにふさわしいこのエリアは、もちろん世界遺産である。 |
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ギアナ高地(世界遺産) | |
ロライマ山(2810)、クケナン山(2600) | |
ロライマ山はコナン・ドイルの「ロスト・ワールド」の舞台にもなった、ギアナ高地を代表する山であり、東京23区に匹敵する頂上台地、1000m近い垂直の崖、すべてが桁外れである。私にとっても、このロライマの写真がギアナ高地に対する憧れの始まりであった。 ロライマへ徒歩で登るツアーも気になったが、今回は欲張らずヘリで遊覧するコースにした。朝早い方が晴れる確率が高いということで、抽選の結果朝一番の右側席を確保する。ヘリに乗るのは初めてで、後部席は3人乗るとかなり窮屈であった。 ブラジル国境に近いサンタエレナから飛び立つと、ロライマ・クケナンの2つの山が刻々と近づき、それだけでぞくぞくしてくる。そしてヘリはロライマとクケナンの間の谷に入って、旋回しながら崖の間近に迫り、また台地上を低空飛行で飛ぶなどしてスリル満点である。ロライマはほとんど逆光になったのが残念だが、迫力は十分で、あっという間にフィルム1本撮り終えてしまった。なお、上の写真は北側の船の舳先のようになっている所で、正面からの写真がよくポスターなどに使われているが、残念ながらヘリは正面に周りこまなかった。 ロライマ山上では岩の迷宮のあたりに20分ほど着陸した。広すぎて台地の全貌はわからなかったが、思ったより植物の種類も多く楽しめた。また、クケナンは着陸しなかったが、西側になるので朝日を浴びた岩肌が美しかった。乾期であっても霧や風で着陸できないことがあると聞いていたので心配したが、好天に恵まれ、最高のヘリ遊覧になった。 |
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2005.9 ヘリより ロライマ山北側 | |
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2005.9 ロライマ山上 岩の迷宮 | 2005.9 ヘリより ロライマ西斜面 |
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2005.9 ヘリより クケナン山東斜面 | 2005.9 ヘリより クケナンの北側 |
トラメンテプイ(2800)他 | ワダカイピエポ(2000)他 |
ルエパの空港に降り立って最初に迎えてくれたテプイが左の写真で、パンアメリカンハイウェイを南下すると次々に新たなテプイが見えてくる。なお、ロライマはクケナンの陰になるため、もう少し南に進んだところから端が僅かに見えるだけであった。ロライマ周辺には、ほかにも多数のテプイがあるが、垂直の崖と悪い気象条件のため、未探査のものが多いらしい。地図を見ると標高もアバウトである。 | |
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2005.9 カマの滝より 左からトラメンテプイ、カラウリンテプイ、イルテプイ |
2005.9 エル・オソより 尖った鉛筆のような山がワダカイピエポ、その後ろユルアニテプイ、右に少し見えているのはクケナン |
ソロロパンテプイ(2050) | プタリテプイ(2400) |
この2つのテプイは、ルエパの西側にあるカバナヤン周辺にあるが、地図やガイドにもほとんど載っていないマイナーな山である。 カバナヤンまでは未舗装の悪路を3時間走り、それも後半は道とも言えないような岩場や沢なので、無事たどり着けるか不安になった。周辺にはロッジ以外何も無く、ロッジも壁と屋根の間に大きな空間があるという不思議な構造になっている。ソロロパンテプイは目の前にあり、朝陽が美しかった。プタリテプイはカバナヤンからカルアイの滝に向かって川を3時間下っていくと、目の前にそびえている。規模は大きくないが、ギアナ高地で見たテーブルマウンテンのうち、最も形が整っていた。 |
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2005.9 カバナヤンより | 2005.9 カルアイ滝近くより |
アウヤンテプイ(2400) | |
アウヤンテプイは「悪魔の山」と言われ、頂上台地はギアナ高地最大である。エンジェルフォールはこのテプイから流れ出ているが、台地と崖が複雑に入りくんでおり、発見が遅れたこともうなずける。ロライマ山はグラン・サバナという高原にあるが、こちらは低地のジャングルからそそり立っているのも趣が異なる。 初めはカバックという村へのフライトが遊覧飛行を兼ねており、雲が多かったので全体は見渡せなかったが、雲の合間から切り立った崖や不思議な形の岩が突然現れて、迫力は十分であった。同じ日のカバックからカナイマへのフライトでは雲もほぼ無くなっていたが、南側の崖に沿って飛ぶだけなので少し物足りない。雰囲気が最も味わえるのは、チュルン川に削られた谷の部分のようである。 翌日は、カナイマからボートでチュルン川を遡ってエンジェルフォールに向かう行程で、アウヤンテプイの核心部である。早朝のマユパでは、アウヤンテプイがまるで悪魔の城塞のように見えた。その後一度霧で見えなくなったが、さらに近づくと川の両側に突然崖が現れ、夢のような景色に興奮する。そして帰りになるとテプイが雨雲に覆われてきたため、恐ろしげな雰囲気になり悪魔と呼ばれた意味がよくわかった。 ここまででも十分に堪能していたが、次の日には2回目の遊覧飛行があった。エンジェルフォールまでの往復だけだったので時間は僅かだが、雲も少なく、前夜のスコールのおかげでいく筋もの滝が出現して、ギアナ高地のイメージにぴったりの景色を見ることができた。 |
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2005.10 飛行機より | |
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2005.10 マユパより | 2005.10 チュルン川より |
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2005.10 ラトンシートより | 2005.10 飛行機より 雨の後に滝が現れた |
☆世界遺産「カナイマ国立公園」 1994年登録 |
ギアナ高地の山々