異民族の侵入が相次いだインドにおいて、320年に成立したグプタ朝が久々のインド統一王朝を実現する。しかし6世紀には滅亡し、7世紀に一時的に再統一を果たしたヴァルダナ朝を最後に、ラージプート時代と呼ばれる長い群雄割拠の時代に突入していった。有名なものとしては、北西部のプラティハーラ朝、中部のチャンデーラ朝、東部のパーラ朝、デカン高原のチャールキヤ朝やラーシュトラクータ朝などがある。ラージプート時代は、1192年に連合軍がムスリム勢力に敗れて終わりを迎えた。

 319〜550年頃 グプタ朝(バータリプトラ)
 543〜755年頃 チャールキヤ朝(バーダミ)
 606〜647年頃 ヴァルダナ朝(カナウジ)
 750〜1150年頃 パーラ朝(ベンガル地方)
 753〜973年頃 ラーシュトラクータ朝(マールケード)
 778〜1018年頃 プラティハーラ朝(カナウジ)
 900〜1309年頃 チャンデーラ朝(カジュラホ)
 1000〜1303年頃 パラマーラ朝(ダーラ)

マハーラーシュトラ州
 エレファンタ洞窟(世界遺産)
 インド中部最大の街であるボンベイ沖の島にあり、6世紀から8世紀にかけて建てられたヒンドゥー教寺院が残る。インドの旅初日、ボンベイから50分ほど船に乗って到着した。エローラなどに比べるとはるかに規模が小さいが、インド最初の観光地なので目新しく、船で行くというロケーションも楽しかった。
 
1999.4   1999.4 踊るシヴァ神   
 ☆世界遺産「エレファンタ石窟群」  1987年登録
 エローラ石窟寺院(世界遺産) 
 4世紀以後、長年にわたって掘られた石窟寺院。第12窟までは仏教寺院、第13〜29窟はヒンドゥー教寺院、第30窟以降はジャイナ教寺院と、異なる宗教が同じ場所に石窟寺院をつくり続けたという不思議な所である。アウランガバードから40分ほどで、9時に到着。
 第1窟から主なものを順に見ていったが、教会のようなもの、3階建のビルのようなものなど、構造はバラエティに富んでいた。ほとんどは僧院にあたるヴィハーラ窟だが、第10窟は仏塔を祀るチャイティヤ窟らしい。第12窟まで来ると規模がだいぶ大きくなり、カイラーサナータ寺院に雰囲気が近づいてきた。
1999.4 第3窟? 1999.4 第10窟
1999.4 第12窟 1999.4 第12窟
 エローラで最も有名な16窟カイラーサナータ寺院は、8〜10世紀にこの地を治めたラーシュトラクータ朝によって建てられた。建物自体を岩から彫り出すという、驚くべき寺院である。通路が狭くてなかなかいい写真が撮れないが、想像以上に大きく迫力あるところだった。他の石窟とは別格の素晴らしさである。
 
1999.4 第16窟 カイラーサナータ寺院
 第16窟を見た後は、第17窟以降を省略してバスで少し離れたジャイナ窟へ移動する。規模はまた小さくなったが、彫刻がよく残っていて天井の蓮の花が印象的だった。ここまでで11時45分。たっぷり半日の観光だった。
1999.4 32窟 1999.4 32窟
 ☆世界遺産「エローラ石窟群」  1983年登録
 アジャンター石窟寺院(世界遺産) 
 紀元前2世紀頃から掘られていた石窟寺院。7世紀頃なぜか放棄されて、19世紀まで森の中に埋もれていた。彫刻のエローラに対しアジャンターは壁画の美しさで知られている。
 こちらはアウランガバードから2時間強で、遅めの出発だったので11時20分到着。。この日は気温46度の猛烈な暑さで、石窟に入ると見学よりもまず涼しさでほっとした。第1・第2窟の壁画がとくに素晴らしいが、保護のためか真っ暗で、懐中電灯で照らしたところしか見えないのでイメージがつかみにくかった。
1999.5 第1窟 1999.5 第2窟
 第2窟の後も、川沿いに一列に並ぶ石窟を順番に見ていったが、地味な印象で正直なところあまり印象に残っていない。途中にあった大きな象の彫刻の方がおもしろかった。1時間ほどで観光を終えた。
1999.5 石窟寺院全景 1999.5 象の彫刻
 
  1999.5 第17窟  1999.5 第17窟
 ☆世界遺産「アジャンター石窟群」  1983年登録
マッディヤ・プラデーシュ州
 カジュラホ寺院群(世界遺産)
 ラージプート時代の王朝の1つ、チャンデーラ朝が9世紀から14世紀にかけて建設した寺院群。アジャンター見学の後、夜行列車でジャンシーまで移動して、さらに4時間近くバスに揺られて到着した。夜行列車の予約がちゃんと入っていなかったのか、2人で1つのベッドだったのであまり寝られなかったのと、連日の暑さでかなりバテ気味である。
 遺跡は西群、東群、南群などに分かれているが、まずメインの西群を観光。主な寺院だけでも9つあり、ほとんどが10〜11世紀に建てられたものである。どれも形は似ていて、後から写真で見ると見分けがつかなくなってしまった。
 1999.5 ラクシュマナ寺院 1999.5 ヴァラーハ寺院
 ここの一番の見所は、壁面にこれでもかと彫られた寄り添う男女や動物の彫刻である。気温45度の中、寺院の壁を埋め尽くす彫刻を見ていると、息苦しくなるような遺跡だった。インパクトという点ではインドの旅で一番である。
 1999.5 寺院壁面の彫刻 1999.5 寺院壁面の彫刻
 1999.5 ガネーシャの彫刻 1999.5 カンダリア・マハディーヴァ寺院
 西群を1時間半ほど見たあと、東群に移動した。西群のヒンドゥー教に対しこちらはジャイナ教である。とはいっても寺院の形も壁面の彫刻もそっくりで、見分け方はよくわからなかった。
1999.5 パルスヴァナータ寺院
 ☆世界遺産「カジュラーホの建造物群」  1986年登録

グプタ朝、ラージプート時代