湊鉄道、茨城鉄道、水浜電車が戦時中に合併して、茨城交通の湊線・茨城線・水浜線となった。このうち水浜線・茨城線は1971年までに廃止され、湊線だけが存続する。しかし茨城交通は1990年代以降急速に経営が悪化し、民事再生手続きが行われることになった。湊線は廃止の方針が打ち出されたが、市が財政支援をすることになり、2008年から第三セクターのひたちなか海浜鉄道に変わっている。
2024.10 金上-中根間
戦前
 旧湊鉄道
 湊線開業時の車両は、Koppel製の2両のCタンクと7両の客車。1929年頃には国鉄のBタンク600形を譲り受けてCタンクを置き換えた。SLのうち1両は1966年まで残っていた。また、1936年からは、11m級の小型のガソリンカー、キハ1形3両を導入している。これらの車両は、1965年から70年の間に消滅したと思われる。
種類 番号 両数  前歴 登場 消滅 備考
SL 1-2 2 新造 1913 1930
3-6 4 国鉄600形 1927 1966
PC ハ2551-57 7 国鉄ハ2551-57
ニブ2、ハ11-13 4 新造
ナハニフ21-22 2 新造
DC キハ1-3 3 新造 1936 1968?
戦後(茨城交通・湊線)
 払下げ車等
 国鉄42000形の払い下げを受けたケハ300形と、国鉄キハ04形の払い下げを受けたキハ45形があった。なお、キハ46は東野鉄道で20年ほど使用されていたため入線時期が遅い。
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
ケハ300形 301-302 2 国鉄キハ42000形 1948 1971 茨城線・湊線
キハ45形 45 1 国鉄キハ045形 1958.5 1976 茨城線→湊線
46 1 東野キハ502形 1969 1980.10 湊線
 ケハ400形・600形
 ケハ400形は、湊線初の新造気動車で、湘南型20m級の立派なものである。401は茨城線、402は湊線に分かれて配置されたが、401も茨城線廃止後に湊線に転属した。続いて登場したケハ601は、日本初のステンレス製気動車。1992年に廃車となった後も車体が那珂湊駅の片隅に置かれ、ギャラリーとして使用されている。
2016.10 ケハ601:那珂湊駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
ケハ400形 401-402 2 新造 1955.6-57.7 1980.10 茨城線・湊線
ケハ600形 601 1 新造 1960.8 1992.5 湊線
 ケキ101-104形
 ケキ101はL型、ケキ102・103は国鉄DD13形に似た凸型のディーゼル機関車で、ケキ102は当初茨城線に配置されていた。1984年の貨物廃止後もケキ102・ケキ103は残っていたが、ほとんど使用されることはなく2005年までにすべて消滅している。ケキ102は伏木ヤード跡にあり、今後の動向が気がかりである。
2017.7 ケキ102:伏木ヤード跡
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
ケキ101 101 1 新造 1953.3 1980.10 湊線
ケキ102 102 1 新造 1957.9 2005.5 茨城線→湊線
ケキ103 103   1 新造 1958.7 1990.3 湊線
ケキ104 104 1 倉敷市DC502 1966.6 1971 湊線
 キハ1000形・1100形
 どちらも廃止した留萌鉄道から譲り受けたもので、キハ1000形には特徴的なヘソライトが残っていた。キハ1103は廃車後もしばらく保存されていたが、撤去されてしまった。
キハ1000形
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
キハ1000形 1001-02 2 留萌キハ1000形 1970.5 1989.3
キハ1100形 1103 1 留萌キハ1100形 1970.5 1991.3
 キハ2000形・22形
 留萌鉄道と羽幌炭鉱鉄道から譲り受けたもので、どちらも国鉄キハ22形とほぼ同型。もとの車番のまま入線したので、番号をみると別形式のように見える。茨城交通色のほか、羽幌炭鉱鉄道時代のエンジ色や国鉄急行色、スカ色などさまざまな塗装で活躍した。2015年にすべて廃車となり、キハ2004は平成筑豊鉄道へ譲渡、キハ223は浦和美園駅から徒歩10分ほどの所で保存されている。
 
