1888年に開業した、四国で最初の鉄道。日本初の762mm軽便鉄道でもあった。郡中線は南予鉄道が開業させている。1931年から37年にかけて、全線1067mmに改軌。電化は、高浜線は戦前だが、横河原線と郡中線は戦後になってからである。
 
2017.8 梅津寺駅
戦前〜終戦直後
 軽便鉄道時代
 四国最初の機関車は、クラウス製の2両。1931年に改軌され、戦後まで長く使用された。今も1が梅津寺パークで保存されている。その後に増備されたSLも、改軌時に残っていたものは改軌改造されており、高浜線以外は戦後まで軽便鉄道由来のSLが主力であった。
2017.8 1号:梅津寺パーク
種類  形式 番号  前歴 両数 登場 消滅  備考
SL 甲1 1-4 新造 4 1888 1956
甲2 5-6 新造 2 1898 1956
甲3 7-8 新造 2 1889 1952 旧道後
甲4 9-10 新造 2 1895 1917 旧南予
甲5 11-14 新造 4 1901 1956
甲6 15-17 住友別子 3 1912 1917
PC い・ろ等 61
 改軌後
 1931年の高浜線電化時に登場したのは、モハ100形とモハニ200形の計10両。これが戦前の電車のすべてである。1987年まで活躍し、その後も101が長く保存されていたが、解体されてしまった。戦後間もなく登場したクハ400形にルーツを持つモハ106は、銚子電鉄に譲渡されて2010年まで現役であった。
2008.6 銚子電鉄デハ801(もと伊予モハ106):仲ノ町駅
種類  形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
EC モハ100形 101-104 4 新造 1931.4 1987.11
105-106 2 クハ400形 1952.1-61.4 1985.3
モハニ200形 201-206 6 新造 1931.4 1987.11
モハ300形 301-304 4 新造 1950.5 2008.12
クハ400形 401-408 8 新造 1950.5-52.2 1987.11
モハ600形 601-602 2 新造 1958.3 1995.1
SL 甲6 15(2代) 1 八幡製鉄 1946.11 1952
DL DB1 1-8 8 新造 1953-54 1967.10
戦後
 1960-70年代の譲受車
 1960年代以降は、西武、相鉄、京王などさまざまな譲受車が導入された。このうちサハ502だけはモハ300形の中間車として2008年まで残っていたが、その他は1994年までに消滅している。
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ110形 111-115 5 西武クモハ150形 1965.12-66.10 1994.3
クハ410形 411-413 3 西武クハ1150形 1965.12-66.10 1994.3
モハ120形 121-123 3 京急400形車体 1968.11 1989.9
クハ420形 421 1 京急400形車体 1968.10 1989.9
サハ500形 501-502 2 東急サハ3350形 1971.2 2008.12
モハ130形 131-132 2 相鉄2000形 1972.8 1991.4
クハ530形 531 1 相鉄2000形 1972.8 1991.11
モハ133形 133-136 4 京王1400形等 1974.11-75.1 1988.9
サハ510形 511-512 2 京王1800形 1975.1 1988.9
モハ210形 212 1 伊豆箱根クハ27 1977.1 1985.3
モハ124形 124-125 2 小田急1900形 1978.2-3 1989.9
モハ603形 603 1 長野モハ1102 1979.11 1985.1
 800系
 京王2000系を譲り受けたもので、台車や主電動機等は京王1000系のものが流用されている。当初はMc-T-Mcの3両編成だったが、1993年からT車に貫通運転台が取り付けられた。3000系に置き換えられて2010年に消滅したが、4両が銚子電鉄に譲渡されている。
2005.5 横河原駅
2017.1 銚子電鉄2000形:笠上黒生駅 2017.1 銚子電鉄2000形:笠上黒生駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ810形
モハ820形
クハ850形
811-816
821-826
851-856
18 京王2000系 1984.9-85.3 2010.9
 700系
 京王5000系を譲り受けたもので、3両編成が8本と2両編成2本。すでに廃車がはじまっており、2両が銚子電鉄に譲渡された。
2005.5 高浜駅
2016.11 大手町駅付近 2017.8 古町駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ710形
モハ720形
クハ760形
710-719
720-727
760-769
28 京王5000系 1987.9-94.8
 610系
 モハ600形以来37年ぶりの鉄道線新造車。ただし、制御装置は京王5000系のもの、台車は東武2000系のものなどが流用されている。2両編成2本で、4両編成を組むこともある。
2017.11 古町車庫
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ610形
クハ660形
611-612
661-662
4 新造 1995.1
 3000系
 京王3000系を譲り受けたもので、制御装置はVVVFインバータ制御に変更された。3両編成10本で、2009年8月から営業運転を開始している。
 
2017.8 大手町駅付近 2017.8 古町車庫 
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ3100形
クハ3300形
クハ3500形
3101-3110
3301-3310
3501-3510
30 京王3000系 2009.8-12.3
形式別車両数
種類 形式 1420 1940 1954 1972 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
EC 戦前 10 10 10 11 2
  戦後旧型車 11 28 39 33 15 3 3 3
800系 15 18 18 18 18 6
700系 28 28 28 28 22 19
600系 4 4 4 4 4 4
3000系 12 30 30
SL 17 11 4
DL 8
PC 61 17
年表

  1887.9.14 伊予鉄道設立
  1888.10.28 松山(現・松山市)〜三津間6.8km開業
  1892.5.1  松山〜高浜間(現・高浜線)9.4km全通
  1896.1.26 森松線:立花〜森松間4.4km開業
  1896.7.4  南予鉄道により藤原(現・松山市)〜郡中間11.0km開業
  1899.10.4 横河原線:外側(現・松山市)〜横河原間13.3km全通
  1900.5.1  伊予鉄道が南予鉄道を合併
  1916.12.31 伊予水力電気と合併し伊予鉄道電気となる
  1931.5.1  高浜線を1067mmに改軌、電化
  1931.10.6 横河原線・森松線を1067mmに改軌
  1937.7.22 郡中線を1067mmに改軌
  1939.5.10 郡中線:郡中〜郡中港間0.5km延伸
  1942.4.1  鉄軌道事業が分離し伊豫鉄道となる
  1950.5.10 郡中線電化
  1965.12.1 森松線廃止
  1967.10.1 横河原線電化完成
  1992.6.25 伊予鉄道と改称
  2018.4.1  持株会社体制に移行
 

伊予鉄道・郊外線