1957年に登場した、日本初の大断面の一般型気動車。車体は全長20,000mmの2扉で、準張殻構造。側窓は、0番台がバス窓、200番台以降は二段窓。機器も0番台と200番台以降で大きく異なり、初期車の機関はキハ10系と同じDMH17B(出力160ps)、台車もキハ10系同等の防振ゴムブロックDT19CとTR49A。200番台以降では、機関がDMH17C(出力180ps)、台車は101系電車のコイルばね・ペデスタル式のDT21を気動車向けに改良したDT22A・TR51Aとなった。制動はDA1A。大きく分けて、初期のキハ20形、北海道向けに出入口を車端部に移したキハ22形、2エンジンを搭載したキハ52形があり、キハ52形は全長が21,300mmに拡大されている。 
2007.11 大糸線小滝-根知間
国鉄
 キハ20形
 1957年に登場した初期のグループで、両運転台のキハ20形、片運転台のキハ25形、北海道向けのキハ21形、それに郵便・荷物合造のキハユニ25.・26形が製造され、全国各地で活躍した。
 当初はスカ色で、その後一般色と呼ばれる朱色とクリームのツートンになったが、1978年頃からほとんどが朱色一色の首都圏色になっている。JR東日本、JR西日本、JR四国、JR九州に引継がれた。
1987.2 二俣線遠江二俣駅 1984頃 八高線
保存車はキハ20形6両とキハユニ25形1両。ほとんどは国鉄時代に引退したものである。

○キハ20-247
 最後は真岡線で活躍し、真岡線の最終列車となったもの。廃車後も真岡駅に留置され、真岡のSLキューロク館で保存されることになった。2022年に、エンジンが再始動されている。
2023.10 キハ20-247:SLキューロク館
○キハ20-441
 最後は大隅線で使用され、1987年に廃車となったもの。大隅線鹿屋駅跡に整備された鹿屋鉄道記念館に保存されている。

○キハ20-452
 同じく大隅線の吾平駅跡に保存されている。塗装は現役時代に存在しない変な色になっている。
2008.10 キハ20-441:大隅線鹿屋駅跡 2008.10 キハ20-452:大隅線吾平駅跡
○キハ20-467
 足尾線などで使用され、1990年に廃車となったもの。碓氷峠鉄道文化むらで保存されている。現役の最後は首都圏色だったと思うが、今は一般色になっている。

○キハ20-443
 登場から引退まで、二俣線で運用されたもの。天竜二俣駅の線路脇で、ナハネ20-347とともに保存されている。
 
2016.5 キハ20-467:碓氷峠鉄道文化むら 2021.9 キハ20-443:天竜二俣駅
○キハユニ25-1
 キハ20系の北海道向け郵便荷物合造車で、7両のみ製造された。現存する唯一の「キハユニ」である。
 
2017.9 キハユニ25-1:小樽市総合博物館 
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ20 0番台 103 新製 1957.6-58.5 1990.3 両運・バス窓
  200番台 284 1958.9-62.11 1991.3 両運・二段窓
  500番台 22 1964.1-65.9 1993.12 両運・二段窓
・蛍光灯
600番台 3 0・200番台 1967-68 1985.11 簡易郵荷化
キハ21 0番台 84 新製 1957.6-58.2 1984.1 耐寒耐雪仕様
100番台 3 0番台 1968.6 1981.6 ロングシート化
キハ25 0番台 75 新製 1957.7-58.5 1984.9 片運・バス窓
200番台 53 1958.11-62.3 1986.12 片運・二段窓
300番台 14 1963.5 1987.2 片運・二段窓
・蛍光灯
600番台 15 0・200番台 1967-73 1985.2 簡易郵荷化
キハユニ25 7 新製 1958.5-62.7 1986.3 耐寒耐雪
キハユニ26 59 1958.12-65.3 1987.2 暖地
キユニ21 2 キハ21 1969.9-10 1986.3
 キハ22形
 北海道向けとしてキハ21形が製造されていたが、耐寒装備が不十分であったため、1958年に改良型として登場したのがキハ22形である。出入口を車端部に移し、窓も小型になっている。313両が製造された。JR北海道とJR東日本に引き継がれている。
1987.3 石北線上川駅
譲渡車を除くと保存車は12両で、すべて北海道にある。

