静岡県の駿豆鉄道と、神奈川県の大雄山鉄道が戦時中に合併したもので、めずらしい県をまたいだ合併である。なお、駿豆鉄道には軌道線もあったが、1963年に廃止している。
2022.1 三島二日町〜大場間
戦前
 旧駿豆鉄道(鉄道線)  
 豆相鉄道の開業時は、北海道炭鉱から譲り受けた2両のSLを使用していた。1918年の電化時には、大阪高野鉄道の単車を譲り受けている。1926年から導入が始まったボギー車のモハ20形・30形は、戦後に大雄山線に転出して1960年代まで使用されていた。
種類 形式 両数  前歴 登場 消滅  備考
SL 15-16 2 北海道炭鉱15-16 1898 1925
PC いろ1-2
は1-8
10 新造 1898
は9-11
ろは1
4 東武 1898
EC デハ13-15 3 大阪高野13-15 1918 1930
モハ21-24 4 国鉄デハ6200形 1926 1967?
モハ31-37 7 目黒蒲田デハ30形 1927 1967?
モハ101-02 2 国鉄モニ3010形 1935 1949
EL 1-3 3 新造 1921 1951
 旧大雄山鉄道  
 開業からしばらくは、木造ボギー車のデハ1形3両のみで、1939年にデハ11を譲り受けた。これら4両は、1950年に軌道線に転属し、軌道線廃止まで使用されていた。
 種類  形式 両数  前歴 登場 消滅  備考
EC デハ1-3 3 新造 1925 1950 →軌道線
デハ11 1 武蔵中央13 1939 1950 →軌道線
戦後〜1970年代
 払下げ車・譲受車  
 戦後は国鉄払下げ車を大量に受け入れ、長く大雄山線の主力として活躍した。今も現役として残る事業用車コデ165も、相鉄から譲り受けたモハ165を改造したもので、元をたどれば国鉄の旧型国電である。
2017.2 コデ165:大雄山駅
種類 形式 両数  前歴 登場 消滅  備考
EC モハ25-26 2 国鉄クハ60形等 1947?
モハ45-48 4 国鉄モハ11形 1954
モハ50-59
(151-158)
10 国鉄モハ50形等 1947 1982.9
モハ61-66
(コデ66)
6 国鉄モハ32形等 1951 1997.3
クハ71-76 6 西武クハ1411形等 1953
クハ81-83 2 国鉄クハニ19形等 1964 1990.5
モハ156 1 国鉄クモハ11形 1967 1986.3
モハ161-166
(コデ165)
6 相鉄モハ2000形 1974.3
クハ182-87 6 相鉄クハ2500形等 1970 1996.10
 機関車  
 国鉄のED40形と西武ED31形の2種類の機関車を導入しており、このうちED31形は1972年の貨物営業廃止により定期運用が無くなったが、今も車籍が残る。イベント等では本線を走行している。
 2017.2 ED32:三島〜三島広小路間
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
ED4011形 4011-13 3 国鉄ED40形 1948-49 1967 4012-13→岳南
ED31形 32-33 2 西武ED31形 1952-53
 1000系  
 最初の3両編成×4本は、伊豆箱根鉄道初のオリジナル新造車で、初の20m車でもある。1次車と2次車でデザインが異なり、2次車では窓の上に行き先表示器が付けられている。すべて吊掛駆動であったが、1989年に2次車がカルダン駆動に改造された。1997年頃からは第3編成が保留車として残るのみとなり、2005年に消滅している。一方、残りの10両は西武501系を譲り受けたもので、3両編成3本と、旧型車の増結用中間車になった。西武時代と同じ塗装のまま駿豆線で使用され、1990年までにすべて廃車となった。
1980.8 左:西武501系譲受車、右:新造・1次車
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ1000形
サハ2000形
1001-08
2001-04
12 新造 1963.6-71.3 2005.2
1009-14
2005-08
10 西武501系 1975.10-79.1 1990.5
1980年代以降・駿豆線
 3000系  
 1000系に続く伊豆箱根鉄道のオリジナル車で、初のカルダン駆動、冷房車であった。.20年近くにわたって製造されたため、1次車の3両編成4本は鋼製、2次車の3両編成2本はステンレス製と仕様が変わっており、前面のデザインも異なる。最初の登場から40年近く経つが、全車現役である。
 
