資源開発等を目的として、岩手県と民間企業等が出資して設立された第三セクター。設立は戦前だが、開業したのは戦後の1950年である。当初は旅客・貨物ともにほとんど利用がなかったが、岩手石橋まで延伸し、石灰石輸送を始めたことで貨物輸送が主力となった。一方、旅客は1日100人程度という状況で、1992年に旅客営業が廃止されている。貨物輸送は、東日本大震災で盛〜赤崎間が被災したので心配されたが、2011年11月に再開している。
2018.4 DD5601:盛〜赤崎間
車両
 気動車
 旅客営業に使用された気動車は5両で、すべて形式は異なる。最後まで活躍したのは2両で、キハ202は全長13m程度の新造車、キハ301は国鉄キハ07系と同タイプであった。旅客営業廃止後もしばらく車籍を有していたが、すでに解体されている。
左:キハ301 右:キハ202
番号 両数  前歴 登場 消滅  備考
キハ4001 1 国鉄キハ40010 1950 1969
キハ201 1 国鉄キハ40359 1952.7 1969
キハ202 1 新造 1968.4 1999.7
キハ41003 1 南部鉄道キハ41003 1969.9 1975.12
キハ301 1 北海道炭鉱キハ202 1975.12 1997.3
 機関車
 開業時に導入したSLはすぐ廃車となり、しばらく機関車を保有していなかったが、1957年のセメント輸送開始とともにディーゼル機関車が導入された。DC3821は38t機、DD4341は43t機と、番号で出力がわかる。DD5301-03は、1979年に出力を増強して56t機となっている。
2018.4 DD5601:盛駅付近 2018.4 DD5651:盛駅 
 種類 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
SL 2273 1 国鉄2273 1950 1952
DL DB1511 1 新造 1957 1973.1
DC3821 1 新造 1960.10-12 1973.1
DD3831-32 2 新造 1961 1974.4
DD4341 1 新造 1963.7 1985.3
DD5301-03
→5651-53
3 新造 1968.12-73.12
DD5601 1 新造 1977.6
廃線跡
 日頃市線(盛〜岩手石橋 9.5km)
 訪問したのは、震災から復活する直前の2011年10月。貨物鉄道としては現役なので線路があるのは当たり前だが、旅客用のホームや駅舎もきれいに残されている。ただ、岩手石橋では構内の線路のほとんどが撤去されていた。盛では車両の入換が始まっていた。
2011.10 岩手石橋駅跡@ 2011.10 岩手石橋駅跡@
手前の線路から右方向へ向かい、スイッチバックで駅に進入する構造
2011.10 日頃市駅跡A 2011.10 日頃市駅跡A
2011.10 長安寺駅跡B 2011.10 盛駅跡C
  
年表

  1939.8.17  岩手開発鉄道設立
  1950.10.21 日頃市線 盛〜日頃市間開業
  1957.6.21  赤崎線 盛〜赤崎間開業(貨物線)
  1960.6.21  日頃市〜岩手石橋間開業
  1992.4.1   旅客営業廃止 
輸送実績
1950 1960 1970 1980 1990 2000 2005
 輸送人員(千人/日) 0.2 0.2 0.3 0.3 0.1
 輸送密度(千人/日) 0.3 0.1 0.1 0.1 0.04
 貨物輸送量(万t/年) 0.2 35.7 244.6 446.3 446.8 316.6 208.8
営業係数 299 88 85 87 75 104 89

岩手開発鉄道