○キハ22-52
 最後は旭川に所属し、1987年に廃車となったもの。三笠鉄道記念館で屋外展示されている。

○キハ22-56
 手宮駅の跡地に整備された小樽市総合博物館で屋外展示されている。三笠の保存車は首都圏色だが、こちらは一般色である。

○キハ22-69
 北見相生駅跡に整備された、道の駅あいおいで保存されている。線路や除雪車なども残っていて、現役時代のような雰囲気である。
 2016.7 キハ22-52:三笠鉄道記念館 2017.9 キハ22-56:小樽市総合博物館
2009.10 キハ22-69:相生線北見相生駅跡
○キハ22-168
 1989年に廃車となったもので、標津線川北駅跡で保存されている。首都圏色ではあるが、だいぶ色褪せている。

○キハ22-202・251
 どちらも1989年に廃車となったもの。名寄線興部駅跡に整備された道の駅おこっぺで、簡易宿泊所として使用されている。現役時代には存在しない変な色である。
 
2011.7 キハ22-168:標津線川北駅跡 2015.9 キハ22-202・251:名寄線興部駅跡
○キハ22-208
 1989年に廃車となったもので、天北線中頓別駅跡で保存されている。これも現役時代には存在しない変な色である。

○キハ22-237
 1989年に廃車となったもので、名寄線下川駅跡で保存されている。鹿児島交通の塗装に似ているが、もちろん関係ないだろう。
 
2015.9 キハ22-208:天北線中頓別駅跡 2015.9 キハ22-237:名寄線下川駅跡
○キハ22-221・238
 どちらも1987年に廃車となったもので、広尾線幸福駅跡に整備された交通公園で保存されている。線路やホームも残されているため、まるで現役時代のままのような雰囲気である。
 
2015.9 キハ22-221:広尾線幸福駅跡 2015.9 キハ22-238:広尾線幸福駅跡
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ22 0番台 170 新製 1958.10-63.2 1991.8 白熱灯
200番台 143 1963.11-66.7 1995.9 蛍光灯
600番台 5 200番台 1980 1987.3 簡易郵荷車化
700番台 6 200番台 1990.1-8 1995.9 ワンマン化
 キハ52形
  キハ52形は、勾配区間向けに2エンジン搭載としたもので、1958年に登場し112両が製造された。うち73両はJR東日本・西日本・四国・九州に引き継がれている。
1986.3 小海線小淵沢駅
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ52 0番台 56 新製 1958.12-62.2 1993.11 垂直エンジン
100番台 56 1962.11-66.11 2011.8 横型エンジン
600番台 5 0・100番台 1967-80 1994.10 簡易郵荷車化
JR北海道
 JR発足時、キハ22形のみ101両を引継ぐ。道東・道北からは1990年までに撤退するが、苫小牧と函館の配置車は1995年まで残っていた。
 
 
1988.3 釧網線北浜駅 1988.3 キハ22:湧別駅
 1988.3 池田駅
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ22 0番台 101 国鉄 1987.4 1995.9
JR東日本
 盛岡支社  
 キハ22形は津軽線・大湊線など、キハ52形は山田線・岩泉線・花輪線などに多かった。キハ52形は2000年代後半になっても17両稼働していたが、水郡線から転入したキハ110系に置き換えられて2007年11月に営業運転を終了。全車ミャンマーへ譲渡されている。