2005.7 1次車:三島駅 2022.1 1次車軌道線カラー
:三島二日町〜大場間
 2017.2 2次車:三島〜三島広小路間
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ3000形
クハ3500形
3001-12
3501-06
18 新造 1979.12-97.3
 1100・1300系  
 1000系の後期車に続く、西武からの譲受車。1100系はTcを電動車化してMc-M-Tcの3両編成としており、塗装は3000系に似たものになった。番号は1100番台ではなく、置き換わった1000系の番号を引継いでいる。1300系は1100系を置き換えるために新101系を譲り受けたもので、2両編成のMcと4両編成のM-Tcを組み合わせて3両編成としている。
 
 2017.2 1300系:三島広小路駅付近  2022.1 1300系イエローパラダイストレイン
:三島二日町〜大場間
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
クモハ1100形
モハ1200形
クハ2100形
1009-14
2005-07
9 西武701系 1989.8-90.5 2012.6
モハ1300形
モハ1400形
クハ2200形
1301-02
1401-02
2201-02
6 西武新101系 2008.11-09.5
 7000系  
 JRへの直通運転を計画して登場した、転換クロスシート車。しかし直通運転は実現せず、3両編成2本のみの製造に終わっている。
2015.7 三島駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
モハ7100形
モハ7300形
クハ7500形
7101-02
7301-02
7501-02
6 新造 1991.3-92.3
1980年代以降・大雄山線
 5000系
 駿豆線の3000系に対し、大雄山線初のカルダン駆動の新造車として登場したもの。性能等は3000系に準じるが、車両限界の関係から18m級となっている。第1編成のみ鋼製、他はステンレス製である。2016年から、第1編成が旧型車の復刻塗装となっている。
 
2015.11 緑町駅 2021.4 和田川原〜塚原間
 2017.2 第1編成・旧型車塗装:和田河原駅
 形式 番号 両数  前歴 登場  消滅  備考
クモハ5000形
モハ5000形
クハ5500形
5001-5014
5501-5507
21 新造 1984.3-96.3
形式別車両数
種類 形式 1940 1954 1964 1975 1981 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
EC 駿豆 12
大雄山 4
合併後旧型 28 28 40 26 18 13 7 1 1 1 1 1
1000系 6 12 22 21 15 6 3
1100系 6 9 9 9 3
3000系 6 12 15 15 18 18 18 18 18
5000系 3 12 18 21 21 21 21 21
7000系 6 6 6 6 6 6
1300系 6 6 6
EL 駿豆 3  
合併後 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
年表

 ○豆相〜駿豆
  1898.5.20 豆相鉄道:三島町(現・三島田町)〜南條間9.4km開業(1067mm蒸気)
  1899.7.17 豆相鉄道:三島(現・下土狩)〜大仁間17.1km全通
  1906.11.28 駿豆電気鉄道の軌道線開業
  1907.7.19 伊豆鉄道が豆相鉄道の路線を引継ぐ
  1912.4.1  駿豆電気鉄道が伊豆鉄道を買収
  1916.10.7 駿豆電気鉄道が富士水電に合併される
  1917.11.5 富士水電が駿豆鉄道に鉄道事業を譲渡
  1919.6.15 三島〜大仁間電化完成
  1924.8.1  大仁〜修善寺間3.2km延伸
  1934.12.1 三島駅移転、三島〜修善寺間19.8kmとなる
  1938.4.6  駿豆鉄道が箱根遊船と合併し駿豆鉄道箱根遊船と改称
  1940.11  駿豆鉄道箱根遊船が再び駿豆鉄道と改称

 ○大雄山
  1925.10.15 大雄山鉄道:仮小田原〜大雄山間9.0km開業(1067mm・電気)
  1935.6.16  小田原〜大雄山間9.6km全通

 ○合併後
  1941.8.23 駿豆鉄道が大雄山鉄道を合併
  1957.6.1 伊豆箱根鉄道と改称
  1959.9.7 駿豆線、600Vから1500Vに昇圧
  1963.2.5 軌道線廃止
  1972.6.16 駿豆線の貨物営業廃止
  1976.11.25 大雄山線、600Vから1500Vに昇圧

伊豆箱根鉄道