2008.12 キハ222:阿字ヶ浦駅
 
2016.6 キハ223:さいたま市ほしあい眼科 2008.12 キハ223:那珂湊駅(右の車両)
 
2018.9 もとキハ2004:平成筑豊鉄道金田駅  2021.1 キハ2005:阿字ヶ浦駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
キハ2000形 2004-05 2 留萌キハ2000形 1970.5 2015.12
キハ22形 221-223 3 羽幌炭鉱キハ22形 1971.4 2015.5
 キハ11形
 国鉄キハ11形を譲り受けたもので、全国で最後の営業用キハ11形となった。キハ111は映画「鉄道員」の撮影に使用され、キハ112は鉄道博物館、キハ113は佐久間レールパークを経てリニア・鉄道館で保存されている。
2015.12 元キハ112:鉄道博物館 2015.11 元キハ113:リニア・鉄道館
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
キハ11形 111-113 3 国鉄キハ11形 1980.8 2005.1
 キハ20形
 鹿島臨海鉄道から4両、水島臨海鉄道から1両を譲り受けたもので、どちらも元国鉄キハ20形。鹿島臨海鉄道からのものは、ライトが角形に改造されているため印象が変わっている。キハ205のみが現存している。
 
2008.12 キハ201:阿字ヶ浦駅 2021.1 キハ205:那珂湊駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
キハ20形 201-205 5 鹿島臨海キハ2000形
水島臨海キハ210形
1990.2-96.1
 キハ3710形・37100形
 ケハ601以来の35年ぶりの新造車で、新潟鉄工所製の18.5m級NDC。キハ37100形は、ブレーキの二重化などの仕様変更が行われているがほぼ同型である。
2016.10 キハ3710形:那珂湊駅
 
2008.12 キハ37100形:那珂湊駅 2016.10 キハ37100形:那珂湊駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
キハ3710形 01-02 2 新造 1995.11-98.7
キハ37100形 03 1 新造 2002.12
ひたちなか海浜鉄道設立後
 ミキ300形
 三木鉄道の廃止で余剰となった車両を譲り受けたもの。三木鉄道時代の塗装のままで入線している。
 
2016.10 那珂湊駅 2021.1 磯崎~阿字ヶ浦間 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
ミキ300形 103 1 三木鉄道ミキ300形 2009.6
 キハ11形(新)
 キハ22形等を置き換えるために、JR東海等のキハ11形を譲り受けたもの。JRとなった後の新形式で、国鉄キハ11形とは全くの別物である。全部で5両譲り受けたが、そのうち2両は部品取り用となっている。

  2015.12.30 営業運転開始
2016.10 那珂湊駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
キハ11形 5-7 3 JRキハ11形
東海交通事業キハ11形
2015.12
形式別車両数
種類 形式 1925 1940 1964 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
DC 1形 3 2
300形 1
45形 1 2
400形 1 2
600形 1 1 1 1 1
1000・1100形 3 3 3 1
2000・22形 5 5 5 5 5 4 4 3 3
11形 3 3 3 3 1
20形 1 4 4 3 1 1 1
3710・37100形 2 3 3 3 3
300形 1 1 1
11形 3
SL 3-6 2 4 1  
DL ケキ100形 2 3 2 2 1 1 1 1
PC 7 13
年表

  1907.11.18 湊鉄道設立
  1913.12.25 勝田~那珂湊間8.2km開業
  1928.7.17  勝田~阿字ヶ浦間14.5km全通(現在は14.3km)
  1944.8.1   茨城鉄道、水浜電車などと合併し茨城交通となる
  1966.6.1   水浜線廃止
  1971.2.11  茨城線廃止
  2008.4.1   茨城交通の鉄道部門を新設分割し、ひたちなか海浜鉄道となる

ひたちなか海浜鉄道