  うとう色(1985.2〜) お買い物列車「うとう号」向けの塗装(キハ22-280、295、343)
  盛岡色(1989頃〜) 盛岡客車区の標準塗装
 
1988.3 キハ22形盛岡色:津軽線三厩駅  1990.8 キハ22形うとう色:青森駅
1990.3 キハ52形盛岡色:山田線区界駅
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ22 100番台 19 国鉄 1987.4 1992.10
キハ52 100番台 19 2007.12  
 秋田支社  
 キハ22形を14両引継いだが、このうち9両は秋田内陸縦貫鉄道への貸出車だった。1992年までに消滅した。
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ22 100番台 14 国鉄 1987.4 1992.7
 東北地域本社  
 キハ22形を21両引継いだが、このうち5両は阿武隈急行への貸出車だった。1992年までに消滅した。
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ22 100番台 21 国鉄 1987.4 1992.5
 新潟支社  
 JR発足時には配置されていなかったが、飯山線運用車が1998年に転入。おもに米坂線で運用され、JR東日本では最後のキハ52形営業車となった。さよなら運転は2009年12月で、JR西日本より1年早かった。なお、2011年まで保留車として残っていたため、車籍はJR西日本の方が先に消滅している。 
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ52 100番台 10 長野 1998.3 2011.8
 高崎支社  
 JR発足時、キハ20形は足尾線の主力であった。足尾線が三セクに転換したことにより消滅している。
1986.4 キハ20形:足尾線間藤駅
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ20 0番台 6 国鉄 1987.4 1990.5
 水戸支社  
 JR発足時、キハ20形は真岡線の主力であった。真岡線が三セクに転換したことにより消滅している。
1986.4 キハ20系:茂木駅
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ20 0番台 5 国鉄 1987.4 1988.6
 長野支社  
 国鉄から、キハ52形を小海線に7両、飯山線に4両引継ぎ、1992年には飯山線に10両集結した。1998年に全車新津へ転属している。

  飯山色(1989年頃〜)
 
 1988.3 飯山色:飯山線森宮野原駅(左の車両)
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ52 0番台等 11 国鉄 1987.4 1998.3 →新津
JR西日本
 JR発足時、キハ20形は姫路に5両、広島に3両配置され、加古川線、芸備線等で運用された。芸備線運用車は1993年まで残り、JR全体で最後のキハ20形となった。
 キハ52形は、JR発足時には富山4両、敦賀5両、米子4両の配置。最後は大糸線で運用され、これもJR全体で最後のキハ52形となった。2010年3月に定期運用終了。2010年8月にさよなら運転を行っている。なお、最後の3両は、1両がいすみ鉄道に譲渡され、津山まなびの鉄道館と糸魚川駅で1両ずつ保存されている。 
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ20 200番台 3 国鉄 1987.4 1993.12
500番台 5 1989.3
キハ52 0番台等 13 2010.3
JR四国
 JR発足時、キハ20形20両とキハ52形3両を引継ぐ。徳島、松山、高知に分かれて配置されていたが、1991年にはすべて消滅した。
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ20 0番台等 20 国鉄 1987.4 1991.3
キハ52 0番台等 3 1990.3
JR九州
 JR発足時、キハ20形14両とキハ52形27両を引継ぐ。キハ20形は高千穂線などで運用され、1990年までに消滅。キハ52形は、鹿児島地区で1998年頃まで運用されていたようである。最後は保留車が2両残り、2002年に消滅した。
 
1989.3 キハ52形:真幸駅 1989.3 キハ20形:高千穂駅 
 形式 番台 両数  前歴  登場  消滅  備考
キハ20 0番台等 14 国鉄 1987.4 1990.3
キハ52 0番台等 27 2002.3
譲渡車
○島原鉄道
 1985年と87年に、合わせてキハ20形13両が譲渡された。1997年には、水島臨海鉄道に譲渡されていたもののうち2両も加わっている。2008年3月に運用を終えた。

