旧約聖書によると、紀元前19世紀頃、アブラハムの一族がメソポタミアからカナン(今のイスラエル)に移住し、ユダヤ人の祖となったと言われる。そして、ヨセフの時代にはさらにエジプトに移住するが、紀元前1250年頃、モーセの出エジプトによって再び約束の地カナンに戻り、ヨシュアがカナンを統一した。これが古代イスラエルの原形である。旧約聖書なので伝説なのかとも思うが、概ね史実であると考えられているようである。ダビデとソロモンの時代に全盛期を迎え、エルサレムに神殿が建設されるが、ソロモンの死後は南北に分裂した。そして、北はアッシリア、南は新バビロニアに滅ぼされ、古代イスラエルの幕が閉じる。

 BC1250頃  モーセ、出エジプト
 BC1200頃  ヨシュア、カナン統一
 BC1020頃  サウル、初代イスラエル王となる
 BC1000頃  ダビデ、第2代イスラエル王となりエルサレムを首都とする
 BC965    ソロモン王、エルサレムに神殿建設
 BC928    イスラエル王国とユダ王国に分裂
 BC722    イスラエル王国、アッシリアにより滅亡
 BC586    ユダ王国、新バビロニアにより滅亡、バビロン捕囚

パレスチナ
 エリコ  
 エリコは、紀元前7800年頃には城壁が築かれ、世界最古の都市の1つと言われる。紀元前1200年頃、カナンの統一に着手したヨシュアがヨルダン川を越えて最初に攻略したのもこのエリコである。テル・アッスルターンと呼ばれる丘から、紀元前7800年頃といわれる円形塔や紀元前3000年頃の城壁などが見つかっている。
 現在のエリコはパレスチナ自治区にあるため、行くのには厳しい検問があるのかと思ったが、観光バスはほとんどノーチェック。あまりの緊張感の無さに拍子抜けである。テル・アッスルターンは、遺跡とは言っても形がわかるものはほとんど無く、さすがに面白くない。遺跡の上を通る世界最低所のゴンドラの方が珍しかった。
2014.4 BC7800年頃の円形塔 2014.4 テル・アッスルターンとロープウェイ
イスラエル
 メギド(世界遺産)  
 イスラエルの北部、エズレル平野にあるメギドも、イスラエルに国が成立する以前からの都市である。ハル(山)・メギドという名は、旧約聖書に登場する世界最終戦争、ハルマゲドンの語源にもなっている。いろいろな時代の遺構が混在しているのでわかりにくいが、遺跡の規模はそれなりに大きかった。ここの見所の1つは地下水道で、籠城のために城壁の外から水をひいたトンネルを歩くことができた。
2014.4 円型祭壇の跡 2014.4 地下水道トンネル
 ☆世界遺産「聖書のテル群、メギド、ハツォール、ベエルシェバ」 2005年登録
 エルサレム(世界遺産)  
 紀元前1000年頃、ダビデはエルサレムを都とした。その頃の街は現在の旧市街より南側で、発掘が行われている。ソロモンの第1神殿は紀元前586年に新バビロニアによって完全に破壊されたため、ダビデの町は第1神殿時代のエルサレムの貴重な遺構である。
2014.4 ダビデの町

イスラエル -旧約聖書の世界