神岡鉄道(旧神岡線:猪谷-奥飛騨温泉口19.9km) 
 もと国鉄神岡線。開業は1966年と比較的新しいが、当初から旅客は少なく、貨物も鉱石輸送がトラックに移ってからは1日1往復のみとなっていた。この1往復が硫酸輸送であったため、安全性の観点から第三セクターに転換して鉄道輸送を存続していたが、これも2004年に終了、鉄道自体も廃止に追い込まれている。

  1966.10.6 神岡線猪谷〜神岡(のちの奥飛騨温泉口)間開業
  1981.9.18 第1次特定地方交通線として廃止承認
  1984.10.1 神岡鉄道に転換
  2006.12.1 全線廃止 
   1970 1973 1977 1980 1983 1985 1990 1995 2000 2005
 輸送人員(千人/日) 0.8 0.7 0.9 0.7 0.4 0.4 0.2 0.2 0.1 0.1
 輸送密度(千人/日) 0.5 0.4 0.5 0.4 0.3 0.3 0.2 0.2 0.1 0.1
 貨物輸送量(万t/年) 28.1 26.4 9.4 9.1 10.0 10.0 8.5 5.8 6.6
 営業係数 115 130 160 136 442
 富山から新穂高や上高地に行くルート上にあるため、2度ほど乗ったが、いつもほとんど人がいなかった。 
1991.8 猪谷駅 1991.8 奥飛騨温泉口駅
1995.10
 廃止から間がない上に、観光鉄道として復活させる計画もあったため、廃線跡はほとんど残されている。左のような立派な橋も下から見ると現役のようである。 
 飛騨中山は、ホーム、線路、そして駅へのアプローチ道路もすべて現役時代のままといった様子である。集落から離れた人気のない所にあるので、利用者はかなり少なかったであろうと推察される。 
2009.10 猪谷-飛騨中山間@ 2009.10 飛騨中山駅跡A
 茂住も集落の対岸に駅があり、不便な位置である。駅舎もそのままであったが、何故か線路が片側だけ撤去されていた。 
 その先は国道のはるか眼下に線路が見える。渓谷に沿って、さぞかし景色がよかったであろうと思われるが、乗車したときのことはよく覚えていない。 
2009.10 茂住駅跡B 2009.10 漆山-神岡鉱山前間C
 飛騨神岡はローカル線には似つかわしくない立派な高架駅。入り口の建物のシャッターが下りていて、中には入れなかった。
 ここから終点の奥飛騨温泉口までは廃線跡を利用してレールマウンテンバイクの営業を行っているため、ホームや線路もそのまま利用されていた。 
2009.10 飛騨神岡駅跡D 2009.10 奥飛騨温泉口駅跡E
 
三井金属鉱業(猪谷-神岡町・浅井田32.6km) 
 1909年、神岡鉱山専用軌道として馬車軌道が建設されたのに始まり、1927年にガソリン動力化、軌間変更(609mm)、そして三井金属の経営という状態が整った当初は笹津を起点としていたが、1931年に笹津-東猪谷間を廃止して猪谷までの連絡線を整備している。本格的な旅客輸送は1947年からであるが、神岡町までの24kmを2時間から2時間半という驚くべき鈍足で、1962年には一部を除いて旅客営業を終えた。そして貨物輸送も並行して建設された国鉄神岡線に譲るかたちで役割を終えている。

  1909.5   神岡鉱山専用軌道杉山〜土間開通(1915.4笹津〜杉山間、1920土〜鹿間間延伸)
  1927.3.7  三井鉱山の経営となる(7.26 ガソリン動力化)
  1931.9.16 猪谷〜東猪谷間開業(31.10.28笹津〜東猪谷間廃止)
  1937.6.22 鹿町〜浅井田間開業
  1945.4.1  地方鉄道に変更
  1947.10.1 旅客営業開始
  1950.5.1  神岡鉱業神岡鉄道となる(52.12.1三井金属鉱業神岡鉄道となる)
  1956.3.12 殿〜浅井田間休止(58.4.3廃止)
  1962.1.16 鉱山前〜殿間以外の旅客営業廃止
  1964.8.20 東町〜殿間廃止
  1966.7.1  桂渕〜神岡町、六郎〜東町間廃止
  1966.10.1 茂住〜桂渕間廃止
  1967.3.31 全線廃止

 後に整備された猪谷-東猪谷間を結ぶ橋梁の跡。廃止から40年以上たつが、まだ橋脚のあった場所がはっきりわかる。橋を渡った東猪谷側の橋脚は、これほどしっかり残っているとは思わなかった。ただ、この先の軌道跡はさっぱりわからず、東猪谷駅の位置も特定できなかった。
2009.10 猪谷-東猪谷間F 2009.10 猪谷-東猪谷間F
 高原川に沿って、東側に三井金属鉱業、西側に神岡鉄道の廃線跡が続く異様な区間であるが、こちらの廃線跡は非常にわかりにくい。ここは確認できた数少ない所の1つである。 
 土駅のすぐ先にある橋には、軌道時代の橋脚が残っていて廃線跡を探すいい目印になった。しかし手前の土駅跡は工事現場に変わっていた。この先、浅井田あたりまで行ったが、廃線跡はここを最後に見つけられなかった。 
2009.10 茂住-土間G 2009.10 土-漆山間H

神岡鉄道・三井金属鉱業