その名のとおり日立製作所の系列だった路線で、大甕〜常北太田間は前身の常北電気鉄道による開業だが、鮎川〜大甕間は日立と水戸を結ぶという構想の一部として日立電鉄となってから開業している。親会社・日立製作所の合理化の一環として廃止になった。

  1928.12.27 常北電気鉄道大甕〜久慈(のちの久慈浜)間開業
  1929.7.3   久慈〜常北太田間延伸により全通
  1944.7.31  日立電鉄と改称
  1947.9.1   鮎川〜大甕間開業
  2005.4.1   全線廃止 
  1941 1949 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2003
 輸送人員(千人/日) 4.8 9.8 8.3 17.6 18.1 13.4 11.1 11.5 10.8 10.6 9.6 6.0 4.4
 輸送密度(千人/日) 2.3 3.3 2.6 7.7 6.8 4.6 3.4 3.4 3.1 3.1 2.9 1.9 1.4
 貨物輸送量(万t/年) 3.7 3.3 1.2 3.1 1.1 0.1
 営業係数 66 121 113 99 130 153 114 99 99 103 105 105 124
営業中
 乗車したのは1998年。印象はほとんど残っていない。
1998.6 常北太田駅 1998.6 鮎川駅
廃線跡
 鮎川-常北太田18.1km 
 廃止するとは思わずに何気なく乗ってしまったので、廃止から3年半後に再び訪れた。鮎川は何もない空き地で、どこにホームがあったかもよくわからない。河原子のあたりは道路より高い所に廃線跡があるが、登れる所が見つからなかった。 
2008.12 鮎川駅跡@ 2008.12 河原子駅跡A
 廃線跡の築堤沿いに進むと大沼駅がある。ここもホームはないが、道路に線路が残っていたので当時の雰囲気が感じられた。 
2008.12 河原子-大沼間B 2008.12 大沼駅跡C
 茂宮や大橋も、線路が一部残っていて雰囲気があり、けっこう楽しめた。しかしやはりホームや駅舎がどこにも残っていないのは物足りない。常陸岡田付近では陸橋から見下ろす眺めがよかったが、車を停められなかったので車窓見学だけである。 
2008.12 久慈浜-南高野間D 2008.12 茂宮駅跡E
2008.12 大橋駅跡F 2008.12 常北太田駅跡G
  
車両
 戦前〜1950年代
 デハ1形・4形は木造単車、デハ7形は木造ボギー車で、モハ9形が日立電鉄初の鋼製車であった。戦後は、もと相鉄のガソリンカーである異色のモハ13形や、国鉄払下げ車等を譲り受けている。中でもデワ101の前身は、山手線などで活躍した木造国電のナデ6110形。1948年に入線してモハ101形となり、後に荷物電車となった。1972年に国鉄100周年記念事業の一環で国鉄に返却され、ナデ6110形に復元されて鉄道博物館で展示されている。
 形式 番号  前歴 1929 1943 1948 1964 1972 1985 1995  備考
デハ1形 1-3 新造 3 3
デハ4形 4-6 新造 3 3
デハ7形
(デワ8形)
7-8 新造 2 2 1  
モハ9形 9-10 新造 2 2 2 2 2 2
モハ11形 11-12 新造 2 2 2 2
モハ13形 13-16 相鉄モハ1050形 4 4 4 4 3
モハ101形
(デワ101形)
101 国鉄デハ6293 1 1 1
モハ1300形
クハ5300形
1301-02
5301-02
国鉄モハ13形
国鉄クハ53形
4 4 4
2015.12 元デワ101:鉄道博物館 モハ13
 1960〜80年代
 車両は、1990年代に入っても寄せ集めの雑多な車両群であったが、2000・3000系にすべて置き換えられた。モハ1003が昭和の杜博物館で保存されているほか、クモハ352の車体が鉾田市内に残されている。
 形式 番号 両数  前歴 製造・譲受  消滅  備考
モハ1000形
サハ1500形
1001-09
1501
10 小田急1100系
相鉄1000系
1960.8-79.2 1993.4
クハ2500形
サハ2800形
2501-04
2801
5 相鉄2500系 1960.2-79.5 1992.7
モハ50形 51 1 弘南デニホ51 1962 1982.5
モハ2200形 2210、2230 2 弘南 1962 1979.5
クモハ100形
クハ100形
109-110 2 静岡クモハ100形 1979.12 1993.7
クモハ350形 351-352 2 静岡クモハ350形 1985.1 1994.4
 
2016.7 モハ1003:昭和の杜博物館 2017.9 クモハ352:鉾田市内 
 2000・3000系
 前身は営団銀座線の2000形。日立電鉄への入線にあたって改造され、営団3000系の台車や機器が流用された。2000系は片運、3000系は両運である。路線廃止後も1両が日立市内の模型店で保存されていたが、2016年に解体されたようである。
 形式 番号 両数  前歴 製造・譲受  消滅  備考
2000・3000系 2001-10
2211-17
3021-27
24 営団2000系 1991.10-97.5 2005.4
 
1998.6 2000・3000系:常北太田駅

日立電鉄