イタリア北部は都市国家が乱立したのに対し、イタリア南部は他国による占領の歴史である。12世紀、イスラム勢力下にあったシチリア島をノルマン人が占領、さらに南イタリアにも攻め込んでシチリア王国を成立させる。その後支配者は変遷し、13世紀にはナポリがフランスのアンジュー家、シチリアはスペインのアラゴン王国に分割された。15世紀にはスペインがナポリも獲得、ナポレオン戦争後は両シチリア王国となるが、1861年にイタリアに統合された。

 1130年 ノルマン人がシチリア島占領、オートヴィル朝シチリア王国成立
 1140年 シチリア王国、ナポリ占領
 1194年 神聖ローマ帝国のホーエンシュタウフェン朝による支配
 1266年 フランスのアンジュー朝による支配、ナポリ遷都
 1284年 アラゴン王国がシチリア占領、ナポリとシチリアが分割される
 1443年 アラゴン王国、ナポリ王国を占領
 1503年 スペインの属州となる
 1816年 両シチリア王国成立
 1861年 イタリア王国に併合

カンパーニア州
 ナポリ
 ナポリはローマ以前からの歴史ある街だが、今ではサンタルチアの歌と「ナポリを見て死ね」という言い伝えで有名であろう。最初の訪問時は、ポンペイを観光したあと列車を待つ間に高台へ登ってみたが、街並みはまったく写真を撮っていなかった。
1994.2 サンタ・ルチア港とヴェスヴィオ山
 ナポリの守護聖人である聖ジェンナーロの命日、保管されているジェンナーロの血液が液体化する。2度目のナポリ訪問は偶然にもまさにその日で、ドゥオモにはその現象を見ようとする多くの人が集まっていた。
2019.9 ドゥオモ 2019.9 ドゥオモ内部
 ☆世界遺産「ナポリ歴史地区」  1995年登録
シチリア州
 パレルモ(世界遺産)
 パレルモはローマ以前にフェニキア人によって築かれた街で、831年にイスラム勢力に占領されるが、12世紀に成立したシチリア王国の都となった。ノルマン王宮や3つの教会など7件が世界遺産に登録されている。
 最初の訪問は、夜行列車の出発を待つ間の短い散歩。いちばんの見所、ノルマン王宮を訪れた。ここの2階には、12世紀にノルマン王ルッジェーロ2世が建てたパラティーナ礼拝堂がある。内部は金色のモザイク画で埋め尽くされており、あまりの豪華さに圧倒された。ここは2023年にも再訪したが、インパクトの強さは変わらない。
1999.7 ノルマン王宮(世界遺産)
2023.5 パラティーナ礼拝堂(世界遺産) 2023.5 パラディーナ礼拝堂(世界遺産)
 ノルマン王宮が面するのは、旧市街を横断するヴィットリオ・エマヌエル通り。ヌオーヴァ門からフェリーチェ門まで続き、パレルモの見所の多くが集まる。クワトロ・カウンティは、交差点の4つの角がファサードになっていて面白いのだが、写真ではどうも雰囲気が出ない。
2023.5 ヌオーヴァ門
 
1999.7 パレルモ大聖堂(世界遺産) 2023.5 クワトロ・カウンティ
2023.5 マルトラーナ教会(世界遺産) 2023.5 サン・カタルド教会(世界遺産)
2023.5 フェリーチェ門 
 旧市街の北、新市街に入ったところに、マッシモ劇場がある。19世紀後半にネオ・クラシック様式で建てられたもので、ヨーロッパでも有数の規模。内部の豪華さが印象的だった。
2023.5 マッシモ劇場 2023.5 マッシモ劇場内部
 ☆世界遺産「パレルモのアラブ=ノルマン様式建造物群およびチェファル大聖堂、モンレアーレ大聖堂」 2015年登録
 モンレアーレ大聖堂(世界遺産)
 12世紀後半に、グリエルモ2世によって建てられた大聖堂。パレルモの郊外、山の中腹にある。パラティーノ礼拝堂より少し新しく、負けず劣らず豪華絢爛なモザイクで埋め尽くされている。また、228本の柱が並ぶ中庭の回廊も印象的だった。ただ、ここへ行く道は大渋滞で、10kmもない距離なのに往復とも1時間以上かかった。
2023.5 モンレアーレ大聖堂 2023.5 モンレアーレ大聖堂内部
2023.5 回廊 
 チェファル(世界遺産)
 パレルモの東80kmにある海沿いの街。パラティーノ礼拝堂と同じルッジェーロ2世が建てた世界遺産の大聖堂がある。ここも見所は内部のモザイク画なのだが、修復中で見ることができなかった。
2023.5 チェファルー大聖堂 
 チェファルの裏手には、断崖絶壁の砦がある。ツアーのコースでは無かったが、昼食をパスして登った。ディアナ神殿などの遺跡もあるが、チェファルの旧市街を見下ろす風景は忘れられないほど美しかった。
2023.5 ディアナ神殿 2023.5 チェファル旧市街
 ノート(世界遺産)
 シチリア南東部、ノート谷と呼ばれるエリアは、1693年の大地震で多くの街が壊滅的被害を受けた。そして、復興の際に後期バロック様式で統一された街並みとなっている。このような街のうち、ノート、カルタジローネ、モディカ、ラグーザなど8つの街が世界遺産に登録された。
 ノートでは、地震で被害を受けた街が放棄され、少し離れた丘の上に新たな街が築かれた。特徴的なのはニコラチ通りのバルコニーの装飾。謎の動物が並び、ふざけているとしか思えない。
2023.5 ニコラチ通りの装飾 2023.5 ドゥオモ
 カルタジローネ(世界遺産)
 カルタジローネは、イスラム時代から陶器の街として知られる街。中心には142段の大階段があり、その1段1段が陶器で装飾されている。訪れた時には大階段に植木鉢が並べられ、花と緑で彩られていた。
2023.5 大階段 2023.5 大階段の陶器の装飾
 ☆世界遺産「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」 2002年登録
 タオルミーナ
 タオルミーナは、地中海を望む丘の上にあり、エトナ山の眺望やギリシャ遺跡もあるシチリア一のリゾート地。街は、ウンベルト通りに沿った細長い構造で、中世の教会なども残っている。
2023.5 タオルミーナの街
中央の山の上はカステッロ、その左はマドンナ・デラ・ロカ教会
2023.5 4月9日広場
 街を見下ろすマドンナ・デラ・ロカ教会は、街から歩いて登ることができる。ここからの青い海をバックにした街並みはなんとも言えず美しかった。また、教会の中は岩に押しつぶされそうな構造で、興味深い。
2023.5 マドンナ・デラ・ロカ教会より 2023.5 マドンナ・デラ・ロカ教会内部

シチリア王国・ナポリ王国