広島電気軌道として始まり、1917年に広島瓦斯と合併するが、戦時中に再び分離して広島電鉄となった。市内線だけで6路線19.0km、直通運転を行う宮島線を含めると35.1kmもあり、日本一の路面電車ネットワークである。
戦前
 単車
 広島電気軌道開業時の車両は、A形と呼ばれる50両の木造単車。火災や戦災などで数を減らし、1953年に消滅した。しかし記念すべき車両ということで、1984年に「大正形」と呼ばれる半鋼製の復元車が製作されている。また、1925年に登場したE形は最初の鋼製車で、1971年に一度消滅するが、1987年に156が被ばく電車として復帰した。江波車庫から出てくることはほとんどないようである。
2018.6 101号復元車:千田車庫
 形式 番号 両数  前歴 登場 消滅  備考
A形 1-50
→101-139
50 新造 1912 1953
B形 101-130 30 南海・大阪市 1921 1942
E形 151-160 10 新造 1925 1987年復籍
G形 201-210 10 新造 1930 1966
400形 401-430 30 B形 1938 1969
450形 451-465 15 A形 1940 1969
100形 101(復元) 1 新造 1984.4
 ボギー車
 市内線最初のボギー車は、大阪市と京王から譲り受けたものだが、1942年に新造の600形と650形が登場した。このうち650形は、5両全車が原爆で被災したもののすぐ復旧し、被ばく電車と呼ばれている。今も3両が現役、1両がヌマジ交通ミュージアムで保存されている。
2016.1 651号:広島駅付近 2017.8 653号:広島駅付近
2017.8 654号:ヌマジ交通ミュージアム
 形式 番号 両数  前歴 登場 消滅  備考
300形 301-305 5 大阪市 1937 1951
500形 501-510 10 京王23形 1938 1950
600形 601-603 3 新造 1942 1972
650形 651-655 5 新造 1942
700形 701-710 10 500形 1948 1980
戦後〜1970年代
 800・500・550形
 いずれも戦後間もない頃の新造車。500形と550形は冷房化されて長く使用されたが、2013年に消滅している。555号は三菱重工業に譲渡され、いまも解体されていないようである。
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
800形 801-810 10 新造 1951.3 1983.9
500形 501-505 5 新造 1954.1 2003.3
550形 551-555 5 新造 1955.11 2013.4
 750・900形
 いずれも大阪市から譲り受けたもので、合わせて36両あった。768号は、2016年にイベント車「TRAIN ROUGE」となり、ビアガーデン電車などに使用されている。
2020.3 750形:広島駅前 2017.8 768号:広島駅付近
2016.10 900形:横川駅前
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
750形 751-772 22 大阪市1600・1800形 1965.10-68.4
900形 901-914 14 大阪市2600形 1969.10
 570・1100・1150形
 いずれも神戸市から譲り受けたもので、合わせて29両。いずれも神戸市時代の形式を引き継いでいる。1100形はすでに消滅したが、570形と1150形が1両ずつ現役で残されている。
1986.7 1150形
   
2018.6 570形:千田車庫  2018.6 1150形:千田車庫 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
570形 571-587 17 神戸市570形 1971.11-73.11
1100形 1101-05 5 神戸市1100形 1971.11 2003.3
1150形 1151-57 7 神戸市1150形 1971.11
 600形
 こちらは西鉄北九州線から譲り受けたもので、1両のみ現役で残されている。しかし、稼働率は低いようで、まだお目にかかっていない。
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
600形 601-603 3 西鉄500形 1977.2
 1900形
 京都市電から譲り受けたもので、番号は振り変えられているが1900形という形式は京都市時代と同じ。冷房化されているが、塗装は京都市電のものを残す。広電時代だけでも30年以上、最初の製造からは60年以上たっているが、15両全車現役である。
 
2016.10 広電本社前付近  2018.6 十日市町
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
1900形 1901-15 15 京都市1900形 1979.3-81.3
 貨50形
 750形を電動無蓋貨車に改造したもので、花電車等に使用される。52は2013年に解体されたため、1両のみ残っている。
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
貨50形 51-52 2 750形 1979.10-80.4
1980年代以降
 700形
 市内線向けとしては27年ぶりの新造車。701-707は吊掛駆動だが、711-714は平行カルダン駆動に変更されている。また、705以降は前面行先方向幕が拡大されている。800形や3900形と同じ、広電標準塗装である。
2017.8 広島駅付近 2016.1 広島駅付近
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
700形 701-707 7 新造 1982.6-83.11
711-714 4 新造 1985.7
 800形
 700形に続く市内線向け新造車で、電機子チョッパ制御、平行カルダン駆動が採用された。801-802は前照灯・尾灯が縦に並んでいたが、803-804は横並びとなり、805以降は角形ライトと、仕様が変わってきている。
 
2018.6 十日市町 2017.8 広島駅付近 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
800形 801-802 2 新造 1983.12
803-804 2 新造 1987.6
805-812 8 新造 1990.9-92.4
813-814 2 新造 1997.2
 200形
 1988年にハノーバー市から寄贈されたもので、1950年製。冬季の日曜日を中心に保存運転が行われている。同型車はハノーバー市でも保存されている。
 
2017.11 横川駅前 2018.6 紙屋町 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
200形 238 1 ハノーバー市 1990.5
 1000形
 3連接車体の100%低床車として開発されたもので、基本設計は宮島線直通向けの5100形に似ている。これまでの広電車両と異なり、3車体1編成を1両と数える。第1編成は「PICCOLO」、第2編成は「PICCOLA」、第3編成以降はすべて「GREEN MOVER LEX」という愛称になっている。
 
2018.6 御幸橋 2017.11 横川駅前 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
1000形 1001-18 18 新造 2013.2-20.2
形式別車両数
種類 形式 1930 1943 1951 1962 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
EC 単車 100 100 78 54 1 1 1 1 1 1 1
  100形 1 1 1 1 1 1 1 1
300・500形 15
600形 3 3 3
650形 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3
700形 10 10 6
800形 10 10 5 1
500・550形 10 10 9 9 9 9 9 4 1
570形 17 17 15 8 4 3 3 1 1 1
600形 3 2 2 2 2 1 1 1 1
750・900形 34 31 26 22 22 15 15 15 13 5
1100・50形 12 12 12 12 12 5 1 1 1 1
1900形 14 15 15 15 15 15 15 15 15
700形 7 11 11 11 11 11 11 11
800形 2 6 12 14 14 14 14 14
200形 1 1 1 1 1 1
1000形 8 18
貨50形 2 2 2 2 2 2 2 1 1
年表

  1910.6.18 広島電気軌道設立
  1912.11.23 市内線開業
  1917.8.2  広島瓦斯と合併し広島瓦斯電軌となる
  1942.4.10 運輸部門が分離し広島電鉄となる

広島電鉄・市内線