○水島鉄道
 1986年から91年にかけて、キハ20形12両が譲渡された。2014年5月に定期運用を終了、1両のみイベント用に残されている。

○鹿島臨海鉄道
 大洗鹿島線開業時にキハ20形4両が譲渡された。その後、全車が茨城交通に移っている。
1993.8 島原鉄道・標準色
○下北交通
 1985年の三セク転換時にキハ22形3両が譲渡され、2001年の路線廃止まで活躍した。3両とも大畑駅で動態保存されており、イベント等で走行することがある。

○弘南鉄道
 こちらも1984年の黒石線の三セク転換時にキハ22形3両が譲渡されたもの。1995年に運用を終えている。

○津軽鉄道
 1989年にキハ22形3両が譲渡された。2007年までに廃車となっている。
1989.3 下北交通 大畑駅 1990.8 弘南鉄道 黒石駅
○南阿蘇鉄道
 1987年にキハ52形1両が譲渡された。あまり使用されず、1993年に廃車となっている。

○いすみ鉄道
 2010年にキハ52形1両が譲渡された。国鉄首都圏色となって現役で活躍している。
2017.4 いすみ鉄道:国吉駅
車両配置表
キハ20形
 管理局 1962 1964 1968 1972 1975 1977 1980 1982 1985 1987 1990
釧路 3 3 3 5 5 5 4
旭川 18 19 19 4 4 4 4 2 1
札幌 43 43 43 49 49 49 44 3 2
函館 15 15 15 26 26 26 25 3
盛岡 32 32 38 30 37 39 37 32 17
秋田 23 13 13 18 18 17 16 7
仙台 2 3 6 9 11 12 15 9 3
新潟 14 14 13 12 12 12 12
高崎 9 9 10 16 16 17 17 14 8 6 6
水戸 7 29 37 34 34 35 42 43 23 5
千葉 33 5 3 7 3
東京北 5 1
東京西 5 8 6 2 2 3 3 1
東京南 9 7
長野 1 14 13 10 9 16 7 1
静岡 2 4 7 7 7 7 20 21 20
名古屋 33 23 22 33 41 38 17 5
金沢 65 62 51 37 31 28 24 17 6
大阪 43 40 40 41 41 41 33 16 14 5
天王寺 18 19 17 19 8 8 5 1
福知山 14 18 18 19 18 18 16 3
米子 12 14 15 14 15 16 15 5
岡山 30 23 28 25 27 27 25 22 3
広島 36 56 60 63 65 66 71 33 15 3 2
四国 91 102 102 101 104 105 107 76 66 20 16
門司 43 64 46 49 50 63 54 35 3
大分 3 9 12 11 14 14 14 14 11 11
熊本 8 16 15 15 15 15 17 13 6
鹿児島 18 22 45 46 47 48 48 35 23 3
キハ22形
管理局 1962 1964 1968 1972 1975 1977 1980 1985 1987 1990 1995
釧路 10 11 42 47 47 50 50 48 19
旭川 49 56 92 107 108 103 96 73 39
札幌 56 76 94 80 79 81 85 41 17 23 6
函館 7 8 15 9 9 9 12 12 26 20 4
盛岡 12 29 40 41 41 41 40 27 19 14
秋田 6 19 28 28 28 26 26 22 14 10
仙台 1 2 1 1 1 21 21
キハ52形
管理局 1962 1964 1968 1972 1975 1980 1985 1987 1990 1995 2000 2005 2010
盛岡 17 20 32 32 34 33 27 19 19 18 17 17
秋田 2
仙台 5 5 4 7
新潟 2 2 4 4 4 2 7 7 7
長野 6 9 15 15 14 11 11 11 11 10
名古屋 7 6 6 6 6
金沢 8 9 8 9 9 9 9 9 9 7 5 3 2
天王寺 3 1 1 1 1
米子 5 5 5 5 4 4 4 1
四国 12 10 12 12 12 12 12 3
門司 3 3 3 3 3 3 1 5 2 2
大分 7 4
熊本 3 5 6 6 6 12 6 6 3
鹿児島 8 8 14 13 13 13 15 13 7 2

キハ20系