1915年の高田本山〜白子間開業から始まる伊勢鉄道は、桑名・四日市・津・松阪を結ぶ三重県の基幹鉄道となっていく。しかし大阪方から路線を伸ばしてきた参宮急行に敵わず、1936年に合併された。そして桑名〜江戸橋間は参宮急行名古屋線に組み入れられるが、逆に参宮急行の路線（現在の近鉄山田線）と重複する新松阪〜大神宮前間は廃止された。残る江戸橋〜新松阪間は、戦後まで細々と生き残るが、1959年の名古屋線改軌から取り残され、間もなく廃止されている。 　　1917.1.1　　伊勢鉄道高田本山〜津市（のちの部田）間延伸 　　1924.4.3　　旧津市〜津市（のちの津新地）間延伸 　　1926.9.11　伊勢電気鉄道と改称 　　1930.4.1　　津新地〜新松阪間延伸 　　1930.12.25　新松阪〜大神宮前間延伸（桑名〜大神宮前間全通） 　　1936.9.15　 合併により参宮急行伊勢線となる 　　1938.12.6　 桑名〜江戸橋間が名古屋線に編入、伊勢線は江戸橋〜大神宮前間に短縮される 　　1941.3.15　 合併により関西急行鉄道となる 　　1942.8.11　 新松阪〜大神宮前間廃止 　　1944.3.13　 合併により近鉄伊勢線となる 　　1959.11.27　名古屋線が標準軌に改軌 　　1961.1.22　 伊勢線全線（江戸橋〜新松阪間）廃止
廃線跡
江戸橋〜大神宮前
津駅の北側で、近鉄名古屋線からゆるやかに離れていく道路が廃線跡。津駅のすぐそばに部田という駅があり、廃止後50年もホームが残っていたようだが、ついに再開発で取り壊された。まだ空地だが、数年後にはビルが建っているだろう。
2015.2　江戸橋〜部田間�@ 近鉄名古屋線との分岐点	2015.2　部田駅跡�@
安濃川の北岸には、橋台がはっきり残っている。川の南側が津新地駅で、ここから廃線跡は2車線の立派な道路になっている。
2015.2　部田〜津新地間�A 安濃川橋梁の橋台	2015.2　津新地駅跡�B
岩田川橋梁は、伊勢電の橋脚がそのまま道路橋に転用されている。その先も廃線跡の道路は続き、郊外型の店舗が並んでいて交通量がかなり多かった。
2015.2　津海岸〜阿漕浦間�C 岩田川橋梁	2015.2　米津〜雲出間�D
香良洲を過ぎた所で道路が途切れ、雲出川の北側に小さな橋台や築堤が残っている。雲出川橋梁は、橋脚が水道橋に転用されているが、木が邪魔して橋脚は少ししか見えなかった。この先しばらく廃線跡がわからなくなるが、三渡川の南の米ノ庄あたりから再び道路になっている。
2015.2　香良洲〜小野江間�E	2015.2　香良洲〜小野江間�E 雲出川橋梁の手前の築堤
2015.2　香良洲〜小野江間�E 雲出川橋梁	2015.2　米ノ庄駅付近�F
松阪の市街地も、廃線跡は立派な道路として続く。古い写真をみると新松阪駅の周辺はのどかな雰囲気のようだが、今ではビルが立ち並んでいて面影が全くない。新松阪から先は近鉄に合併される前に廃止となった区間だが、ここも櫛田川と宮川の前後を除くと立派な道路になっていて鉄道の雰囲気が感じられる所は無かった。ちなみに、櫛田川と宮川の間の廃線跡は、参宮道路という日本初の有料道路になり、その後無料開放されたものである。
2015.2　新松阪駅付近�G	2015.2　南斎宮駅付近�H